○東京都砂防指定地等管理条例

平成一五年三月一四日

条例第七八号

東京都砂防指定地等管理条例を公布する。

東京都砂防指定地等管理条例

(趣旨)

第一条 この条例は、砂防法(明治三十年法律第二十九号。以下「法」という。)及び砂防法施行規程(明治三十年勅令第三百八十二号)の規定に基づき、砂防指定地及び砂防設備の管理に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第二条 この条例において「砂防指定地」とは、法第二条の規定により指定された土地をいう。

2 この条例において「砂防設備」とは、法第一条に規定する砂防設備をいう。

(行為の禁止)

第三条 何人も、砂防設備を損傷する行為をしてはならない。

(行為の制限)

第四条 砂防指定地内において次に掲げる行為(以下「制限行為」という。)をしようとする者は、知事の許可を受けなければならない。

 施設又は工作物(以下「施設等」という。)の新築、改築、移転又は除却

 土地の掘削、盛土、切土その他土地の形状変更

 土石の採取、鉱物の採掘又は土石若しくは鉱物のたい積若しくは投棄

 竹木の損傷若しくは伐採、草木根等の採取又は火入れ

 土石又は竹木の滑り下ろし又は地引による搬出

 家畜類の放牧又は係留

2 前項の規定にかかわらず、制限行為のうち治水上砂防のため支障がない軽易な行為で別に知事が定めるものについては、同項の許可を要しない。

3 災害その他非常の事態の発生により応急の措置を講ずる必要がある場合は、第一項の許可を受けることなく制限行為を行うことができる。この場合において、当該制限行為を行った者は、その行為の完了の日から十日以内に、知事に書面により届け出なければならない。

4 知事は、第一項の許可に際して、治水上砂防のため必要な条件を付することができる。

5 知事は、第三項の規定による届出を行った者に対し、治水上砂防のため必要な指示をすることができる。

(砂防設備の占用)

第五条 砂防設備(知事以外の者がその権原に基づき管理する土地に存する砂防設備を除く。以下この条、第八条第十一条第十四条第二十二条第二十五条及び第二十六条において同じ。)を占用しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。

2 知事は、前項の許可に際して、砂防設備の管理上必要な条件を付することができる。

3 第一項の規定にかかわらず、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十四条の規定による許可を受けた者は、当該許可に砂防設備が含まれる場合には、当該砂防設備について同項の許可を受けることを要しない。

(行為許可の申請)

第六条 第四条第一項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。

 申請者の氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 制限行為を行う場所

 制限行為を行う目的

 制限行為の内容及び方法

 制限行為を行う土地の面積

 制限行為を行う期間

 前各号に掲げるもののほか、知事が必要と認める事項

2 前項の申請書には、東京都規則(以下「規則」という。)で定める関係図書を添えなければならない。

(占用許可の申請)

第七条 第五条第一項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。

 申請者の氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 占用しようとする場所

 占用の目的

 占用の態様又は工作物の名称及び種類

 占用しようとする面積

 占用しようとする期間

 前各号に掲げるもののほか、知事が必要と認める事項

2 前項の申請書には、規則で定める関係図書を添えなければならない。

(許可期間等)

第八条 第四条第一項又は第五条第一項の許可の期間は、十年以内で知事が必要と認める期間(以下「許可期間」という。)とする。

2 許可期間終了後、引き続き制限行為を行い、又は砂防設備を占用するため、第四条第一項又は第五条第一項の許可を受けようとする者は、当該許可期間の満了する日の三月前から三十日前までの間に、それぞれ第六条又は前条の規定による申請をしなければならない。

(許可事項の変更)

第九条 第四条第一項又は第五条第一項の許可を受けた者(次条第一項又は第二十五条第一項の規定により許可を受けたものとみなされる者を含む。次項において同じ。)は、当該許可に係る事項を変更しようとするときは、規則で定めるところにより、知事の許可を受けなければならない。

2 第四条第一項又は第五条第一項の許可を受けた者は、氏名又は住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名又は主たる事務所の所在地)を変更したときは、速やかに変更の内容を記載した届出書を知事に提出しなければならない。

(新たに砂防指定地になった場合の措置)

第十条 新たに砂防指定地の指定が行われた際、現に当該砂防指定地内において制限行為をしている者は、当該指定の日から六箇月間は、当該制限行為について第四条第一項の許可を受けたものとみなす。

2 前項の制限行為をしている者は、当該砂防指定地の指定が行われたことを知った日から三十日以内に、次に掲げる事項を記載した届出書を知事に提出しなければならない。

 届出者の氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 制限行為を行っている場所

 制限行為を行っている目的

 制限行為の内容及び方法

 制限行為を行っている土地の面積

 制限行為を行う期間

(許可を受けた者の責務)

