○小河内ダム管理規程

昭和五三年二月一五日

水道局管理規程第三号

小河内ダム管理規程

目次

第一章 総則(第一条―第五条)

第二章 平常時の作業(第六条―第十七条の五)

第三章 出水時等の作業等(第十八条―第二十三条)

第四章 雑則(第二十四条―第二十六条)

附則

第一章 総則

(通則)

第一条 小河内ダム(以下「ダム」という。)の操作並びにダム及び小河内貯水池(以下「貯水池」という。)の管理は、別に定める河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第四十七条第一項の規定に基づく東京都水道局小河内ダム操作規程(以下「操作規程」という。)及びこの規程の定めに従い行うものとする。

(定義)

第二条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 多摩川第一発電所取水管

堤体内Fブロツク標高四百五十三メートルの地点から多摩川第一発電所までの間に設置した取水管をいう。

 第一号取水施設

堤体内Lブロツク及びMブロツク標高四百二十五メートルの地点に設置した二本の取水管(左岸側を第一号取水管、右岸側を第二号取水管という。)で、二重の仕切弁及び減勢弁を備えているものをいう。

 第二号取水施設

次に掲げる施設及びこれらに附属する設備の総体をいう。

(一) 取水庭

貯水池左岸余水吐上流に設置した開きよ構造の導水きよをいう。

(二) 表面取水ゲート

取水口内に設置した六段のゲート(下流側から順に第一段ゲート、第二段ゲート、第三段ゲート、第四段ゲート、第五段ゲート及び第六段ゲートという。)をいう。

(三) 取水口ゲート

取水口底部標高四百八十二・四メートルの地点に設置した鋼製ローラーゲートをいう。

(四) 導水トンネル

取水口下流端から減勢弁室までの導水管のうち、取水口下流端から百六十七・六メートルの区間のコンクリート巻立導水管をいう。

(五) 導水鉄管

導水トンネルの下流端から減勢弁室内仕切弁までの延長八十九・五八一メートルの導水管をいう。

(六) 減勢弁室

余水吐左岸標高四百八十五・五メートルに設置した取水用仕切弁及び減勢弁を格納する室をいう。仕切弁及び減勢弁は、減勢池に向つて左岸から第一号仕切弁、第一号減勢弁、第二号仕切弁、第二号減勢弁、第三号仕切弁及び第三号減勢弁という。

(七) 減勢池

余水吐副ダム上流の放流池をいう。

 水じよく池ゲート

水じよく池副ダムに東京都交通局が設置したバランス型自動水位調整ゲートをいう。

 排水ポンプ

堤体内標高三百八十六メートルのポンプ井底部に、二台並列に設置したポンプ(左岸側を第一号機、右岸側を第二号機という。)をいう。

 冷水対策施設導水路

第二号取水施設導水鉄管の分岐から、多摩川第一発電所第二号弁までの延長千六十一・五メートルの導水施設をいう。

(昭五五水管規程二七・平八水管規程一・一部改正)

(管理主任技術者)

第三条 操作規程第二条第一項に規定する管理主任技術者(以下「主任」という。)は、東京都水道局(以下「局」という。)職員のなかから局長が任命する。

(主任の任務)

第四条 主任は、操作規程及びこの規程の定めるところに従い、ダムの操作並びに貯水池及びダムの管理を行わなければならない。

(管理すべき施設の範囲)

第五条 この規程の規定により主任が管理すべき施設の範囲は、次に掲げるとおりとする。

 ダム

(一) 堤体及びこれに設置する諸測定設備

(二) 第一号取水施設及び水じよく池

(三) エレベーター、照明用設備及びらせん階段

(四) 排水ポンプ

 附属工作物

(一) 余水吐及びその附属物

(二) 第二号取水施設

(三) 冷水対策施設導水路

(四) 貯水池内の諸施設

(五) その他

(昭五五水管規程二七・全改、平八水管規程一・一部改正)

第二章 平常時の作業

(放流)

第六条 主任は、別に局長が定める小河内ダム放流計画に基づき、必要な水量を多摩川第一発電所取水管及び冷水対策施設導水路により放流しなければならない。この場合の放流量は、局と東京電力株式会社との間において締結した「氷川発電所の取水に関する協定」に定める氷川発電所の取水量を下回つてはならない。

2 主任は、局長の指示に基づく場合のほかは、前項の放流を変更してはならない。ただし、やむを得ない事情がある場合で局長が指示したときは、第一項の放流量のほか、必要な水量を第一号取水施設及び冷水対策施設導水路又は第二号取水施設及び冷水対策施設導水路により放流しなければならない。

