○東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例

平成二四年三月三〇日

条例第四五号

東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例を公布する。

東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例

(趣旨)

第一条 この条例は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号。以下「法」という。)第八十条第一項の規定に基づき、東京都における福祉ホームの設備及び運営に関する基準を定めるものとする。

(平二五条例五七・一部改正)

(用語の意義)

第二条 この条例で使用する用語の意義は、法で使用する用語の例による。

(基本方針)

第三条 福祉ホームは、利用者(福祉ホームを利用する障害者をいう。以下同じ。)が地域において自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、現に住居を求めている障害者につき、低額な料金で、居室その他の設備を利用させるとともに、利用者の日常生活に必要な便宜の供与を適切かつ効果的に行うものでなければならない。

2 福祉ホームは、利用者の意思及び人格を尊重し、常に当該利用者の立場に立ってサービスを提供するよう努めなければならない。

3 福祉ホームは、地域及び家庭との結び付きを重視した運営を行い、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)、障害福祉サービス事業を行う者その他の保健医療サービス、福祉サービス等を提供する者との連携に努めなければならない。

4 福祉ホームは、利用者の人権の擁護、虐待の防止等のため、必要な体制の整備を行うとともに、職員に対し、研修の実施その他の必要な措置を講じなければならない。

(令三条例四〇・一部改正)

(職員の配置の基準)

第四条 福祉ホームは、管理人を置かなければならない。

2 管理人は、障害者の福祉の増進に熱意を有し、福祉ホームを適切に運営する能力を有する者でなければならない。

(構造設備)

第五条 福祉ホームの配置、構造及び設備は、利用者の特性に応じて工夫され、かつ、日照、採光、換気その他の利用者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものでなければならない。

2 福祉ホームの建物(利用者の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二に規定する耐火建築物をいう。)又は準耐火建築物(同条第九号の三に規定する準耐火建築物をいう。)でなければならない。ただし、知事が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、東京都規則(以下「規則」という。)で定める要件を満たし、かつ、火災に係る利用者の安全性が確保されていると認めた建物の場合は、この限りでない。

(規模)

第六条 福祉ホームの規模は、五人以上の人員を利用させることができるものでなければならない。

(設備の基準)

第七条 福祉ホームは、次に掲げる設備を規則で定める基準により設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより当該福祉ホームの効果的な運営が見込まれる場合であって、かつ、利用者に対するサービスの提供に支障がないときは、この限りでない。

 居室

 浴室

 便所

 管理人室

 共用室

2 福祉ホームの設備は、専ら当該福祉ホームの用に供するものでなければならない。ただし、利用者に対するサービスの提供に支障がない場合は、この限りでない。

(運営規程)

第八条 福祉ホームは、次に掲げる施設の運営についての重要事項に関する運営規程を定めなければならない。

 施設の目的及び運営の方針

 職員の職種、員数及び職務の内容

 利用定員

 利用者に対して提供するサービスの内容並びに利用者から受領する費用の種類及びその額

 施設の利用に当たっての留意事項

 非常災害対策

 虐待の防止のための措置に関する事項

 その他施設の運営に関する重要事項

(利用者に求めることのできる金銭の支払の範囲等)

第九条 福祉ホームは、利用者に対して金銭の支払を求めることができる。ただし、当該金銭の使途が利用者の便益を直接向上させるものであり、かつ、支払を求めることが適当である場合に限るものとする。

2 前項の規定により利用者に金銭の支払を求める際は、当該金銭の使途及び額並びに支払を求める理由について書面により明らかにするとともに、当該利用者に対し説明を行い、その同意を得なければならない。

(サービスの提供の記録)

第十条 福祉ホームは、利用者に対しサービスを提供した際は、サービスの提供日、内容その他必要な事項を、その都度記録しなければならない。

(勤務体制の確保等)

第十条の二 福祉ホームは、利用者に対し、適切なサービスを提供することができるよう、職員の勤務体制を定めなければならない。

2 福祉ホームは、当該福祉ホームの職員によってサービスを提供しなければならない。ただし、利用者の支援に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。

3 福祉ホームは、職員の資質向上のための研修の機会を確保しなければならない。

4 福祉ホームは、適切なサービスの提供を確保する観点から、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの又は性的な言動により職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。

(令三条例四〇・追加)

(定員の遵守)

第十一条 福祉ホームは、利用定員を超えて利用させてはならない。ただし、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。

(平二五条例五七・一部改正)

(業務継続計画の策定等)

第十一条の二 福祉ホームは、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に行い、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。

