○大気汚染防止法の規定に基づく硫黄酸化物に係る総量規制基準
昭和五一年七月一〇日
告示第六七四号
大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号。以下「法」という。)第五条の二第一項及び第三項の規定に基づき、次のとおり硫黄酸化物に係る総量規制基準を定める。
一 適用地域
東京都の区域のうち、特別区、武蔵野市、三鷹市、調布市、保谷市及び狛江市の区域(以下「指定地域」という。)
二 適用する工場又は事業場
次の(一)又は(二)に該当する工場又は事業場(以下「特定工場等」という。)
(一) 工場又は事業場に設置されているすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設を定格能力で運転する場合において使用される原料及び燃料の量を重油の量に換算したものが一時間当たり三百リットル以上の工場又は事業場
(二) 工場又は事業場に設置されているすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設を、定格能力で運転する場合において使用される原料及び燃料の量を重油の量に換算したものが一時間当たり百リットル以上三百リットル未満であつて、かつ、通常で運転する場合において使用される原料及び燃料の量を重油の量に換算したものが一日当たり二千リットル以上である工場又は事業場
(昭六三告示一〇九・一部改正)
三 総量規制基準
次の区分に従い、それぞれに定めるすべての算式により算出される硫黄酸化物の量
(一) 総量規制基準
Qh=ah・Wb
Qd=ad・Wb
これらの式において、Qh、Qd、W、ah、ad及びbは、それぞれ次の値を表すものとする。
Qh 特定工場等において排出が許容される硫黄酸化物の量(単位 温度零度、圧力一気圧の状態に換算した立方メートル毎時。以下「Nm3/時」という。)
Qd 特定工場等において排出が許容される硫黄酸化物の量(単位 温度零度、圧力一気圧の状態に換算した立方メートル毎日。以下「Nm3/日」という。)
W 特定工場等に基準日前から設置されているばい煙施設(基準日前に設置の工事が着手されたものを含む。)を定格能力で運転する場合において使用される原料及び燃料の量(単位重油の量に換算したキロリットル毎時)
ah及びad 別表第二の当該各欄に掲げる値
b 別表第二の当該各欄に掲げる値
(二) 特別の総量規制基準
基準日以後、新たにばい煙施設が設置され(基準日前に設置の工事が着手された場合を除く。)、又はばい煙施設について構造等の変更がなされた特定工場等(工場又は事業場で、ばい煙施設の設置又は構造等の変更により基準日以後新たに特定工場等となつたものを含む。以下(二)において同じ。)及び新たに設置された特定工場等(基準日以後に設置されたばい煙施設を有するものに限る。)に適用する基準とする。
Qh=ab・Wb+r・ah{(W+Wi)b-Wb}
Qd=ab・Wb+r・ad{(W+Wi)b-Wb}
これらの式において、Qh、Qd、W、Wi、ah、ad、b及びrは、それぞれ次の値を表すものとする。
Qh 特定工場等において排出が許容される硫黄酸化物の量(単位 Nm3/時)
Qd 特定工場等において排出が許容される硫黄酸化物の量(単位 Nm3/日)
W 特定工場等に基準日前から設置されているばい煙施設(基準日前に設置の工事が着手されたものを含む。)を定格能力で運転する場合において使用される原料及び燃料の量(Wiに該当するものを除く。単位 重油の量に換算したキロリットル毎時)
Wi 次のアに掲げる量とイに掲げる量とを合計した量
ア 特定工場等に基準日以後に設置されるばい煙施設(基準日前に設置の工事が着手されたものを除く。)を定格能力で運転する場合において使用される原料及び燃料の量(単位 重油の量に換算したキロリットル毎時)
イ 特定工場等に基準日前から設置されているばい煙施設(基準日前に設置の工事が着手されたものを含む。)で、基準日以後に構造等の変更がなされたばい煙施設(基準日前に構造等の変更の工事が着手されたものを除く。)を定格能力で運転する場合において使用される原料及び燃料の量のうち、当該構造等の変更により増加する原料及び燃料の量(単位 重油の量に換算したキロリットル毎時)
ah及びad 別表第二の当該各欄に掲げる値
b 別表第二の当該各欄に掲げる値
r 別表第二に掲げる値
(昭六三告示一〇九・全改)
四 原料及び燃料の量の重油の量への換算方法
原料及び燃料の量の重油の量への換算方法は、次に定めるとおりとする。
(一) 原料
別表第三による。
(二) 燃料
別表第四による。
(昭六三告示一〇九・一部改正)
五 原料及び燃料の使用量の認定方法
原料及び燃料の使用量の認定方法は、次による。