(昭五五水管規程一七・昭五五水管規程二七・平八水管規程一・一部改正)

(水じよく池ゲートの操作の指示)

第七条 主任は、局と東京都交通局との間に締結した「小河内貯水池貯水量の放流基準暫定協定」に基づく水じよく池ゲートの操作に関する指示を行うものとする。

(排水ポンプの操作)

第八条 主任は、排水ポンプ水位を常に標高三百八十九メートル(監査ろう床面)以下に保つように排水ポンプを操作しなければならない。

(点検、整備等)

第九条 操作規程第十八条第一項に定める点検及び整備は、次により行うものとする。

 ダム及びその附属工作物並びに貯水池周辺の状況等を常に監視すること。

 ゲート、弁、エレベーター、照明設備及びこれらの附属機械器具その他の設備を常に点検し、操作上支障のないようにしておくこと。

 減勢池への土砂等の流入は、極力防止する対策を講じるとともに、流入した土砂等は速やかに除去すること。

 ダム正面の漂流物は適宜取り除き、特に取水口付近は、常にごみ等のないようにしておくこと。

 通信連絡設備(放流警報設備を含む。)、操作規程別表第三に掲げる観測用の設備その他の計測設備は、常に良好な状態にしておくこと。

 変電設備、電線路等の保守等については、別に定めるところによる。

(昭五五水管規程二七・平八水管規程一・一部改正)

(異常を認めた場合の措置)

第十条 主任は、前条において異常を認めた場合は、速やかに適当な措置を講じなければならない。ただし、当該異常が重大である場合は、直ちに浄水部長(以下「部長」という。)に報告し、その指示を受けて措置するものとする。

2 前項ただし書により措置した場合は、その結果を速やかに部長に報告するものとする。

(昭五五水管規程一七・昭五八水管規程三七・平八水管規程一・一部改正)

(貯水位等の観測、測定)

第十一条 操作規程別表第三に掲げる事項の観測値は、次の各号によるものとする。

 貯水位 毎日午前七時の測定値

 水位及び流量 毎日午前七時の測定値及びその前日の平均値

 降水量 毎日午前九時の観測値

(平八水管規程一・一部改正)

(気象等の観測、測定)

第十二条 操作規程別表第四に掲げる事項の観測値又は測定値は、次の各号によるものとする。

 気象 毎日午前九時の観測値

 水象

 使用水量 毎日午前七時の測定値及びその前日の平均値

 貯水池の放流水の濁度及び水温 毎日午前七時の測定値

 ダムの状況

 変形及び揚圧力 毎四半期一回の測定値

 漏水量 毎月二回の測定値

 堆砂の状況 毎年十一月の測定値

(平八水管規程一・令四水管規程四・一部改正)

(その他の観測、測定)

第十三条 主任は、操作規程別表第三及び第四に掲げる事項のほか、次の各号に掲げる事項について観測し、又は測定しなければならない。

 熱海地点換算流量

 ダム地点換算流量

 氷川発電所取水量

 副ダムいつ水量

 羽村地点流量

 第一号取水施設及び第二号取水施設からの取水量

 その他必要な事項

2 前項第一号から第六号までに掲げる事項の測定値は、毎日午前七時の値及びその前日の平均値とする。

(昭五五水管規程二七・平八水管規程一・一部改正)

(流量の実測)

第十四条 主任は、丹波川、後山川及び小菅川の各水位観測所における流量を毎月三回、そのほかの水位観測所における流量は必要に応じて、実測しなければならない。

(記録)

第十五条 主任は、第九条の点検、整備等の結果並びに第十一条から前条までの観測及び測定の結果を別に定める様式により記録しなければならない。

(第一号取水施設の取水管予備仕切弁の操作)

第十六条 第一号取水施設の取水管に設けられた二重の仕切弁のうち、上流側の弁及び上流側のバイパス弁は予備とし、常時全開しておくものとする。

(昭五五水管規程二七・平八水管規程一・一部改正)

(第一号取水施設の取水管弁の操作方法)

第十七条 操作規程第十一条の規定により第一号取水施設の取水管から放流する場合の第一号取水施設の取水管弁の操作は、次の各号の順序により行わなければならない。

 仕切弁のバイパス弁を全開し、管内を満水にする。

 仕切弁を全開する。

 減勢弁を所要開度だけ開放する。

2 放流を停止する場合の第一号取水施設の取水管弁の操作は、次の各号の順序により行わなければならない。

 減勢弁を全閉する。

 仕切弁を全閉する。

 仕切弁のバイパス弁を全閉する。

 減勢弁を開放して管内の水を排水した後全閉する。

(昭五五水管規程二七・平八水管規程一・一部改正)

