○東京都雨水浸透指針

平成一三年七月三一日

告示第九八一号

東京都雨水浸透指針

第1 目的

この指針は、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(平成12年東京都条例第215号)第141条第1項の規定に基づき、地下水の保全を図るため、雨水を地下へ浸透させるための方法等について定めることを目的とする。

第2 地下への浸透を推進する雨水

地下への浸透を推進する雨水は、次に掲げる雨水とする。

1 建物の屋根等から雨どい等を経て集まる雨水

2 植栽のない庭、グラウンド等の裸地に降る雨水

3 駐車場等の舗装が施されている場所等に降る雨水

第3 地下への浸透を推進する地域

雨水の地下への浸透を推進する地域は、次に掲げる地域を除く地域とする。

1 地盤の雨水浸透能力が低く、浸透効果を期待できない地域(地下水位が高い地域、地盤の低い地域等)

2 雨水を地下へ浸透させることにより防災上の支障が生じるおそれのある地域(地すべりのおそれのある地域、急傾斜地で崩壊の危険がある地域等)

第4 雨水の浸透方法

雨水の地下への浸透に当たっては、地下水汚染の防止の観点から、拡水法(地表面又は地表近くの地層を通して、雨水を自然に地下へ浸透させる方法をいう。)を用いた次に掲げる雨水浸透施設等により行うものとする。

1 雨水浸透ます

2 雨水浸透トレンチ

3 透水性舗装

4 雨水浸透側溝

5 透水池

6 地表面の緑地化

第5 雨水浸透施設の構造等

雨水浸透施設の構造等は、次のとおりとする。

1 雨水浸透ます

集水機能と透水機能とを有するように、有孔又は多孔性の透水ます、その周辺の砕石の充てん層、砕石充てん層の外面を覆う透水シート、敷砂、連結管(集水管等)等から構成し、必要に応じ、目づまりの防止のためにゴミ除去フィルター等を設けるものとする。

2 雨水浸透トレンチ

浸透機能と通水機能とを有するように、有孔又は多孔性の透水管、その周囲を覆う砕石の充てん層、砕石充てん層の外面を覆う透水シート、敷砂等から構成し、透水管については、こう配をつけて設置するものとする。

なお、雨水浸透トレンチは、集水機能の確保等を図るため、雨水浸透ますとの併用を原則とする。

3 透水性舗装

表層(空げき率の大きい舗装材)、路盤(砕石等)、フィルター層(敷砂)等から構成するものとする。

4 雨水浸透側溝

地表面設置の有孔U字溝、敷砂等から構成し、こう配をつけて設置するものとする。

5 透水池

雨水調整池等の雨水の貯留施設の底部に、雨水浸透ます等及びたい砂池を設置した構成とする。

6 地表面の緑地化

地表面からの雨水の流出率を減少させ、浸透量の増大を図るように、芝等の適当な植物を植栽するものとする。

第6 雨水浸透施設等の規模

1 雨水浸透施設等の規模は、総合的な雨水対策に基づく基準等がある場合を除き、年間降水量の80パーセント程度(降雨強度が1時間当たり10ミリメートル程度)の雨水を、確実に地下へ浸透させることを目標に設定するものとし、浸透対象面積、設置場所の状況及び雨水浸透施設等の浸透能力に応じ、複数の施設の設置や、各種施設の組合せを検討し、選択するものとする。

2 地盤の浸透能力その他の雨水浸透施設等の規模の設定に必要な事項は、原則として既存資料に基づき把握するものとする。

3 雨水浸透施設等の浸透能力を超える雨水については、敷地内の排水設備に排除できるように排水管等を設けるものとする。

第7 雨水浸透施設の施工手順及び施工上の留意事項

雨水浸透施設の施工手順及び施工上の留意事項は、次に掲げるとおりとする。

1 雨水浸透ます、雨水浸透トレンチ、雨水浸透側溝及び透水池

(1) 標準的な施工手順

ア 掘削工

イ 敷砂工

ウ 透水シート工(底面及び側面)

エ 砕石の充てん(底面)

オ 透水ます、透水管等の設置工

カ 砕石の充てん(側面及び上面)

キ 透水シート工(上面)

ク 埋め戻し工

(2) 施工上の留意事項

ア 設置位置は、浸透水による影響を避けるため、建物の基礎等から一定の距離を置くものとする。

イ 設置に当たっては、土圧のかかる場所は避けるものとし、やむを得ず設置する場合には、十分な強度を有する材質の透水ます、透水管等を選定するものとする。

ウ 掘削、転圧等に当たっては、土のかく乱、過転圧等を避け、地山の浸透能力を損なわないようにするものとする。

エ 施工完了後は、当該施設の清掃を行うものとする。

2 透水性舗装

(1) 標準的な施工手順

ア 路床工

イ 敷砂工

ウ 路盤工

エ 表層工

(2) 施工上の留意事項

ア 大型車の駐車場等の加重のかかる場所の表層(舗装材)については、十分な強度を有する材料を選定するものとする。

イ 路床については、土のかく乱、過転圧等を避けるとともに、フィルター層(敷砂)に路床土が混入しないようにするものとする。

ウ 施工完了後は、透水性舗装表面の清掃を行うものとする。

第8 雨水浸透施設等の維持管理

雨水浸透施設等の浸透能力を維持するために、次のような管理を行うものとする。

1 雨水浸透ます等については、定期的にゴミ除去フィルターの点検及び清掃を行うとともに、年に1回程度、ますの底に貯まった泥等の除去を行うものとする。

2 透水性舗装については、高圧水、散水・ブラッシング等により、定期的に表層を洗浄することにより、表層の目づまりの防止を図るものとする。

3 緑地化した敷地については、定期的に施肥を行う等の管理に努めるとともに、適宜、補植を行うものとする。

第9 その他

地下水を揚水する者は、雨水浸透が適さない地域において、地下水に代えて雨水の利用が可能と判断される場合は、地下水の保全を図るため、雨水の貯留施設等の雨水利用のための設備を設け、地下水の揚水量を削減するように努めるものとする。

東京都雨水浸透指針

平成13年7月31日 告示第981号

(平成13年7月31日施行)

体系情報
第9編 環境保全/第2章 害/第3節 規制基準等
沿革情報
平成13年7月31日 告示第981号