(一) 硫黄酸化物に係るばい煙発生施設(使用を廃止された硫黄酸化物に係るばい煙発生施設、予備の硫黄酸化物に係るばい煙発生施設(専ら他の硫黄酸化物に係るばい煙発生施設の使用が停止されている間に使用されるものに限る。)及び使用を休止されている硫黄酸化物に係るばい煙発生施設並びに大気汚染防止法施行令(昭和四十三年政令第三百二十九号。以下「令」という。)別表第一の二九の項に掲げるガスタービン及び同表の三〇の項に掲げるディーゼル機関(別表第一を除き、以下「ガスタービン等」という。)のうち専ら非常時において用いられるもの並びに令別表第一の三一の項に掲げるガス機関及び同表の三二の項に掲げるガソリン機関のうち専ら非常時において用いられるものを除く。)を定格能力で運転する場合において使用される原料及び燃料の量により認定する。
(二) 一日当たり二千リットル以上の原料及び燃料の量の使用量の認定は、すべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設について一日当たりの通常の使用量の合計量をもつて認定する。
(昭六三告示一〇九・平三告示一八五・一部改正)
六 適用除外
非常災害その他やむを得ない特段の事情があると知事が認める場合においては、知事が認める特定工場等について、三(一)中「Qd=ad・Wb」の算式により算出される硫黄酸化物の量に係る総量規制基準を適用しない。
(平二三告示三四五の二・追加)
附則
1 この告示は、昭和五十一年八月一日から施行する。
2 次項に定めるものを除き、この告示の施行の際既に硫黄酸化物に係るばい煙発生施設が設置されている特定工場等(この告示の施行の日前に法第六条第一項の規定による届出がなされた硫黄酸化物に係るばい煙発生施設が設置された特定工場等を含む。以下同じ。)については、この告示の規定は、昭和五十二年十一月三十日までは適用しない。
3 この告示の施行の際既に硫黄酸化物に係るばい煙発生施設が設置されている特定工場等で、この告示の施行の日以後に法第六条第一項又は第八条第一項の規定による届出(総量規制基準を達成するための構造等の変更に係るものを除く。)がなされた硫黄酸化物に係るばい煙発生施設(法第六条第一項又は第八条第一項の規定に相当する電気事業法又はガス事業法の規定により許可若しくは認可の申請又は届出(総量規制基準を達成するための構造等の変更に係るものを除く。)がなされた電気工作物又はガス工作物である硫黄酸化物に係るばい煙発生施設を含む。)の設置又は構造等の変更がなされたもののうち、この告示の施行の日から昭和五十二年十一月三十日までの間に当該届出に係る硫黄酸化物に係るばい煙発生施設の設置又は構造等の変更がなされた特定工場等については、この告示の規定は、当該届出に係る硫黄酸化物に係るばい煙発生施設の設置又は構造等の変更がなされた日までは適用しない。
附則(昭和六三年告示第一〇九号)
1 この告示は、昭和六十三年二月一日(以下「施行日」という。)から施行する。
2 施行日前に設置の工事が着手されたガスタービン等については、この告示の規定は、平成三年二月一日から適用する。
(平元告示三六八・一部改正)
3 施行日以後に設置の工事が着手されるガスタービン等については、この告示の規定は、平成元年二月一日から適用する。
(平元告示三六八・一部改正)
附則(平成二八年告示第三五一号)
この告示は、平成二十八年四月一日から施行する。
別表第一
(昭六三告示一〇九・追加、平三告示一八五・一部改正)
| ばい煙発生施設の種類 | 基準日 |
一 | 令別表第一に掲げるばい煙発生施設のうち硫黄酸化物に係るもの(次項以後に掲げるものを除く。) | 昭和五十一年八月一日 |
二 | 令別表第一の一の項に掲げるボイラーのうち伝熱面積が十平方メートル未満のもの | 昭和六十年九月十日 |
三 | 令別表第一の二九の項に掲げるガスタービン及び同表の三〇の項に掲げるディーゼル機関 | 昭和六十三年二月一日 |
四 | 令別表第一の三一の項に掲げるガス機関及び同表の三二の項に掲げるガソリン機関 | 平成三年二月一日 |
別表第二
(昭六三告示一〇九・旧別表第一繰下・一部改正、平二八告示三五一・平二九告示九八五・一部改正)
| 業種 | 一般工場 | 発電所 | 都市ガス製造工場 | 廃棄物焼却工場 | 一般事業場 | 病院及びホテル | b | r | ||||||
| 定数 | ah | ad | ah | ad | ah | ad´ | ah | ad | ah | ad | ah | ad | ||
指定地域の区域区分 |
| ||||||||||||||
一 千代田区及び中央区の区域 | 〇・七三 | 一二・五 | 一・〇四 | 一二・五 | 〇・五七 | 一二・五 | 〇・八六 | 一二・五 | 〇・八三 | 七・三 | 〇・九四 | 一二・五 | 〇・九五 |
| |
二 港区、新宿区、文京区、渋谷区及び豊島区の区域 | 〇・七七 | 一三・二 | 一・一〇 | 一三・二 | 〇・六一 | 一三・二 | 〇・九一 | 一三・二 | 〇・八八 | 七・七 | 〇・九九 | 一三・二 | 〇・八五 |
| |
三 台東区、墨田区及び江東区の区域 | 〇・八七 | 一四・九 | 一・二四 | 一四・九 | 〇・六八 | 一四・九 | 一・〇二 | 一四・九 | 〇・九九 | 八・七 | 一・一二 | 一四・九 | 〇・八〇 |
