○東京デジタルファースト条例
平成一六年一二月二四日
条例第一四七号
〔東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例〕を公布する。
東京デジタルファースト条例
(令二条例八七・改称)
(目的)
第一条 この条例は、都民及び事業者があらゆる活動において先端的な技術をはじめとする情報通信技術の便益を享受できる社会が実現されるよう、デジタルファーストを旨とした情報通信技術を活用した行政の推進について、その基本原則及び情報システムの整備、情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正その他の情報通信技術を利用する方法により手続等を行うために必要となる事項を定めることにより、手続等に係る関係者の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化並びに社会経済活動の更なる円滑化を図り、もって都民生活の向上及び都民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(令二条例八七・全改)
一 条例等 条例並びに東京都規則、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百三十八条の四第二項に規定する規程及び地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第十条に規定する企業管理規程並びにその他の申請、届出その他の手続に係る都の機関等が定める根拠となる規定(次号ニに掲げる者にあっては、東京都(以下「都」という。)の公の施設の管理に関する手続に係るものに限る。)をいう。
二 都の機関等 次に掲げるものをいう。
イ 地方自治法第七章の規定に基づいて置かれる都の執行機関、東京都公営企業組織条例(昭和二十七年東京都条例第八十一号)第一条に規定する局、警視庁(警察署を含む。)、東京消防庁(消防署を含む。)又はこれらに置かれる機関
ロ イに掲げる機関の職員であって法令又は条例等により独立に権限を行使することを認められたもの
ハ 都が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)
ニ 都の公の施設を管理する指定管理者(地方自治法第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者をいう。)
三 書面等 書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。
四 署名等 署名、記名、自署、連署、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。
五 電磁的記録 電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。
六 申請等 申請、届出その他の法令又は条例等の規定に基づき都の機関等に対して行われる通知をいう。この場合において、経由機関(条例等の規定に基づき都の機関等以外の者を経由して行われる申請等における当該都の機関等以外の者をいう。以下この号において同じ。)があるときは、当該申請等については、当該申請等をする者から経由機関に対して行われるもの及び経由機関から他の経由機関又は当該申請等を受ける都の機関等に対して行われるものごとに、それぞれ別の手続とみなして、この条例の規定を適用する。
七 処分通知等 処分(行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。)の通知その他の法令又は条例等の規定に基づき都の機関等が行う通知(不特定の者に対して行うものを除く。)をいう。この場合において、経由機関(条例等の規定に基づき都の機関等以外の者を経由して行う処分通知等における当該都の機関等以外の者をいう。以下この号において同じ。)があるときは、当該処分通知等については、当該処分通知等を行う都の機関等が経由機関に対して行うもの及び経由機関が他の経由機関又は当該処分通知等を受ける者に対して行うものごとに、それぞれ別の手続とみなして、この条例の規定を適用する。
八 縦覧等 法令又は条例等の規定に基づき都の機関等が書面等又は電磁的記録に記録されている事項を縦覧又は閲覧に供することをいう。
九 作成等 法令又は条例等の規定に基づき都の機関等が書面等又は電磁的記録を作成し、又は保存することをいう。
十 手続等 申請等、処分通知等、縦覧等又は作成等をいう。
(令二条例八七・一部改正)
(基本原則)
第三条 情報通信技術を活用した行政の推進に当たっては、情報通信技術の利用のための能力又は知識経験が十分でない者に対する適正な配慮がされることを確保しつつ、手続等及びこれに関連する都の機関等の事務の処理に係る一連の行程が情報通信技術を利用して行われるようにすることとし、あわせて、手続等に係る関係者が相互に連携することにより、当該手続等に係る情報を共有して当該情報と同一の内容の情報の提供を要しないものとすること及び手続等を一括して行うことができるようにすることを基本原則とするデジタルファーストを旨として行われなければならない。
(令二条例八七・追加)
2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 計画期間
二 情報通信技術を活用した行政の推進に関する基本的な方針
三 対象となる手続等の範囲
四 情報通信技術を活用した行政の推進に関する内容
3 知事は、推進計画を定めるに当たっては、都民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。
