○地震、こう水、暴風雨等による被災者に対する住宅の建設及び補修並びにがけの整備に要する資金の貸付に関する条例
昭和三四年八月二五日
条例第六一号
地震、こう水、暴風雨等による被災者に対する住宅の建設及び補修並びにがけの整備に要する資金の貸付に関する条例を公布する。
地震、こう水、暴風雨等による被災者に対する住宅の建設及び補修並びにがけの整備に要する資金の貸付に関する条例
(目的)
第一条 この条例は、地震、こう水、暴風雨等により住宅またはがけに災害を受けた者(以下「被災者」という。)に対して、住宅の建設若しくは補修またはがけの整備に必要な資金を貸し付け、もつて居住の安定を図るとともにその自立の助長に寄与することを目的とする。
(定義)
第一条の二 この条例において「住宅」とは、主として人の居住の用に供する家屋(その一部を事務所、店舗、工場その他人の居住の用以外の用に併用する部分(以下「併用部分」という。)を有するものを含み、共同住宅及び寄宿舎を除く。)をいう。
(昭四〇条例三・追加)
(災害の範囲)
第二条 この条例を適用する災害の範囲は、災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)の適用を受けた災害のほか、知事が認定する災害とする。
2 前項の知事が認定する災害の基準は、東京都規則で定める。
3 前二項の規定により知事が災害の認定をしたときは、その旨を公示する。
(資金の種類)
第三条 住宅に災害を受けたため、住宅を建設する者に対しては当該住宅の建設に要する資金(以下「住宅建設資金」という。)を、住宅を補修する者に対しては当該住宅の補修に要する資金(以下「住宅補修資金」という。)を、がけに災害を受けたためがけを整備する者に対しては当該がけの整備に要する資金(以下「がけ整備資金」という。)を貸し付ける。
2 前項の規定にかかわらず、住宅建設資金及び住宅補修資金については、住宅金融公庫から同種の資金の貸付を受けた者に対しては貸し付けない。
(資付の範囲及び貸付額)
第四条 資金の貸付を行う住宅及びがけの範囲並びに貸付額は、次のとおりとする。
資金の種類 | 貸付の範囲 | 貸付額 |
住宅建設資金 | 住宅が滅失し、または被災直前の価額の五割以上の損害を受けたため新たに建設する住宅で、一戸当りの床面積が十三平方メートル以上百平方メートル以下のもの(併用部分を有する住宅については、併用部分の床面積が当該住宅の床面積の二分の一以下のもの) | 住宅の床面積五十平方メートルを限度として、東京都規則で定める標準建設費により算定した額。ただし、併用部分を有する住宅については、併用部分に係る貸付額は、当該住宅に係る貸付額の二分の一以下の額とする。 |
住宅補修資金 | 被災直前の価額の二割以上五割未満の損害を受けた住宅 | 六万円以上五十万円以内で損害の程度に応じて知事が算定した額。ただし、併用部分を有する住宅については、併用部分に係る貸付額は、当該住宅に係る貸付額の二分の一以下の額とする。 |
がけ整備資金 | 被災直前の高さが二メートルをこえるがけで、整備する擁壁の高さが二メートルをこえるもの | 六万円以上百万円以内で損害の程度に応じて知事が算定した額。ただし、住宅金融公庫から同種の資金の貸付を受けた場合は、その額を控除した額とする。 |
2 前項の規定にかかわらず、建設し、または補修する住宅が併用部分を有するものであつて、当該併用部分が風俗営業等取締法(昭和二十三年法律第百二十二号)第一条に規定する風俗営業またはその業態について同法第四条の二の規定により規制される飲食店営業の用に供されるものであるときは、当該併用部分に係る資金は、貸し付けない。
(昭三七条例一二五・昭四〇条例三・一部改正)
(貸付を受けることができる者の資格)
第五条 資金の貸付を受けることができる者は、次の要件を備えていなければならない。
一 貸付を受けた資金の償還能力を有すること。
二 都内に住所を有する確実な保証人があること。
(公示)
第六条 知事は、資金の貸付を行うときは、申込の期間、資金の種類その他申込に必要な事項を公示する。
(申込書の提出)
第七条 資金の貸付を受けようとする者は、申込書に東京都規則で定める書類を添えて、知事に提出しなければならない。
(貸付の決定及び通知)
第八条 知事は、資金の貸付を決定したときは、すみやかに申込者に対し、その旨を通知する。
(貸付契約)
第九条 前条の通知を受けた者は、通知を受けた日から一月以内に知事が定める契約書に東京都規則で定める書類を添えて、知事に提出しなければならない。
(工事着手の期限)
第十条 資金の貸付契約を締結した者は、その日から起算して三月以内に工事に着手しなければならない。
(設計変更等の承認)
第十一条 資金の貸付決定を受けまたは貸付契約を締結した者は、工事の設計を変更しようとするときまたは前条に定める期間内に工事に着手できないときは、すみやかに知事の承認を受けなければならない。
(資金の交付の時期及び方法)
第十二条 資金の交付の時期及び方法は、次のとおりとする。
一 住宅建設資金については、建物の荒壁及び屋根ふきが完了したとき貸付額の二分の一に相当する額の資金を交付し、建物が完成した後(第十七条の規定により、抵当権の設定を要する場合は、当該抵当権設定の手続が完了した後)当該資金の残額を交付する。
