○東京都債権管理条例
平成二〇年三月三一日
条例第二五号
東京都債権管理条例を公布する。
東京都債権管理条例
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 私債権の徴収手続(第六条―第十四条)
第三章 雑則(第十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、東京都(以下「都」という。)が有する債権の徴収等に関し、必要な事項について定めることにより、債権管理の一層の適正化を図り、もって公正かつ円滑な行財政運営に資することを目的とする。
一 都の債権 金銭の給付を目的とする都の権利をいう。
二 都の私債権 都の債権のうち、公債権(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号。以下「法」という。)第二百三十一条の三第一項に規定する歳入に係る債権及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第四号に規定する地方税に係る債権をいう。)以外のものをいう。
三 条例等 条例並びに東京都規則、法第百三十八条の四第二項に規定する規程及び地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第十条に規定する企業管理規程(以下「規則等」という。)をいう。
(他の条例等との関係)
第三条 都の債権の管理に関する事務の処理については、法令及び条例等に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
(知事等の責務)
第四条 知事及び公営企業管理者は、法令及び条例等の規定に基づき、適切かつ効率的な債権の徴収等を行わなければならない。
2 知事は、都の債権の管理の適正化を図るため、債権の管理に関する事務の処理についての手続を整えるとともに、当該事務の処理について必要な調整を行うものとする。
(債権管理体制の整備)
第五条 知事及び公営企業管理者は、都の債権の管理に関する事務の状況を的確に把握するとともに、都の債権を適正に管理するための体制を整備するものとする。
第二章 私債権の徴収手続
一 担保の付されている都の私債権(保証人の保証があるものを含む。)については、当該債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。
二 債務名義のある都の私債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。
(履行期限の繰上げ)
第八条 知事及び公営企業管理者は、都の私債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第十一条第一項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。
(債権の申出等)
第九条 知事及び公営企業管理者は、都の私債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により都が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。
2 前項に規定するもののほか、知事及び公営企業管理者は、都の私債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。
(徴収停止)
第十条 知事及び公営企業管理者は、都の私債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。
一 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。
二 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。
三 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。
(履行延期の特約等)
第十一条 知事及び公営企業管理者は、都の私債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。
一 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。
二 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。
三 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。
四 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る都の私債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。
2 知事及び公営企業管理者は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る都の私債権は、徴収すべきものとする。
(免除)
第十二条 知事及び公営企業管理者は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした都の私債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から十年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。
(債権の放棄)
第十三条 知事及び公営企業管理者は、都の私債権について消滅時効に係る時効期間が経過し、かつ、債務者が時効の援用をすると見込まれるときは、当該債権及びこれに係る損害賠償金等に係る私債権を放棄することができる。
(報告)
第十四条 知事は、前項の規定により都の私債権を放棄したときは、これを東京都議会に報告しなければならない。
第三章 雑則
(委任)
第十五条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則等で定める。
附則
この条例は、東京都規則で定める日から施行する。
(平成二〇年規則第一四二号で平成二〇年七月一日から施行)