(要旨)

第1条　この規程は，東京消防庁消防吏員(以下「消防吏員」という。)及び消防部隊の礼式について必要な事項を定める。

(礼式の目的)

第2条　消防礼式(以下「礼式」という。)の目的は，消防吏員が礼節を明らかにし，規律を正し，隊員の品位の向上を図るとともに，上下同僚互いに融和団結して，消防一体の実を挙げることにある。

(用語の意義)

第3条　この規程に用いる用語の意義は，次のとおりとする。

(敬礼)

第4条　敬礼は，すべて至誠の念をもって行い，粗略に流れ又は形式に陥ってはならない。

(敬礼の種別及び動作)

第4条の2　敬礼の種別及び動作は，次の各号に掲げるとおりとする。

(国旗等に対する敬礼)

第5条　観閲式，表彰式，祝賀式，葬送式，出初式，入校式及び卒業式等(以下「儀式」という。)の場合においては，国旗等に対して敬礼を行うものとする。

(儀式の場合の敬礼)

第6条　儀式に参列したときは，その儀式において行う敬礼の方式に従う。

(執務中及び休憩中の敬礼)

第7条　水火災の防ぎょ活動，演習，点検，操練，操車，操船，その他職務執行中は，敬礼を行わない。ただし，特に定めのある場合及び事務執行上支障がないときは敬礼を行う。

(故人に対する敬礼)

第8条　故人の霊，ひつぎ(以下「ひつぎ等」という。)に対するときは，最敬礼を行うものとする。ただし，着帽時に，移動するひつぎ等に対して，部隊又は多数の者が集合して敬礼を行う場合には，指揮者の「敬礼」の号令により，挙手注目の敬礼を行うことができる。

(呼称)

第9条　消防吏員は，原則として，氏と職名又は階級をあわせて呼称する。ただし，礼を失しないよう職名のみを呼称してもさしつかえない。

(私服着用時の敬礼)

第10条　消防吏員は，私服着用時であっても礼式に反しないよう相当の敬礼を行う。

(部外者に対する準用)

第11条　消防吏員は，部外の団体及び個人等に対する敬礼にもこの礼式を準用してさしつかえない。

(礼式の種別)

第12条　消防吏員の礼式を脱帽時の礼式及び着帽時の礼式に分ける。

(脱帽及び着帽の区別)

第13条　居室，事務室，休憩室等は脱帽とし，廊下，車内，望楼，機械置場，甲板，短艇内等は，通常着帽とする。ただし，室内で着帽のまま執務するときは着帽時の敬礼，室外で脱帽中の場合は，脱帽時の敬礼を行ってもさしつかえない。

(脱帽時の敬礼)

第14条　脱帽時の敬礼は，最敬礼，姿勢を正す敬礼及び15度の敬礼とする。

(最敬礼)

第15条　最敬礼は，ひつぎ等に対して行う。

(姿勢を正す敬礼)

第15条の2　姿勢を正す敬礼は，国歌，国旗等又は室内において上司に応答する場合に行う。

(15度の敬礼)

第15条の3　脱帽している場合は，前2条に定めるもののほか，15度の敬礼を行う。

(室内に入るとき)

第16条　室内に入るときは，職務の執行上支障ある場合以外は，室外で脱帽するものとする。

(辞令，賞状，書類その他物品を受けるとき)

第17条　室内で辞令，賞状，書類その他の物品を受けるときは，授与者の席の前方おおむね2メートルの位置で敬礼を行い，受領しやすい位置に直ちに前進し，帽子を左わきにはさみ，右手で受け，左手を添えてこれを見たのち左手に収め，ついで帽子を右手に移して，もとの位置にもどり敬礼を行い，退去するものとする。

(上司に書類その他の物品を提出するとき)

第18条　室内で，上司に書類その他の物品を提出するときは，左手から右手に移して行うほか，前条の規定に準ずる。

(命令申告のとき)

第19条　室内で上司から命令等を受け又は上司に申告等を行うときは，上司の席の前方おおむね2メートルの所で敬礼を行ったのち，命令等を受け，又は申告等を行い，敬礼を終って退去する。ただし，必要あるときは，敬礼後適宜前進してもさしつかえない。

(訓授場，教場等における敬礼)

