○東京都薬物の濫用防止に関する条例

平成一七年三月三一日

条例第六七号

東京都薬物の濫用防止に関する条例を公布する。

東京都薬物の濫用防止に関する条例

目次

第一章 総則(第一条―第四条)

第二章 薬物の濫用防止に関する基本的な施策(第五条―第十一条)

第三章 薬物の濫用の規制(第十二条―第十八条の二)

第四章 東京都薬物情報評価委員会(第十九条)

第五章 雑則(第二十条)

第六章 罰則(第二十一条―第二十四条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、都内において、薬物が濫用され薬物による被害が深刻化している状況を踏まえ、東京都(以下「都」という。)が薬物の濫用を防止するための具体的な方策を推進することにより、薬物の濫用から青少年をはじめとする都民の健康と安全を守るとともに、都民が平穏にかつ安心して暮らすことができる健全な社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「薬物」とは、次に掲げる物をいう。

 大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)第一条に規定する大麻

 覚醒剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第二条第一項に規定する覚醒剤及び同条第五項に規定する覚醒剤原料

 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号に規定する麻薬、同条第四号に規定する麻薬原料植物及び同条第六号に規定する向精神薬

 あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)第三条第一号に規定するけし、同条第二号に規定するあへん及び同条第三号に規定するけしがら

 毒物及び劇物取締法施行令(昭和三十年政令第二百六十一号)第三十二条の二に規定するトルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項に規定する厚生労働大臣の指定薬物

 前各号に掲げるもののほか、これらと同等に、興奮、幻覚、陶酔その他これらに類する作用を人の精神に及ぼす物で、それを濫用することにより人の健康に被害が生じると認められるもの

(平一九条例五六・平二六条例一二六・令二条例三四・一部改正)

(都の責務)

第三条 都は、この条例に定めるところにより、薬物の濫用防止に関する施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。

(都民の責務)

第四条 都民は、薬物の危険性に関する知識と理解を深め、薬物の濫用を防止するよう努めなければならない。

2 都民は、薬物の濫用防止に関する都の施策に協力するよう努めなければならない。

第二章 薬物の濫用防止に関する基本的な施策

(推進体制の整備)

第五条 都は、薬物の濫用防止に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、必要な体制を整備するものとする。

2 知事及び東京都公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、相互に連携し、及び協力して、薬物の濫用の防止に関し、必要な措置を講ずるものとする。

(平二六条例一二六・一部改正)

(調査研究の推進)

第六条 都は、薬物の濫用防止に関する施策を最新の科学的知見に基づき適切に実施するため、薬物の危険性に関する調査研究を行うとともに、薬物の試験及び検査に関する研究及び技術開発を推進し、並びにそれらの成果の普及を図るものとする。

(情報の収集、整理、分析及び評価の推進)

第七条 都は、薬物の濫用から都民の健康と安全を守るため、薬物の危険性に関する情報について収集及び整理を行うとともに、最新の科学的知見に基づく分析及び評価を行うものとする。

2 都は、前項の分析及び評価の結果を、薬物の濫用を防止するための施策に的確に反映させるものとする。

(情報の提供)

第八条 都は、薬物の濫用から都民の健康と安全を守るため、都民に必要な情報を提供するものとする。

(教育及び学習の推進)

第九条 都は、都民が薬物の危険性に関する正確な知識に基づき行動することができるよう、教育及び学習の推進に必要な措置を講ずるものとする。

(監視及び指導体制の整備)

第十条 都は、薬物の流通形態の多様化に対応して、薬物の濫用を防止するため、監視及び指導を効果的かつ適切に実施するための体制を整備するものとする。

(国等との連携等)

第十一条 都は、薬物の濫用を防止するための施策の推進に当たって、国、他の地方公共団体及び薬物の濫用防止を目的とする団体との連携及び協力を図るものとする。

2 都は、薬物の濫用を防止するため必要があると認めるときは、国に対し意見を述べ、必要な措置を執るよう求めるものとする。

第三章 薬物の濫用の規制

(知事指定薬物の指定)