4 知事は、推進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、推進計画の変更(軽微な変更を除く。)について準用する。
(令二条例八七・追加)
(都の機関等による情報システムの整備等)
第五条 都の機関は、推進計画に従って情報システムの整備その他情報通信技術を活用した行政の推進を図るために必要な施策(第三項において「情報システムの整備等」という。)を実施しなければならない。
2 都の機関は、前項の規定による情報システムの整備に当たっては、当該情報システムの安全性及び信頼性を確保するために必要な措置を講じなければならない。
3 都の機関は、情報システムの整備等の実施に当たっては、これと併せて、当該情報システムの整備等に係る手続等及びこれに関連する都の機関等の事務の簡素化又は合理化その他の見直しを行うものとする。
(令二条例八七・追加)
(電子情報処理組織による申請等)
第六条 申請等のうち当該申請等に関する他の条例等の規定により書面等により行うことその他のその方法が規定されているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、東京都規則で定めるところにより、東京都規則で定める電子情報処理組織(都の機関等の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)とその手続等の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。第十四条を除き、以下同じ。)を使用する方法により行うことができる。
2 前項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた申請等については、当該申請等に関する他の条例等の規定に規定する方法により行われたものとみなして、当該条例等その他の当該申請等に関する条例等の規定を適用する。
3 第一項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた申請等は、当該申請等を受ける都の機関等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該都の機関等に到達したものとみなす。
5 申請等のうち当該申請等に関する他の条例等の規定により手数料の納付の方法が規定されているものを第一項の電子情報処理組織を使用する方法により行う場合には、当該手数料の納付については、当該条例等の規定にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法であって東京都規則で定めるものをもってすることができる。
(令二条例八七・旧第三条繰下・一部改正)
(電子情報処理組織による処分通知等)
第七条 処分通知等のうち当該処分通知等に関する他の条例等の規定により書面等により行うことその他のその方法が規定されているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、東京都規則で定めるところにより、東京都規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行うことができる。ただし、当該処分通知等を受ける者が当該電子情報処理組織を使用する方法により受ける旨の東京都規則で定める方式による表示をする場合に限る。
2 前項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた処分通知等については、当該処分通知等に関する他の条例等の規定に規定する方法により行われたものとみなして、当該条例等その他の当該処分通知等に関する条例等の規定を適用する。
3 第一項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた処分通知等は、当該処分通知等を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該処分通知等を受ける者に到達したものとみなす。
4 処分通知等のうち当該処分通知等に関する他の条例等の規定により署名等をすることが規定されているものを第一項の電子情報処理組織を使用する方法により行う場合には、当該署名等については、当該条例等の規定にかかわらず、氏名又は名称を明らかにする措置であって東京都規則で定めるものをもって代えることができる。
(令二条例八七・旧第四条繰下・一部改正)
(電磁的記録による縦覧等)
第八条 縦覧等のうち当該縦覧等に関する他の条例等の規定により書面等により行うことが規定されているもの(申請等に基づくものを除く。)については、当該条例等の規定にかかわらず、東京都規則で定めるところにより、当該書面等に係る電磁的記録に記録されている事項又は当該事項を記載した書類により行うことができる。
2 前項の電磁的記録に記録されている事項又は書類により行われた縦覧等については、当該縦覧等に関する他の条例等の規定により書面等により行われたものとみなして、当該条例等その他の当該縦覧等に関する条例等の規定を適用する。
(令二条例八七・旧第五条繰下・一部改正)
(電磁的記録による作成等)
第九条 作成等のうち当該作成等に関する他の条例等の規定により書面等により行うことが規定されているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、東京都規則で定めるところにより、当該書面等に係る電磁的記録により行うことができる。
2 前項の電磁的記録により行われた作成等については、当該作成等に関する他の条例等の規定により書面等により行われたものとみなして、当該条例等その他の当該作成等に関する条例等の規定を適用する。
