○公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例
昭和四八年三月三一日
条例第四五号
公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例を公布する。
公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例
公共事業の施行に伴う建築物移転、土地購入等の資金貸付に関する条例(昭和三十五年東京都条例第四十八号)の全部を改正する。
(目的)
第一条 この条例は、公共事業の施行に伴い移転等が必要となつた者に対し、移転資金を貸し付けることにより、その者の生活再建を助成し、かつ、自主的な移転を促進し、もつて事業の進展を図ることを目的とする。
一 公共事業 知事又は都が、施行又は施行を委託している道路、下水道に関する事業、土地区画整理事業その他東京都規則で定める事業をいう。
二 移転等 建築物の購入、新築、改造、借入れ及び土地の購入、借入れ等の代替物件の取得並びに営業再開等のために必要な措置をいう。
三 移転資金 移転等に要する資金をいう。
四 補償契約 公共事業の施行に伴う土地若しくは物件の買収又は補償に関する契約等をいう。
五 移転補償金 補償契約にもとづく買収代金及び補償金のうち、対価補償及び移転補償の性格を有するもので、東京都規則で定めるものをいう。
(貸付の対象)
第三条 移転資金の貸付の対象とすることができる者は、次の各号に掲げる要件が備わつていなければならない。
一 移転補償金に関する補償契約の対象者であること。
二 知事(東京都公営企業組織条例(昭和二十七年東京都条例第八十一号)により設置した局の所管する事業にあつては、当該事業の管理者。以下同じ。)が特に必要と認める場合を除き、補償契約を締結した日から一年を経過していないこと。
三 移転資金の調達が困難と認められること。
四 貸付金の償還及び利子の支払について、十分な能力を有すること。
3 補償契約において一単位と認められるべき世帯員のうちに、移転補償金に関する補償契約の対象となるべき者が数名ある場合には、これらの者を連帯させ、一件の貸付の対象とみなす。
(昭四九条例四一・一部改正)
(移転資金の貸付額)
第四条 移転資金の貸付額は、次のとおりとする。
一 貸付対象者に対する移転補償金に相当する額の二分の一(これに十万円未満の端数を伴うときは、切り上げて計算した額とする。)以内。ただし、最高限度額は、三千万円とする。
二 前号により算定した額が五百万円に満たないときは、総額が五百万円に達するまで増額することができる。
2 前項の規定による貸付金では移転等が特に困難な者で、知事が必要と認めるものに対しては、一千万円の範囲内の貸付額を加算することができる。
(昭四九条例四一・昭六二条例五三・一部改正)
(貸付の申込み)
第五条 移転資金の貸付を受けようとする者は、東京都規則(東京都公営企業組織条例により設置した局の所管する事業にあつては、当該事業の管理者の定める管理規程。以下同じ。)で定める申込書を知事に提出しなければならない。
(貸付の決定)
第六条 知事は、前条の規定により申込みを受けたときは、審査のうえ貸付の可否並びに貸し付けるべき移転資金の額及び条件を査定し、ただちに申込者に対してその内容を通知する。
2 申込者は、前項の通知を受けた日から一週間以内に、文書をもつて承諾の意思表示をするものとする。
(契約及び移転等の期限)
第七条 前条の規定により貸付の決定を受けた者(以下「貸付決定者」という。)は、当該決定を受けた日から一か月以内に、移転資金の貸付に関する契約を締結しなければならない。
2 第十一条第一号ただし書又は第二号の規定により一時に全額の貸付を受けようとする貸付決定者は、知事の承認を得て、前項の契約の締結を省略することができる。この場合において、知事は、次条の契約の締結及び第九条の移転等の期限を指示するものとする。
第八条 貸付決定者は、前条の契約又は指示により定められた期限内に、知事と公正証書による債務弁済契約を締結しなければならない。
第九条 貸付決定者は、次の期限に従つて移転等をすすめなければならない。
一 貸付の決定を受けた日から二か月以内に移転等に伴う代替物件取得のための契約を締結し、又は工事に着手すること。
二 貸付の決定を受けた日から一年以内で、第七条の契約又は指示により定められた期限内に、移転等を完了すること。
(交付の時期)
第十一条 貸付金は、補償契約を締結した者に対し、次の各号のいずれかにより交付する。
(利息)
第十二条 貸付金には、据置期間を経過した後、年五パーセント以内で規則で定める利率による利息を付するものとする。
(昭六二条例五三・全改)
(償還方法)
第十三条 貸付金は、貸付けを終えた日の属する月の翌月から二年間据え置き、以後二十年間以内の元利均等半年賦償還若しくは元利均等月賦償還又はこれらの併用による償還とする。ただし、期限前でも繰り上げて償還することができる。