(第二号取水施設の操作方法)

第十七条の二 操作規程第十一条の規定により第二号取水施設の取水管から取水する場合の操作は、次の順序により行わなければならない。

 減勢池内のたい砂等を除去する。

 副ダムに設置した角落しが正常な位置にあることを確認する。

 多摩川第一発電所第二号弁の全閉を確認する。

 取水口ゲートに内蔵された充水用弁を全開し、導水トンネル及び導水鉄管(以下「導水管」という。)内を満水にする。

 空気弁を開にし、導水管内の空気を排除する。

 導水管圧力計と取水口水位計により導水管内の充水を確認する。

 取水口ゲートを全開する。

 使用する取水管の仕切弁に附属するバイパス弁を全開する。

 仕切弁と減勢弁間の充水完了をリミットスイッチ動作により確認の上バイパス弁を全閉する。

 使用する取水管の仕切弁を全開する。

十一 表面取水ゲートを作動する。

十二 減勢池からの越水を確認の上減勢弁を設定の開度だけ開放する。

2 取水を停止する場合の第二号取水施設の操作は、次の順序により行わなければならない。

 冷水対策施設導水路から取水していない場合

(一) 減勢弁を全閉する。

(二) 仕切弁を全閉する。

(三) 取水口ゲートを全閉する。

(四) 表面取水ゲートを全閉する。

(五) 余水吐副ダム排砂管を全開する。

 冷水対策施設導水路から取水している場合

(一) 減勢弁を全閉する。

(二) 仕切弁を全閉する。

(三) 余水吐副ダム排砂管を全開する。

(昭五五水管規程二七・追加、平八水管規程一・一部改正)

(冷水対策施設導水路の操作方法)

第十七条の三 操作規程第十一条の規定により冷水対策施設導水路を使用する場合は、第十七条の二第一項第三号から第七号まで及び第十一号の操作により、導水管内を充水する。

2 冷水対策施設導水路の取水を停止する場合の操作は、次の順序により行わなければならない。

 第二号取水施設の取水管から取水していない場合

(一) 多摩川第一発電所第二号弁の全閉を確認する。

(二) 取水口ゲートを全閉する。

(三) 表面取水ゲートを全閉する。

 第二号取水施設の取水管から取水している場合

多摩川第一発電所第二号弁の全閉を確認する。

(平八水管規程一・追加)

(冷水対策施設導水路の使用期間)

第十七条の四 操作規程第十一条の規定により冷水対策施設導水路を使用する期間は、四月一日から十一月三十日までとする。ただし、東京都交通局発電事務所と協議した場合には、当該期間以外の期間を、使用する期間とすることができる。

(平八水管規程一・追加)

(取水施設の運用)

第十七条の五 多摩川第一発電所取水管、第一号取水施設、第二号取水施設及び冷水対策施設導水路から取水する場合は、別表に規定する運用方法に基づいて行う。

(平八水管規程一・追加)

第三章 出水時等の作業等

(予備警戒時)

第十八条 操作規程第七条に定める「その他洪水が発生するおそれがあると認められるに至つた時」とは、次の各号の一に該当するときをいう。

 国土交通大臣又は東京都知事が水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)に基づき水防警報を発したとき。

 ダム地点における流入水量が、毎秒百立方メートルを超えたとき。

 多摩川上流域における一日の雨量が、五十ミリメートルを超えると予想されるとき。

2 操作規程第七条に定める「その他洪水が発生するおそれがないと認められるに至る時」とは、前項各号の一に該当しなくなつたときをいう。

(平一三水管規程一・一部改正)

(予備警戒時勤務)

第十九条 主任は、操作規程第七条に定める予備警戒時に至つたとき、その他必要と認めるときは、東京都水道局小河内貯水池管理事務所(以下「管理事務所」という。)の職員に対し、別に定める予備警戒時勤務体制に入ることを命じるものとする。

2 予備警戒時勤務体制に入つた場合は、主任は、操作規程別表第三に定める予備警戒時の観測及び同規程第二十条に定める措置を行うほか、ダム地点の気象状況を常時観測しなければならない。

(洪水警戒時)

第二十条 操作規程第五条に定める「その他洪水の発生のおそれが大きいと認められるに至つた時」とは、次の各号の一に該当するときをいう。

 ダム地点における流入量が毎秒三百立方メートルを超えると予想されるとき。

 多摩川上流域における一日の雨量が、百ミリメートルを超えると予想されるとき。

(洪水警戒時勤務)

