○東京都福祉のまちづくり条例
平成七年三月一六日
条例第三三号
東京都福祉のまちづくり条例を公布する。
東京都福祉のまちづくり条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 施策の推進
第一節 基本的施策(第七条―第十二条)
第二節 情報の共有化のための取組(第十三条)
第三節 都市施設の整備(第十四条―第十六条)
第四節 特定都市施設の整備(第十七条―第二十四条)
第五節 車両、住宅等(第二十五条―第二十七条)
第三章 東京都福祉のまちづくり推進協議会(第二十八条)
第四章 雑則(第二十九条―第三十一条)
附則
東京は、安全で快適な都市機能と豊かな自然を併せ持つ、日本の首都として発展を続けている。
私たち都民は、東京で生活するすべての人の基本的人権が尊重され、自由に行動し、社会参加できるやさしいまち東京の実現に向けて、これまで不断の努力を積み重ねてきた。
本格的な少子高齢社会が到来するなか、東京が世界に開かれた国際都市としてさらなる発展を続けるためには、東京に集うすべての人がありのままに、自らの意思で暮らし、社会参加をし、自己実現を図ることができる、そのような社会の実現に向け、ユニバーサルデザインの理念に立ったまちづくりを進めることが必要である。
私たち都民の願いは、誰もが住み慣れた地域に住み続け、働き、学び、遊ぶことができる一人ひとりの生活を支援する仕組みが地域で整い、社会のあらゆる分野に他者を思いやる心が行きわたったまちを築くことである。
福祉のまちづくりとは、そのような東京を現実のものとするための物心両面にわたる絶え間ない活動の集積である。
今、これまでの成果を未来につなぐとともに、新たな目標に向かってさらに一歩踏み出すことは、後世に対する都民すべての責務である。
私たち都民は、ユニバーサルデザインの理念の下、東京を高齢者、障害者、子ども、外国人などを含めたすべての人にとって、住みやすい、訪れやすいまちへと、発展させることをここに宣言し、この条例を制定する。
第一章 総則
(平二一条例三二・全改)
(目的)
第一条 この条例は、福祉のまちづくりに関し、東京都(以下「都」という。)、事業者及び都民の責務を明らかにするとともに、福祉のまちづくりに関する施策の基本的な事項を定めることにより、都、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)、事業者並びに都民が相互に協働して福祉のまちづくりを推進し、もって高齢者や障害者を含めたすべての人(高齢者、障害者、子ども、外国人、妊産婦、傷病者その他の年齢、個人の能力、生活状況等の異なるすべての人をいう。)が安全で、安心して、かつ、快適に暮らし、又は訪れることができる社会の実現を図ることを目的とする。
(平二一条例三二・全改)
一 ユニバーサルデザイン 年齢、性別、国籍、個人の能力等にかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるよう生活環境その他の環境を作り上げることをいう。
二 福祉のまちづくり ユニバーサルデザインの理念に基づき、高齢者や障害者を含めたすべての人が、安全で、安心して、かつ、快適に暮らし、又は訪れることができるまちづくりを推進するための取組をいう。
三 都市施設 病院、図書館、飲食店、ホテル、劇場、物品販売業を営む店舗、共同住宅、車両等(鉄道の車両、自動車その他の旅客の運送の用に供する機器で東京都規則(以下「規則」という。)で定めるものをいう。以下同じ。)の停車場を構成する施設、道路、公園その他の多数の者が利用する施設で規則で定めるものをいう。
四 整備基準 都市施設を高齢者や障害者を含めたすべての人が円滑に利用できるようにするための措置に関し、都市施設を所有し、又は管理する者の判断の基準となるべき事項として規則で定める事項をいう。
(平二一条例三二・全改・一部改正)
(都の責務)
第三条 都は、事業者及び都民の参加と協力の下に、福祉のまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 都は、福祉のまちづくりに関する施策に、事業者及び都民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。
3 都は、事業者及び都民の福祉のまちづくりに関する活動並びに区市町村の福祉のまちづくりに関する施策の実施に対し、これらの者の福祉のまちづくりを推進する上で果たす役割の重要性にかんがみ、必要に応じて支援及び協力を行うよう努めるものとする。
(平二一条例三二・全改)
(事業者の責務)
第四条 事業者は、その事業活動に関し、その所有し、又は管理する施設及び物品並びに提供するサービスについて、自ら福祉のまちづくりに努めるとともに、他の事業者と協力して福祉のまちづくりを推進する責務を有する。
2 事業者は、都がこの条例に基づき実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
3 事業者は、その事業の実施に当たり、高齢者や障害者を含めたすべての人の施設、物品又はサービスの円滑な利用を妨げないよう努めなければならない。
(平二一条例三二・全改)
(都民の責務)
第五条 都民は、福祉のまちづくりについて理解を深め、自ら福祉のまちづくりに努めるとともに、相互に協力して福祉のまちづくりを推進する責務を有する。
2 都民は、都がこの条例に基づき実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
3 都民は、高齢者や障害者を含めたすべての人の施設、物品又はサービスの円滑な利用を妨げないよう努めなければならない。
(平二一条例三二・全改)
(福祉のまちづくりの総合的推進)
第六条 都は、福祉のまちづくりが総合的かつ効果的に推進されることの重要性にかんがみ、事業者、都民、国及び区市町村が相互に有機的な連携を図ることができるようにするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(平二一条例三二・全改)
第二章 施策の推進
(平二一条例三二・全改)
第一節 基本的施策