第十二条 知事は、第二条第七号に掲げる薬物のうち、都内において現に濫用され、又は濫用されるおそれがあると認めるものを知事指定薬物として指定することができる。

2 知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ第十九条第一項に規定する東京都薬物情報評価委員会の意見を聴くものとする。

3 第一項の規定による指定は、知事指定薬物の名称、指定の理由その他必要な事項を告示することによって行うものとする。

(平一九条例五六・一部改正)

(知事指定薬物の指定の失効)

第十三条 前条第一項の規定による指定は、知事指定薬物が第二条第一号から第六号までに掲げる薬物に指定され、又は該当するに至ったときは、その効力を失うものとする。

2 知事は、前項の規定により知事指定薬物の指定が効力を失うときは、当該知事指定薬物の名称、失効の理由その他必要な事項を告示するものとする。

3 第二十一条から第二十四条までの規定は、第一項の規定による知事指定薬物の指定の失効前にした行為についても、これを適用する。

(平一九条例五六・一部改正)

(販売等の禁止)

第十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第一号から第四号までに掲げる行為については、正当な理由により行う場合として東京都規則(以下「規則」という。)で定める場合は、この限りでない。

 知事指定薬物(知事指定薬物を含有する物又は植物を含む。以下同じ。)を製造し、又は栽培すること。

 知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持すること(都の区域外における販売又は授与の目的で所持する場合を含む。)

 知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告すること。

 知事指定薬物を所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は使用すること(販売又は授与の目的で所持する場合を除く。)

 多数の人が集まって知事指定薬物をみだりに使用することを知って、その場所を提供し、又はあっせんすること。

(平二六条例六三・一部改正)

(立入調査等)

第十五条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員をして、知事指定薬物又はこれに該当する疑いのある物(以下「知事指定薬物等」という。)を業務上取り扱う場所その他前条各号の行為に関係ある場所に立ち入って、調査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最少分量に限り知事指定薬物等を収去させることができる。

2 公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、東京都公安委員会規則(以下「公安委員会規則」という。)で定める警察職員をして、知事指定薬物等を業務上取り扱う場所その他必要な場所に立ち入って、調査させ、又は関係者に質問させることができる。

3 前二項の規定により立入調査を行う場合は、第一項の職員は規則で、前項の警察職員は公安委員会規則で定める様式による証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

4 第一項及び第二項の規定による立入調査等の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(平二六条例一二六・一部改正)

(警告)

第十六条 知事は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、警告を発することができる。

 第十四条第一号の規定に違反して知事指定薬物を製造し、又は栽培した者

 第十四条第二号の規定に違反して知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持した者(都の区域外における販売又は授与の目的で所持した者を含む。)

 第十四条第三号の規定に違反して知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告した者

 第十四条第四号の規定に違反して知事指定薬物を所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は使用した者(販売又は授与の目的で所持した者を除く。)

 第十四条第五号の規定に違反して場所を提供し、又はあっせんした者

2 前項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当する者が、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者であるときは、その法人又は人に対しても、同項の規定による警告を発することができる。

3 第一項の警告は、規則で定める様式による警告書を交付して行うものとする。

4 公安委員会は、警察職員が第十四条第五号の行為をした者を発見したときは、公安委員会規則で定めるところにより、知事に通知することができる。

(平二六条例六三・平二六条例一二六・一部改正)

(販売中止等の命令)

第十七条 知事は、前条第一項第一号から第四号までの規定による警告に従わない者に対し、知事指定薬物の製造、栽培、販売、授与、所持、広告、購入、譲受け若しくは使用の中止(以下「知事指定薬物の製造等の中止」という。)を命じ、又は知事指定薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

2 知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項第一号から第四号までのいずれかに該当する者に対し、同項の規定による警告を発することなく、知事指定薬物の製造等の中止を命じ、又は知事指定薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