第二十一条 主任は、操作規程第四条の洪水時又は同規程第五条の洪水警戒時に至つたとき、その他必要と認めるときは、管理事務所の職員に対し、別に定める洪水警戒時勤務体制に入ることを命じ、かつ、部長にその旨を報告しなければならない。

2 洪水警戒時勤務体制に入つた場合は、主任は、操作規程第二十一条から第二十三条に定める措置をしなければならない。

(洪水警戒時勤務体制等の解除)

第二十二条 主任は、予備警戒時勤務体制及び洪水警戒時勤務体制の必要がなくなつたと認めるときは、当該勤務体制を解除し、使用した機械、器具及び資材の点検及び整備を行わなければならない。

(洪水警戒時勤務体制解除の報告)

第二十三条 主任は、洪水警戒時勤務体制を解除したときは、その旨を部長に報告するとともに、次に掲げる事項を記録し、整理しておかなければならない。

 各観測所における雨量等の気象観測記録

 各観測所における河川流量

 ダム地点における一時間ごとの貯水位及び流入水量並びに余水吐ゲートの開度及び放流量並びにそれらに関する図面

 ダム及び付属工作物の被害状況

 その他必要な事項

2 主任は、前項に掲げる事項の記録及び整理が終つたときは、速やかにその結果を部長に報告しなければならない。

第四章 雑則

(事故等の措置)

第二十四条 主任は、その管理にかかる施設等において事故(第十条に定める場合を除く。以下同じ。)が発生し、又は発生する恐れがあるときは、速やかに適宜の措置を講じるとともに、部長に報告しなければならない。ただし、事故が異常かつ重大な場合は、その措置について部長の指示を受けるものとする。

2 前項ただし書による措置の結果は、速やかに部長に報告するものとする。

(定期報告)

第二十五条 主任は、ダム及び貯水池の管理状況について、必要な事項を毎日部長に報告しなければならない。

2 主任は、ダム及び貯水池の管理状況について、別に定める様式により月報にあつては毎月翌月の十日までに、年報にあつては翌年度の八月末までに作成し、部長に必要部数を送付するものとする。

(実施細則)

第二十六条 この規程の施行に関し必要な事項は、別に部長が定める。

この規程は、公布の日から施行する。

(昭和五五年水管規程第一七号)

1 この規程は、公布の日から施行する。

(昭和五五年水管規程第二七号)

この規程は、公布の日から施行し、この規程による改正後の小河内ダム管理規程の規定は、昭和五十五年七月一日から適用する。

(昭和五八年水管規程第三七号)

この規程は、公布の日から施行する。

(平成八年水管規程第一号)

この規程は、公布の日から施行する。

(平成一三年水管規程第一号)

この規程は、平成十三年一月六日から施行する。

(令和四年水管規程第四号)

この規程は、公布の日から施行する。

別表(第17条の5関係)小河内ダム取水施設の運用方法

(平8水管規程1・追加)

平常時(21.5m3/s以下)

夏期(4/1~11/30)

冷水対策施設導水路(最大21.5m3/s)から放流

冬期(12/1~3/31)

多摩川第一発電所取水管(最大21.5m3/s)から放流

緊急時及び渇水時

夏期

21.5m3/s<Q≦30.0m3/s

冷水対策施設導水路と第二号取水施設の取水管で放流

30.0m3/s<Q≦40.75m3/s

冷水対策施設導水路と多摩川第一発電所取水管を優先し、不足分を第二号取水施設の取水管から放流

40.75m3/s<Q≦51.5m3/s

多摩川第一発電所取水管を優先し、不足分を第二号取水施設の取水管から放流

冬期

21.5m3/s<Q≦51.5m3/s

多摩川第一発電所取水管を優先し、原水の必要に応じて第二号取水施設の取水管から放流

異常渇水時

通年

第二号取水施設の取水管から取水できない貯水位の場合、多摩川第一発電所取水管から放流

さらに多摩川第一発電所取水管から取水できない貯水位の場合、第一号取水施設から放流

小河内ダム管理規程

昭和53年2月15日 水道局管理規程第3号

(令和4年3月22日施行)

体系情報
第14編 水道・下水道/第2章 水道事業/第6節 上水道/第1款 水源及び水路
沿革情報
昭和53年2月15日 水道局管理規程第3号
昭和55年4月1日 水道局管理規程第17号
昭和55年8月30日 水道局管理規程第27号
昭和58年6月1日 水道局管理規程第37号
平成8年3月18日 水道局管理規程第1号
平成13年1月5日 水道局管理規程第1号
令和4年3月22日 水道局管理規程第4号