(平二一条例三二・全改)
(計画の策定)
第七条 知事は、福祉のまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本となる計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。
2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 福祉のまちづくりに関する目標
二 福祉のまちづくりに関する施策の方向
三 前二号に掲げるもののほか、福祉のまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための重要事項
3 知事は、推進計画の策定に当たり、事業者及び都民の意見を聴くとともに、福祉のまちづくりに関する施策の評価を行い、その結果を推進計画に反映させるものとする。
4 知事は、推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを明らかにするものとする。
(平二一条例三二・全改)
(教育及び学習の振興等)
第八条 都は、福祉のまちづくりに関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実により、福祉のまちづくりに関して、事業者及び都民が理解を深めるとともに、これらの者の自発的な活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(平二一条例三二・全改)
(情報の提供)
第九条 都は、前条の福祉のまちづくりに関する事業者及び都民の理解の深化及び自発的な活動の促進に資するため、福祉のまちづくりの状況その他の福祉のまちづくりに関する必要な情報を適切に提供するものとする。
(平二一条例三二・全改)
(調査及び研究)
第十条 都は、福祉のまちづくりに関する施策を効果的に推進するため、高齢者や障害者を含めたすべての人の円滑な利用又は移動に関する調査を実施するとともに、少子高齢社会に対応する住宅、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成五年法律第三十八号)第二条に規定する福祉用具その他の施設及び物品に関する研究及び技術開発を促進し、並びにそれらの成果の普及を図るものとする。
(平二一条例三二・全改)
(事業者等に対する支援)
第十一条 都は、事業者若しくは都民が福祉のまちづくりに関する活動を自発的に行うこととなるよう誘導し、又は区市町村が福祉のまちづくりに関する施策を推進することとなるよう支援するため、特に必要であると認めるときは、適正な助成その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(平二一条例三二・全改)
(表彰)
第十二条 知事は、福祉のまちづくりの推進に関して著しい功績のあった者に対して、表彰を行うことができる。
(平二一条例三二・全改)
第二節 情報の共有化のための取組
(平二一条例三二・全改)
第十三条 事業者は、高齢者や障害者を含めたすべての人が、その所有し、又は管理する施設、物品若しくはサービスを円滑に利用するために必要かつ有益な情報(以下「必要とされる情報」という。)を適時に、かつ、適切に入手できるようにするため、必要とされる情報を自ら把握し、適切に提供するほか、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(平二一条例三二・全改)
第三節 都市施設の整備
(平二一条例三二・全改・改称)
(整備基準への適合努力義務)
第十四条 都市施設を所有し、又は管理する者(以下「施設所有者等」という。)は、当該都市施設を整備基準に適合させるための措置を講ずるよう努めなければならない。
2 整備基準は、次に掲げる事項について、都市施設の種類及び規模に応じて定めるものとする。
一 出入口の構造に関する事項
二 廊下及び階段の構造並びにエレベーターの設置に関する事項
三 車いすで利用できる便所及び駐車場に関する事項
四 案内標示及び視覚障害者誘導用ブロックの設置に関する事項
五 歩道及び公園の園路の構造に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、都市施設を円滑に利用できるようにするために必要な基幹的事項
3 施設所有者等は、高齢者や障害者を含めたすべての人が円滑に施設間を移動することができるようにするため、他の施設所有者等との連携を図り、自ら所有し、又は管理する都市施設とその周辺の都市施設とを一体的に整備するよう努めなければならない。
(平二一条例三二・全改・一部改正)
(整備基準適合証の交付)
第十五条 施設所有者等は、都市施設を整備基準に適合させているときは、規則で定めるところにより、知事に対し、整備基準に適合していることを証する証票(以下「整備基準適合証」という。)の交付を請求することができる。
2 知事は、前項の請求があった場合において、当該都市施設が整備基準に適合していると認めるときは、規則で定めるところにより、当該施設所有者等に対し、整備基準適合証を交付するものとする。
(平二一条例三二・全改・一部改正)
(都の施設の先導的整備等)
第十六条 都は、自ら設置する都市施設を整備基準に適合するよう率先して整備に努めるものとする。
2 知事は、国、区市町村その他規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)に対し、これらが設置する都市施設の整備基準への適合に率先して努めるよう要請するものとする。
(平二一条例三二・全改・一部改正)
第四節 特定都市施設の整備
(平二一条例三二・全改)
(整備基準の遵守)
第十七条 都市施設で規則で定める種類及び規模のもの(以下「特定都市施設」という。)の新設又は改修(建築物については、増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替え又は用途変更(用途を変更して特定都市施設にする場合に限る。)をいう。以下同じ。)をしようとする者(以下「特定整備主」という。)は、整備基準のうち特に守るべき基準として規則で定めるものを遵守するための措置を講じなければならない。