| |
四 品川区及び大田区の区域 | 一・七一 | 二九・三 | 二・四四 | 二九・三 | 一・三四 | 二九・三 | 二・〇一 | 二九・三 | 一・九五 | 一七・一 | 二・二〇 | 二九・三 | 〇・八〇 |
| |
五 目黒区、世田谷区、中野区、杉並区及び練馬区の区域 | 二・三五 | 四〇・三 | 三・三六 | 四〇・三 | 一・八五 | 四〇・三 | 二・七七 | 四〇・三 | 二・六九 | 二三・五 | 三・〇二 | 四〇・三 | 〇・八五 | 〇・三 | |
六 板橋区、北区、荒川区及び足立区の区域 | 一・四〇 | 二四・〇 | 二・〇〇 | 二四・〇 | 一・一〇 | 二四・〇 | 一・六三 | 二四・〇 | 一・六〇 | 一四・〇 | 一・八〇 | 二四・〇 | 〇・八〇 |
| |
七 | 一・六〇 | 二七・四 | 二・二八 | 二七・四 | 一・二五 | 二七・四 | 一・八八 | 二七・四 | 一・八二 | 一六・〇 | 二・〇五 | 二七・四 | 〇・八五 |
| |
八 武蔵野市、三鷹市、調布市、保谷市及び狛江市の区域 | 二・三一 | 三九・六 | 三・三〇 | 三九・六 | 一・八二 | 三九・六 | 二・七二 | 三九・六 | 二・六四 | 二三・一 | 二・九七 | 三九・六 | 〇・八五 |
|
備考
一 発電所とは、電気事業法第二条第一項第十四号に規定する発電事業の用に供する発電用の電気工作物(同項第十八号に規定するものをいう。)が設置された工場をいう。
二 都市ガス製造工場とは、ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第十三項に規定するガス工作物(同条第一項に規定する特定ガス発生設備を除く。)が設置された工場をいう。
三 廃棄物焼却工場とは、一般廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第二項に規定する廃棄物をいう。)を処理する工場をいう。
四 病院とは、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の二第一項に規定する病院及び同条第二項に規定する診療所をいう。
五 ホテルとは、旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第二項に規定するホテル営業及び同条第三項に規定する旅館営業を営む事業場をいう。
別表第三
(昭六三告示一〇九・旧別表第二繰下)
原料の種類 | 原料の量 | 重油の量 (単位リットル) |
一 鉄の精錬の用に供する焼結炉において用いられる原料 | 一キログラム | 〇・一〇 |
二 石油の精製の用に供する流動接触分解装置に投入される石油 | 一リットル | 〇・〇四 |
三 石油ガス洗浄装置に附属する硫黄回収装置により回収される硫黄 | 一キログラム | 一・一〇 |
四 ガラスの製造の用に供する溶融炉において用いられる原料 (芒硝を使用するものに限る。) | 一キログラム | 〇・五〇 |
五 その他の原料(一般廃棄物及び産業廃棄物を含む。) | 一キログラム | 当該原料の処理に伴い平均的に発生する硫黄酸化物の量に相当する量の硫黄酸化物を燃焼に伴い発生する重油(硫黄含有率〇・二三パーセント、比重〇・九とする。)の量 |
別表第四
(昭六三告示一〇九・旧別表第三繰下、平二九告示九八五・一部改正)
燃料の種類 | 燃料の量 | 重油の量 (単位リットル) |
一 原油及び軽油 | 一リットル | 〇・九五 |
二 ナフサ及び灯油 | 一リットル | 〇・九〇 |
三 石炭 | 一キログラム | 〇・八〇 |
四 液化天然ガス | 一キログラム | 一・三〇 |
五 液化石油ガス | 一キログラム | 一・二〇 |
六 都市ガス (発熱量温度零度、圧力一気圧の状態に換算した一立方メートルにつき五千キロカロリー) | 一立方メートル | 〇・五五 |
七 都市ガス(天然ガス) (発熱量温度零度、圧力一気圧の状態に換算した一立方メートルにつき一万キロカロリー) | 一立方メートル | 一・一〇 |
八 コークス炉ガス及びナフサ分解ガス | 一キログラム | 一・〇〇 |
九 オフガス | 一立方メートル | 〇・九九 |
十 転炉ガス | 一キログラム | 〇・一五 |
十一 木材 | 一キログラム | 〇・四四 |
十二 廃油 | 一リットル | 一・〇〇 |
十三 その他の燃料 | 一リットル (固体燃料は一キログラム、気体燃料は一立方メートル) | 当該燃料の発熱量に相当する発熱量を有する重油(発熱量は、九千百キロカロリーとする。)の量 |
備考
一 都市ガスとは、ガス事業法第二条第三項に規定するガス小売事業者(同条第一項に規定する特定ガス発生設備においてガスを発生させ、導管によりこれを供給する者を除く。)及び同条第六項に規定する一般ガス導管事業者(同条第五項に規定する最終保障供給を行う者に限る。)により供給されるガスをいう。