3 作成等のうち当該作成等に関する他の条例等の規定により署名等をすることが規定されているものを第一項の電磁的記録により行う場合には、当該署名等については、当該条例等の規定にかかわらず、氏名又は名称を明らかにする措置であって東京都規則で定めるものをもって代えることができる。
(令二条例八七・旧第六条繰下・一部改正)
一 手続等のうち、申請等に係る事項に虚偽がないかどうかを対面により確認する必要があること、許可証その他の処分通知等に係る書面等を事業所に備え付ける必要があることその他の事由により当該手続等を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行うことが適当でないものとして東京都規則で定めるもの
(令二条例八七・追加)
(添付書面等の省略)
第十一条 申請等をする者に係る住民票の写し、登記事項証明書その他の東京都規則で定める書面等であって当該申請等に関する他の条例等の規定において当該申請等に際し添付することが規定されているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、都の機関等が、当該申請等をする者が行う電子情報処理組織を使用した個人番号カードの利用その他の措置であって当該書面等の区分に応じ東京都規則で定めるものにより、直接に、又は電子情報処理組織を使用して、当該書面等により確認すべき事項に係る情報を入手し、又は参照することができる場合には、添付することを要しない。
(令二条例八七・追加)
(情報通信技術の利用のための能力等における格差の是正)
第十二条 都は、情報通信技術を活用した行政の推進に当たっては、全ての者が情報通信技術の便益を享受できるよう、情報通信技術の利用のための能力又は知識経験が十分でない者が身近に相談、助言その他の援助を求めることができるようにするための施策、当該援助を行う者の確保及び資質の向上のための施策その他の年齢、身体的な条件、地理的な制約その他の要因に基づく情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正を図るために必要な施策を講じなければならない。
(令二条例八七・追加)
(区市町村との連携等)
第十三条 都は、この条例の施行に当たって、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)との連携及び協力を図るとともに、区市町村が行う情報通信技術を活用した行政の推進を図るための施策に対し必要な支援を行うよう努めるものとする。
(令二条例八七・追加)
(出資等法人による情報通信技術の利用)
第十四条 都が出資その他財政支出等を行う法人であって、知事が定めるもの(以下「出資等法人」という。)は、この条例の趣旨にのっとり、出資等法人に係る申請、届出その他の手続に関し、電子情報処理組織(出資等法人の使用に係る電子計算機と当該手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行うことを推進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 都の機関は、出資等法人に対し、前項に定める必要な措置を講ずるよう指導に努めなければならない。
(令二条例八七・追加)
(情報通信技術を活用した行政の推進に関する状況の公表)
第十五条 知事は、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができる都の機関に係る申請等及び処分通知等その他この条例の規定による情報通信技術を活用した行政の推進に関する状況について、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
(令二条例八七・旧第八条繰下・一部改正)
(委任)
第十六条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、東京都規則で定める。
(令二条例八七・旧第十条繰下・一部改正)
附則
この条例は、平成十七年一月一日から施行する。
附則(令和二年条例第八七号)
(施行期日)
1 この条例は、令和三年四月一日(以下「施行日」という。)から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正後の東京デジタルファースト条例(以下「新条例」という。)第六条及び第七条の規定は、施行日以後に行われる申請等(新条例第二条第六号に規定する申請等をいう。)又は処分通知等(新条例第二条第七号に規定する処分通知等をいう。)について適用し、施行日前に行われた電子情報処理組織による申請等(この条例による改正前の東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例(以下「旧条例」という。)第二条第六号に規定する申請等をいう。)又は処分通知等(旧条例第二条第七号に規定する処分通知等をいう。)については、なお従前の例による。
3 この条例の施行の際現に旧条例第五条又は第六条の規定により行われている縦覧等又は作成等については、新条例第八条又は第九条の規定により行われている縦覧等又は作成等とみなして、これらの規定を適用する。
(職員の旅費に関する条例の一部改正)
4 職員の旅費に関する条例(昭和二十六年東京都条例第七十六号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(東京都民間事業者等が行う書面等の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部改正)
5 東京都民間事業者等が行う書面等の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例(平成十八年東京都条例第九号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略