第十一条 第四条第一項第五条第一項又は第九条第一項の許可を受けた者(前条第一項又は第二十五条第一項の規定により許可を受けたものとみなされる者を含む。以下「行為者等」という。)は、当該許可の内容及び条件を遵守しなければならない。

2 第五条第一項又は第九条第一項の規定による占用の許可を受けた者(第二十五条第一項の規定により許可を受けたものとみなされる者を含む。以下同じ。)は、当該許可に係る工作物を常に良好な状態に維持管理し、砂防設備の管理に支障を来さないよう十分な措置を講じなければならない。この場合において、当該占用に起因して損害が生じたときは、占用者の責任において措置しなければならない。

3 第五条第一項又は第九条第一項の規定による占用の許可を受けた者は、前項の規定による維持管理の状況について、知事の求めがあったときは、その状況を報告しなければならない。

(許可内容の表示)

第十二条 行為者等は、当該許可の期間中、当該許可に係る行為をし、又は占用する場所の見やすい箇所に、許可内容を表示しなければならない。

(着手の届出等)

第十三条 第四条第一項又は第九条第一項の規定による制限行為の許可を受けた者(第二十五条第一項の規定により許可を受けたものとみなされる者を含む。)は、当該許可に係る行為に着手しようとするときは、着手する日の五日前までに、知事に書面により届け出なければならない。

2 第四条第一項又は第九条第一項の規定による制限行為の許可を受けた者(第十条第一項又は第二十五条第一項の規定により許可を受けたものとみなされる者を含む。)が、当該許可に係る行為を完了し、中止し、又は廃止したときは、速やかに知事に書面により届け出なければならない。

3 第五条第一項又は第九条第一項の規定による占用の許可を受けた者は、当該許可に係る占用を廃止したときは、速やかに知事に書面により届け出なければならない。

(砂防設備占用料等の徴収)

第十四条 知事は、法第二十七条の規定に基づき、第四条第一項の規定による砂防設備に係る土石の採取、鉱物の採掘若しくは草木根等の採取又は第五条第一項の規定による砂防設備の占用(以下「占用等」という。)の許可を受けた者(第十条第一項又は第二十五条第一項の規定により許可を受けたものとみなされる者を含む。)から、それぞれ土石採取料その他の砂防設備からの産出物採取料又は砂防設備に係る占用料(以下「砂防設備占用料等」という。)を徴収する。

2 前項の規定にかかわらず、占用等の許可に係る砂防設備が、河川法が適用され、又は準用される河川に存する場合には砂防設備占用料等は徴収しない。

(砂防設備占用料等の額)

第十五条 砂防設備占用料等の額は、東京都河川流水占用料等徴収条例(平成十二年東京都条例第九十五号)別表(二の項を除く。)の規定の例により算出して得た額とする。ただし、当該算出して得た額が百円未満の場合は、百円とする。

(砂防設備占用料等の減免)

第十六条 知事は、占用等の許可をする場合において、当該占用等が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その許可に係る砂防設備占用料等を減額し、又は免除することができる。

 国の行う事業のためにするとき。

 地方公共団体その他公共団体の行う事業のためにするとき(当該事業に係る施設の経営が営利を目的とし、又は利益をあげるものでないときに限る。)

 かんがいのためにするとき。

 前三号に掲げるもののほか、知事が特に必要があると認めるとき。

(砂防設備占用料等の徴収方法)

第十七条 砂防設備占用料等は、占用等を許可した日から一月以内に、当該占用等の期間に係る分の全額を徴収するものとする。ただし、当該占用等の期間が翌年度以降にわたる場合においては、翌年度以降の年度分の砂防設備占用料等は、毎年度、当該年度分を四月三十日までに徴収するものとする。

(砂防設備占用料等の不還付)

第十八条 既納の砂防設備占用料等は、還付しない。ただし、知事が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、この限りでない。

 第二十一条第二項各号の事由により占用等の許可を取り消したとき。

 前号に掲げるもののほか、知事が特に必要があると認めるとき。

2 前項ただし書に規定する場合に還付する金額の算定方法は、規則で定める。

(権利の譲渡の制限)

第十九条 この条例の規定による許可に基づく権利は、規則で定めるところにより知事の承認を受けなければ、譲渡することができない。

2 前項の承認があったときは、当該権利を譲り受けた者は、当該権利を譲り渡した者が有していた当該許可に基づく地位を承継する。

(地位の承継)