第20条　訓授場，教場等に訓授者又は教養者が来場したときは，在場中の最上級者若しくはあらかじめ定められた者が，「気をつけ」又は「起立」の号令をかけ，訓授者又は教養者が訓授の席若しくは教壇についたとき，「敬礼」の号令で一せいに敬礼を行い，ついで「直れ」の号令でもとに復し，次に「整列―休め」，「休め」又は「着席」の号令をかける。

(訓授，教養又は作業中の敬礼)

第21条　室内で，訓授，教養又は作業中，上司が来場し，又は退場するときは，訓授者等のみが敬礼を行う。

(応答)

第22条　室内において上司に応答するときは，起立し，又は着席のまま姿勢を正して行うものとする。

(着帽時の敬礼)

第23条　着帽時の敬礼は，最敬礼，挙手注目の敬礼及び姿勢を正す敬礼とする。

(最敬礼)

第23条の2　最敬礼は，ひつぎ等に対して行う。

第24条　挙手注目の敬礼は，次の各号に掲げるものについて行う。ただし，受礼者に対しては，前方おおむね5メートルの所で行う。

(姿勢を正す敬礼)

第24条の2　姿勢を正す敬礼は，次の各号に掲げるものについて行う。

(歩行中の場合)

第25条　歩行のまま敬礼を行うことができる。ただし，国歌，国旗等及びひつぎ等に対しては，停止して行う。

(上司の前にでるとき)

第26条　上司の前にでるときは，停止した後敬礼を行うものとする。

(部隊に対する敬礼)

第27条　部隊又は個人が部隊に対して行う敬礼は，通常，指揮者に対して行うものとする。

(辞令，書物品等を受け，又は提出するとき)

第28条　室外で，辞令，賞状，書類その他の物品等を受けるとき，又は提出するときは，上司の席の前方おおむね5メートルの所で挙手注目の敬礼を行い，両手で受領又は提出することとするほか，第17条及び第18条の要領に準じて行うものとする。

(命令等を受け，又は申告等を行うとき)

第29条　室外で，上司から命令等を受け，又は上司に申告等を行うときは，前条の規定による敬礼を行い，他は第19条の室内の要領で行うものとする。

(表彰式等における特例)

第30条　表彰式等において受賞者が複数の場合は，第17条及び第28条の規定にかかわらず，複数の者が一同に敬礼動作を行うか，又は受賞者の代表をあらかじめ指定して行うことができる。

(上司と共に在るとき)

第31条　上司と同行するときは，その左側又は後方を歩くものとする。ただし，2人以上で上司と同行するときは，その両側又は後方を歩くものとする。

(上司と自動車に同乗するとき)

第32条　自動車に乗車するときは，上司を先にし，運転者の後方又は上司の左側に着席し，下車するときは，上司を後にする。

(上司と船艇に乗降するとき)

第32条の2　船舶のげんていなどを上るときは，上司を先にし，降りるときは上司を後にする。

(消防部隊の礼式の種別)

第33条　消防部隊の礼式を部隊の礼式及び儀式の礼式に分ける。

(観閲者)

第34条　観閲者とは，儀式を検閲又は査閲する者をいう。

(部隊の敬礼)

第35条　部隊の敬礼は，最敬礼，注目の敬礼，かしら右(左，中)の敬礼及び姿勢を正す敬礼とする。

(最敬礼)

第35条の2　最敬礼は，ひつぎ等に対して行う。

(注目の敬礼)

第35条の3　注目の敬礼は，国旗等に対して行う。

(かしら右(左，中)の敬礼)

第35条の4　かしら右(左，中)の敬礼は，次の各号に掲げるものについて行う。

(姿勢を正す敬礼)

第35条の5　姿勢を正す敬礼は，着帽時にあっては第24条の2の各号について行い，脱帽時にあっては国歌，国旗等に対して行う。

(行進間の敬礼)

第36条　行進間の部隊の敬礼は，速足で行う。ただし，かけ足及びみち足行進の場合は，指揮者のみが敬礼を行う。

(上級者に対する敬礼)

第37条　上級者に対する部隊の敬礼は，部隊の指揮者が上級者に対してこれを行うものとする。

(部隊間の敬礼)