(平二一条例三二・全改)
(届出)
第十八条 特定整備主は、第十四条第二項各号に掲げる事項について、規則で定めるところにより、工事に着手する前に知事に届け出なければならない。ただし、法令又は都の他の条例により、整備基準に適合させるための措置と同等以上の措置を講ずることとなるよう定めている事項については、この限りでない。
2 前項の規定による届出をした者は、当該届出の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をするときは、当該変更をする事項について、規則で定めるところにより、当該事項に係る部分の当該変更後の内容の工事を着手する前に知事に届け出なければならない。
(平二一条例三二・全改)
(平二一条例三二・全改)
(既存特定都市施設の状況の把握等)
第二十条 この節の規定の施行の際現に存する特定都市施設(以下「既存特定都市施設」という。)を所有し、又は管理している者(以下「既存特定都市施設所有者等」という。)は、当該既存特定都市施設を整備基準に適合させるための措置の状況の把握に努めなければならない。
(平二一条例三二・全改)
(平二一条例三二・全改)
(平二一条例三二・全改)
(公表)
第二十三条 知事は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
(平二一条例三二・全改)
2 前項の規定による調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、特定整備主等その他の関係人に提示しなければならない。
(平二一条例三二・全改)
第五節 車両、住宅等
(平二一条例三二・全改)
(車両等の整備)
第二十五条 車両等を所有し、又は管理する者は、当該車両等について、高齢者や障害者を含めたすべての人が円滑に利用できるようにするための整備に努めなければならない。
(平二一条例三二・全改・旧第二十四条繰下)
(住宅の供給)
第二十六条 住宅を供給する事業者は、高齢者や障害者を含めたすべての人が円滑に利用できるようにするために配慮された住宅の供給に努めなければならない。
(平二一条例三二・全改・旧第二十五条繰下)
(福祉用具等の品質の向上等)
第二十七条 福祉用具を製造し、販売し、又は賃貸する事業者は、高齢者又は障害者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるものその他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者(以下「高齢者、障害者等」という。)の心身の特性及び置かれている環境を踏まえ、高齢者、障害者等が円滑に利用できるよう当該福祉用具の品質の向上、情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、食器、家具、電化製品その他の日常生活で利用する物品を製造し、販売し、又は賃貸する事業者は、高齢者や障害者を含めたすべての人が円滑に利用できるようこれらの物品の使いやすさの向上、情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(平二一条例三二・全改・旧第二十六条繰下・一部改正)
第三章 東京都福祉のまちづくり推進協議会
(平二一条例三二・旧第六章繰上)
第二十八条 都の区域における福祉のまちづくりの推進に関する基本的事項について知事の諮問に応じ調査審議させるため、その附属機関として、東京都福祉のまちづくり推進協議会(以下「協議会」という。)を置く。
2 協議会は、次に掲げる事項について調査審議する。
一 推進計画に関する事項
二 前号に掲げるもののほか、福祉のまちづくりの推進に関する基本的事項
3 協議会は、前項に規定する事項に関し、知事に意見を述べることができる。
4 協議会は、事業者、都民、学識経験を有する者及び関係行政機関の職員のうちから、知事が任命する委員三十人以内をもって組織する。
5 委員の任期は、二年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
6 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、協議会に臨時委員を置くことができる。
7 専門の事項を調査するため必要があるときは、協議会に専門員を置くことができる。
8 委員、臨時委員及び専門員は、非常勤とする。
9 協議会は、専門の事項を審議するため必要があると認めるときは、部会を置くことができる。
(平二一条例三二・旧第二十五条繰下・旧第二十七条繰下)
第四章 雑則
(平二一条例三二・旧第七章繰上)
(平二一条例三二・旧第二十六条繰下・旧第二十八条繰下・一部改正)
2 知事は、国等に対し、特定都市施設の整備基準への適合状況その他必要と認める事項について報告を求めることができる。
(平二一条例三二・旧第二十七条繰下・旧第二十九条繰下・一部改正)
(委任)
第三十一条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
(平二一条例三二・旧第二十八条繰下・旧第三十条繰下)
附則
(平成八年規則第一六八号で平成八年九月一五日から施行)
(社会環境の変化等に基づく所要の措置)
2 都は、社会環境の変化及びこの条例の規定の施行の状況その他の福祉のまちづくりの推進の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則(平成一二年条例第一八二号)
この条例は、平成十三年一月一日から施行する。
附則(平成二一年条例第三二号)
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第二条及び次項の規定は、平成二十一年十月一日から施行する。
2 第二条の規定による改正後の東京都福祉のまちづくり条例(以下「改正後の条例」という。)第十七条の規定は、前項ただし書に規定する日以後に改正後の条例第十八条の規定による届出をした者について適用する。