二 住宅補修資金及びがけ整備資金については、当該資金にかかる住宅の補修またはがけの整備が完了した後(第十七条の規定により、抵当権の設定を要する場合は、当該抵当権設定の手続が完了した後)それぞれ交付する。
(昭三七条例一二五・昭四〇条例三・一部改正)
(利息)
第十三条 資金には、年五・五パーセントの利率による利息を付する。ただし、すえおき期間中(住宅建設資金については第一回の貸付の日から貸付を終えた日の属する月の末日まで、住宅補修資金及びがけ整備資金については貸付を終えた日から、その日の属する月の末日までの期間を含む。)は無利息とする。
(昭三七条例一二五・全改、昭四五条例九一・一部改正)
(償還方法等)
第十四条 資金の償還及び利息の支払の方法は、次のとおりとする。ただし、期限前でも繰り上げて償還することができる。
一 住宅建設資金については、貸付を終えた日の属する月の翌月から起算して三年間すえおき、以後十二年間の元利均等半年賦償還とする。
二 住宅補修資金及びがけ整備資金については、貸付を終えた日の属する月の翌月から起算して一年間すえおき、以後七年間の元利均等半年賦償還とする。
(昭三七条例一二五・一部改正)
(償還方法の特例)
第十五条 知事は、資金の貸付を受けた者が災害その他の理由により貸付金の償還が困難となつたときは、貸付金の償還及び利息の支払の方法の変更を承認し、または残存債務を減免することができる。
(昭三七条例一二五・全改)
(違約金)
第十六条 第十四条の割賦金の償還を怠つた者は、当該償還すべき日の翌日から償還の日までの期間の日数に応じ、償還すべき金額につき年十四・六パーセントの割合で計算した違約金を支払わなければならない。ただし、知事が特別の理由があると認めるときは、この限りでない。
(昭三七条例一二五・昭四五条例九一・一部改正)
(抵当権の設定)
第十七条 住宅建設資金または十五万円をこえる額の住宅補修資金若しくはがけ整備資金の貸付を受けた者は、知事が指示するところにより、土地または建物について、東京都に対し、抵当権を設定しなければならない。
(昭四〇条例三・全改)
(火災保険契約及び質権の設定)
第十八条 住宅建設資金の貸付を受けた者は、貸付金により建設した住宅について、貸付金の償還完了に至るまでの間継続して貸付金相当額以上の火災保険をつけ、かつ、保険金請求について東京都に対し、質権を設定しなければならない。
(昭三七条例一二五・昭四〇条例三・一部改正)
(被災等の届出)
第十九条 資金の貸付を受けた者は、当該資金の貸付の対象となつた住宅またはがけについて貸付金の償還完了前に火災、水災その他東京都規則で定める事故が発生したときは、すみやかに知事にその旨を届け出なければならない。
(貸付決定の取消及び契約の解除)
第二十条 知事は、資金の貸付決定を受け、または貸付金の交付を受けた者が、次の各号の一に該当する場合は、資金の貸付決定を取り消し、貸付契約を解除し、すでに交付した貸付金の返還を命じ、または償還すべき元利金を一時に返還させることができる。
一 いつわりの申込によつて貸付決定を受けたとき。
二 正当な理由がなくて、住宅の建設工事若しくは補修工事またはがけの整備工事を著しく遅延し、完成の見込がないと認められるとき。
三 正当な理由がなくて、割賦金の償還または違約金の支払を怠つたとき。
四 住宅建設資金または住宅補修資金の貸付を受けて建設し若しくは補修した住宅を滅失し、またはその価値を著しく減じたとき。
五 第十七条の規定により抵当権が設定された土地または建物を滅失し、またはその価値を著しく減じたとき。
六 住宅建設資金または住宅補修資金の貸付を受けて建設し、または補修した住宅を譲渡したとき。
七 住宅建設資金または住宅補修資金の貸付を受けて建設し、または補修した併用部分を第四条第二項に規定する営業の用に供したとき。
八 貸付契約に違反したとき。
九 前各号のほか、この条例の規定に違反したとき。
(昭四〇条例三・一部改正)
(委任)
第二十一条 この条例の施行について必要な事項は、東京都規則で定める。
付則
この条例は、公布の日から施行する。
付則(昭和三七年条例第一二五号)
1 この条例は、公布の日から施行し、次項に定めるものを除くほか、昭和三十七年八月二十四日以降発生した地震、こう水、暴風雨等により住宅またはがけに災害を受けた者に対する貸付について適用する。
2 この条例による改正後の地震、こう水、暴風雨等による被災者に対する住宅の建設及び補修並びにがけの整備に要する資金の貸付に関する条例第十五条の規定は、この条例の施行の際において、この条例による改正前の地震、こう水、暴風雨等による被災者に対する住宅の建設及び補修並びにがけの整備に要する資金の貸付に関する条例の規定により、現に住宅建設資金、住宅補修資金またはがけ整備資金の貸付を受けている者についても適用する。
付則(昭和四〇年条例第三号)
この条例は、公布の日から施行し、昭和四十年一月十一日以降発生した地震、こう水、暴風雨等により住宅またはがけに災害を受けたものに対する貸付について適用する。
附則(昭和四五年条例第九一号)抄
1 この条例は、公布の日から施行する。