(昭四九条例四一・平一三条例六五・一部改正)
2 前項の規定にかかわらず、延滞利子の金額が五百円未満のときは、これを徴収しない。
(担保及び担保保全等)
第十五条 移転資金の貸付を受けた者は、知事が指示するところにより、移転等により取得した不動産の全部若しくは一部又は他の不動産を担保として提供し、これに都のための抵当権を設定しなければならない。ただし、知事が相当の理由があると認める場合は、他の物的担保をもつて、これにかえることができる。
2 前項の規定にかかわらず、貸付金額が五百万円以下で、知事が相当の理由があると認める者については、物的担保の提供を免除することができる。
3 知事は、必要と認めるときは、貸付金の全額を交付したのちにおいても、担保の提供を求め、又は追加担保を提供させることができる。
(昭四九条例四一・昭六二条例五三・一部改正)
第十六条 移転資金の貸付を受けた者は、知事が指示するところにより、移転等によつて取得した建築物又は担保として提供した建築物について、貸付金の償還完了にいたるまでの間継続して火災保険契約を締結し、かつ、当該契約にもとづく保険金請求権について、都のために質権を設定しなければならない。
(貸付決定の取消等)
第十八条 貸付の決定を受け、又は貸付金の交付を受けた者が次の各号のいずれかに該当したときは、知事は、すでに決定した貸付を取り消し、貸付契約を解除し、又は期限の利益を失わせて、期日を指定し、すでに交付した貸付金又は償還すべき元利金を一時に返還させることができる。
一 いつわりの申込みによつて貸付の決定を受けたとき。
六 前各号のほか、知事の指示に違反したとき。
(返還の特例等)
第十九条 知事は、貸付を受けた者が、災害その他その者の責めに帰することができない理由等により、償還が著しく困難となり、又は不能となつたときは、償還方法の変更を承認し、又は債務を減額し、若しくは免除することができる。
(昭四九条例四一・一部改正)
(委任)
第二十一条 この条例の施行について必要な事項は、東京都規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、昭和四十八年四月一日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、すでに公共事業の施行に伴う建築物移転、土地購入等の資金貸付に関する条例(昭和三十五年東京都条例第四十八号)及び土地区画整理事業施行地区内の建築物の移転等に要する資金の貸付に関する条例(昭和三十三年東京都条例第二十号)の規定にもとづき、貸付決定を受けている者に係る貸付額、担保、貸付手続及び償還方法については、なお従前の例による。ただし、知事が必要と認めるものについては、その償還期限を通算二十年の範囲内で延伸することができる。
(既存の条例の廃止)
3 土地区画整理事業施行地区内の建築物の移転等に要する資金の貸付に関する条例は、廃止する。
附則(昭和四九年条例第四一号)
1 この条例は、昭和四十九年四月一日から施行する。
2 この条例の施行の際、既にこの条例による改正前の公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例の規定に基づき、貸付決定を受けている者に係る貸付額、担保及び償還方法については、なお従前の例による。ただし、知事が必要と認めるものについては、償還方法のすえ置期間を二年間に延長することができる。
附則(昭和五四年条例第七八号)
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 この条例の施行の際、この条例による改正前の公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例の規定に基づき、現に貸し付け、又は貸付申込書を受理したものについては、なお従前の例による。
附則(昭和六二年条例第五三号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正後の公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例(以下「改正後の条例」という。)の規定は、次項に定めるものを除き、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に貸付けの決定を受ける者に適用し、施行日前に貸付けの決定を受けた者については、なお従前の例による。
3 改正後の条例第十二条の規定は、昭和六十二年四月一日以後に貸付けの決定を受けた者に適用し、同日前に貸付けの決定を受けた者については、なお従前の例による。
附則(平成一三年条例第六五号)
この条例は、平成十三年四月一日から施行する。