第二十条 相続人、合併又は分割により設立される法人、その他行為者等の一般承継人は、被承継人が有していたこの条例の規定による許可に基づく地位を承継する。

2 前項の規定により地位を承継した者は、その承継があった日から三十日以内に、知事に書面によりその旨を届け出なければならない。

(監督処分)

第二十一条 知事は、次の各号のいずれかに該当する者に対してこの条例の規定による許可を取り消し、変更し、その効力を停止し、若しくはその条件を変更し、又は工事その他の行為を中止、当該許可に係る施設等を改築、移転若しくは除却、工事その他の行為若しくは施設等により生ずる損害を除去若しくは予防するために必要な施設の設置その他の措置を執ること若しくは砂防指定地若しくは砂防設備を原状に回復することを命ずることができる。

 この条例の規定に違反した者

 この条例の規定による許可又はその許可に付された条件に違反した者

 偽りその他不正の手段によりこの条例の規定による許可を受けた者

2 知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この条例の規定による許可を受けた者に対し、前項に規定する処分をすることができる。

 治水上砂防のため著しい支障が生じたとき。

 砂防工事を施行するためやむを得ない必要が生じたとき。

 前二号に掲げる場合のほか、公益上やむを得ない必要が生じたとき。

(原状回復)

第二十二条 行為者等は、次の各号のいずれかに該当するときは、速やかに当該許可に係る砂防指定地又は砂防設備を原状に回復しなければならない。ただし、知事が原状に回復することが不適当と認める場合は、この限りでない。

 当該許可の期間が満了したとき。

 当該許可に係る行為を完了し、又は廃止したとき。

 当該許可に係る占用を廃止したとき。

 前条の規定によりこの条例の規定による許可を取り消されたとき。

2 知事は、前項ただし書の規定により原状に回復することが不適当と認めるときは、行為者等に対し、治水上砂防のため必要な措置を執ることを命ずることができる。

(損失補償)

第二十三条 知事は、第二十一条第二項に規定する処分をした場合において、当該処分により損失を受けた者があるときは、その者に対して通常生ずべき損失を補償しなければならない。

2 知事は、前項の規定により補償すべき損失について、当該損失の事由を生じさせた者に負担させることができる。

(費用負担)

第二十四条 この条例及びこの条例に基づく処分による義務を履行するために必要な費用は、知事が特に定める場合を除き、行為者等が負担しなければならない。

(国等の許可の特例)

第二十五条 国又は地方公共団体は、制限行為をし、又は砂防設備を占用しようとするときは、あらかじめ知事に協議するものとし、その成立をもって第四条第一項又は第五条第一項の許可を受けたものとみなす。協議の内容を変更しようとするとき又はその期間満了後引き続き制限行為をし、若しくは砂防設備を占用しようとするときも同様とする。

2 前項の協議については、第六条から第九条までの規定を準用する。

(罰則)

第二十六条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 第三条の規定に違反した者

 第四条第一項の規定に違反して、知事の許可を受けずに制限行為をした者

 第五条第一項の規定に違反して、知事の許可を受けずに砂防設備を占用した者

 第九条第一項の規定に違反して、知事の変更許可を受けずに制限行為をし、又は砂防設備を占用した者

第二十七条 第二十一条又は第二十二条の規定による命令又は義務に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第二十八条 偽りその他不正の手段により第四条第一項第五条第一項又は第九条第一項の規定による許可を受けた者は、三十万円以下の罰金に処する。

(両罰規定)

第二十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

(過料)

第三十条 第二十条第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、五万円以下の過料に処する。

(委任)

第三十一条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成十五年四月一日から施行する。

(東京都砂防設備占用料等徴収条例の廃止)

2 東京都砂防設備占用料等徴収条例(平成十二年東京都条例第九十七号)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行前に砂防指定地取締規則(大正七年東京府令第八十六号)及び東京都砂防設備管理規則(平成十二年東京都規則第百七十二号)の規定によりなされた許可は、この条例の規定によりなされた許可とみなす。

4 この条例の施行の際、現にこの条例による廃止前の東京都砂防設備占用料等徴収条例の規定に基づき徴収するものとされている砂防設備占用料等については、当該砂防設備占用料等に係る許可期間中は、なお従前の例による。

東京都砂防指定地等管理条例

平成15年3月14日 条例第78号

(平成15年4月1日施行)

体系情報
第11編 設/第3章 河川、水路/第2節 理/第1款 維持修繕
沿革情報
平成15年3月14日 条例第78号
令和6年10月11日 条例第149号