第38条　消防部隊間の敬礼は，指揮者の階級の下の者から行い，同級又は階級が明らかでないときは，先後を問わず行うものとする。

(敬礼を行う単位)

第39条　部隊の敬礼は，通常独立する分隊，小隊又は中隊では，各隊ごとに，大隊では各中隊ごとに行う。ただし，二個大隊以上の部隊で停止間の場合は，大隊ごとに行うものとする。

(消防車両及び消防船艇の敬礼)

第40条　行進(航行)中における各消防車両(船艇)の乗車(乗船)員は，指揮者の号令でそのまま姿勢を正し，又は注目し，指揮者のみ挙手注目の敬礼を行う。ただし，場合により，指揮者のみが敬礼を行ってもさしつかえない。

(室内又は夜間の敬礼)

第41条　室内又は夜間は，特別の場合を除き，部隊の敬礼は行わない。

(旗の敬礼)

第42条　部隊に，隊の標識である旗が付随している場合には，部隊の敬礼とともに旗の敬礼を行う。

(観閲者の臨場及び退場)

第43条　観閲者が臨場したときは，指揮者は，「気をつけ」の号令をかけ，観閲者が定位置についたときは，第35条の4の部隊の敬礼を行い，つぎに指揮者は前進して，人員，機械器具その他の必要事項を報告し，もとの位置にもどり「整列―休め」の号令をかけたのち，観閲者を誘導又はこれに随行するものとする。

(指揮者)

第44条　指揮者は，観閲者が消防総監である場合は部長，消防総監以外の場合は，適宜定めるものとする。

(検閲の隊形)

第45条　検閲の隊形は，一列横隊とし，消防自動車その他の機械は，隊員の後方に，その先端を一線上に配列する。ただし，消防自動車その他の機械のない場合は，大隊横隊とする。これは別図第2のとおりとする。

(検閲における部隊の敬礼)

第46条　検閲における部隊の敬礼は，観閲者が各大隊の先頭に近づいたとき，当該大隊長に「気をつけ」の号令をかけ，ついでおおむね7メートルに近づいたとき，「かしら―右」の号令をかける。小隊長以上は，挙手注目の敬礼を行い，隊員は目迎目送を行う。観閲者が当該大隊をおおむね7メートルすぎたとき，「なおれ」の号令をかけ，ついで，「整列―休め」の号令をかける。

(分列行進の隊形)

第47条　分列行進の隊形は，消防自動車部隊の場合は，二列縦隊とし，徒歩部隊の場合は大隊縦隊とする。

(分列行進)

第48条　分列行進を行う場合，指揮者は敬礼の始点及び終点に標員を配置したのち，分列行進を命ずる。

(分列行進中の敬礼)

第49条　指揮者は，敬礼の始点に達したときは，挙手注目の敬礼を行い，敬礼の終点を過ぎたとき，もとの姿勢にもどして列を脱し，すみやかに観閲者の右側後方に至り，分列式の終るまで同位置に留まる。

(分列行進の終った部隊)

第50条　分列行進の終った各隊は，順次指揮者の定める位置につく。

(儀式終了の報告)

第51条　儀式が終了した場合，指揮者は観閲者の前面に至り，儀式終了の報告を行い命令を待つ。

(整とん)

第52条　儀式の場合の整とんは，別命のない限り常に右方を基準とする。

第53条　削除

(音楽隊)

第54条　音楽隊又はラッパ隊は，通常分列行進に参加しないで，あらかじめ指定された位置において奏楽する。ただし，特別の場合は，そのつど指揮者が指示するものとする。

(礼式の特例)

第55条　所属長は，この規程に定めるもののほか，儀式その他の場合の必要な礼式について，この規程を準用し，又はそのつど，消防総監の承認を得て特別の礼式を定めることができる。

(呼称の特例)

第56条　儀式又は行事等において必要な場合は，観閲者を検閲者，査閲者と，又はそれぞれ観閲官，検閲官，査閲官と呼称することができる。

(人事異動等の場合における申告)

第57条　人事異動その他特別に申告を必要とする場合の範囲等については，消防学校長が別に定める。

(消防吏員以外の消防職員の礼式)

第58条　この規程は，消防吏員以外の消防職員に準用する。