 薬物の濫用から都民の健康と安全を守るため緊急を要する場合で、前条第一項の規定による警告を発するいとまがないとき。

 前条第一項第一号から第四号までのいずれかに該当する者が、過去に同項第一号から第四号までのいずれかの規定による警告を受けたことがあるとき。

(平二六条例六三・一部改正)

(緊急時における指定の特例)

第十八条 知事は、第二条第七号に掲げる薬物の濫用により都民の健康に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがあると認める場合であって、緊急を要し、あらかじめ第十九条第一項に規定する東京都薬物情報評価委員会の意見を聴くいとまがないときは、第十二条第二項の手続を経ないで、同条第一項の規定による指定(次項及び第十九条第二項第二号において単に「指定」という。)をすることができる。

2 知事は、前項の場合における指定を行ったときは、速やかに、その旨を第十九条第一項に規定する東京都薬物情報評価委員会に報告するものとする。

(平二六条例一二六・全改)

(公安委員会の要請)

第十八条の二 公安委員会は、第二条第七号に掲げる薬物に関し、公共の安全の維持のため必要があると認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、知事に対し、必要な措置を執るべきことを要請することができる。

(平二六条例一二六・追加)

第四章 東京都薬物情報評価委員会

(東京都薬物情報評価委員会)

第十九条 第二条第七号に掲げる薬物の危険性に関する情報について調査を行い、その結果を知事に報告するため、知事の附属機関として、東京都薬物情報評価委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、次に掲げる事項を調査し、知事に報告する。

 第十二条第一項の規定による指定に係る第二条第七号に掲げる薬物の危険性に関する情報の分析及び評価に関すること。

 第十八条第一項の場合における指定に係る第二条第七号に掲げる薬物の危険性に関する情報の分析及び評価に関すること。

3 委員会は、学識経験を有する者のうちから、知事が任命する五名以内の委員で組織する。

4 委員の任期は、二年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

5 委員は、非常勤とする。

6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

7 委員会の行う調査の手続は、公開しない。

8 第三項から前項までに定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(平一九条例五六・平二六条例一二六・一部改正)

第五章 雑則

(委任)

第二十条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

第六章 罰則

(罰則)

第二十一条 第十七条の規定による命令(第十六条第一項第一号又は第二号に係るものに限る。)に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第二十二条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 第十四条第一号又は第二号の規定に違反した者

 第十七条の規定による命令(第十六条第一項第一号又は第二号に係るものを除く。)に違反した者

(平二六条例六三・一部改正)

第二十二条の二 第十四条第三号又は第四号の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

(平二六条例六三・追加)

第二十三条 第十五条第一項若しくは第二項の規定による立入調査若しくは同条第一項の規定による収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はこれらの規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者は、二十万円以下の罰金に処する。

(平二六条例一二六・一部改正)

(両罰規定)

第二十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前四条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

(平二六条例一二六・一部改正)

この条例は、平成十七年四月一日から施行する。ただし、第十四条から第十七条まで及び第六章の規定は、同年六月一日から施行する。

(平成一九年条例第五六号)

1 この条例は、平成十九年四月一日から施行する。

2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(平成二六年条例第六三号)

1 この条例は、平成二十六年七月一日から施行する。

2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(平成二六年条例第一二六号)

1 この条例は、平成二十七年一月一日から施行する。ただし、第二条第六号の改正規定は、平成二十六年十一月二十五日から施行する。

2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(令和二年条例第三四号)

この条例は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第六十三号)第四条(覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第九条第一項第二号の改正規定を除く。)の規定の施行の日から施行する。

(施行の日=令和二年四月一日)

東京都薬物の濫用防止に関する条例

平成17年3月31日 条例第67号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第6編 生/第9章 務/第1節
沿革情報
平成17年3月31日 条例第67号
平成19年3月16日 条例第56号
平成26年3月31日 条例第63号
平成26年10月10日 条例第126号
令和2年3月31日 条例第34号