2 福祉ホームは、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。

3 福祉ホームは、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

(令三条例四〇・追加)

(衛生管理等)

第十二条 福祉ホームは、利用者の使用する設備及び飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じなければならない。

2 福祉ホームは、当該福祉ホームにおける感染症の発生又はまん延を防止するため、規則で定める措置を講じなければならない。

(令三条例四〇・一部改正)

(秘密保持等)

第十三条 福祉ホームの職員は、正当な理由なく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

2 福祉ホームは、職員であった者が、正当な理由なく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を講じなければならない。

(苦情解決)

第十四条 福祉ホームは、利用者又はその家族からのサービスに関する苦情に迅速かつ適切に対応するために、窓口の設置その他の必要な措置を講じなければならない。

2 福祉ホームは、前項の苦情を受け付けた場合は、当該苦情の内容等を記録しなければならない。

3 福祉ホームは、提供したサービスに関し、都又は区市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。この場合において、都又は当該区市町村からの求めがあったときは、当該改善の内容を報告しなければならない。

4 福祉ホームは、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第八十三条に規定する運営適正化委員会が同法第八十五条の規定により行う調査又はあっせんに可能な限り協力しなければならない。

(事故発生時の対応)

第十五条 福祉ホームは、利用者に対するサービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに都、区市町村、利用者の家族等に連絡を行うとともに、当該事故の状況及び処置についての記録その他必要な措置を講じなければならない。

2 福祉ホームは、利用者に対するサービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、速やかに損害賠償を行わなければならない。

(虐待の防止)

第十五条の二 福祉ホームは、虐待の発生及び再発を防止するため、規則で定める措置を講じなければならない。

(令三条例四〇・追加)

(非常災害対策)

第十六条 福祉ホームは、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に関する具体的計画を策定し、また、非常災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備し、これらを定期的に利用者に周知しなければならない。

2 福祉ホームは、非常災害に備えるため、定期的に避難訓練、救出訓練その他必要な訓練を行わなければならない。

3 福祉ホームは、前項に規定する訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう地域住民等との連携に努めなければならない。

(令三条例四〇・一部改正)

(記録の整備)

第十七条 福祉ホームは、職員、設備、備品及び会計に関する記録を整備しなければならない。

2 福祉ホームは、利用者に対するサービスの提供に関する次に掲げる記録を整備し、当該記録に係る事象の完結の日から五年間保存しなければならない。

 第十条に規定するサービスの提供の記録

 第十四条第二項に規定する苦情の内容等の記録

 第十五条第一項に規定する事故の状況及び処置についての記録

(電磁的記録等)

第十八条 福祉ホーム及びその職員は、記録、保存その他これらに類するもののうち、この条例において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されるもの(次項に規定するものを除く。)については、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。

2 福祉ホーム及びその職員は、説明、同意その他これらに類するもの(以下「説明等」という。)のうち、この条例において書面で行うことが規定されている又は想定されるものについては、当該説明等の相手方が利用者である場合には当該利用者に係る障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ、当該説明等の相手方の承諾を得て、書面に代えて、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によることができる。

(令三条例七七・追加)

(適用除外)

第十九条 この条例の規定は、八王子市の区域における福祉ホーム(当該区域に存する東京都が設置する福祉ホームを除く。)については、適用しない。

(平二六条例一七七・追加、令三条例七七・旧第十八条繰下)

(委任)

第二十条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(平二六条例一七七・旧第十八条繰下、令三条例七七・旧第十九条繰下)

この条例は、平成二十四年四月一日から施行する。

(平成二五年条例第五七号)

この条例は、平成二十五年四月一日から施行する。

(平成二六年条例第一七七号)

この条例は、平成二十七年四月一日から施行する。

(令和三年条例第四〇号)

(施行期日)

1 この条例は、令和三年四月一日(以下「施行日」という。)から施行する。

(経過措置)

2 施行日から令和四年三月三十一日までの間、この条例による改正後の東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例(以下「改正後の条例」という。)第三条第四項及び第十五条の二の規定の適用については、これらの規定中「講じなければならない」とあるのは「講じるよう努めなければならない」とする。

3 施行日から令和六年三月三十一日までの間、改正後の条例第十一条の二の規定の適用については、同条第一項中「講じなければならない」とあるのは「講じるよう努めなければならない」と、同条第二項中「実施しなければならない」とあるのは「実施するよう努めなければならない」と、同条第三項中「行う」とあるのは「行うよう努める」とする。

4 施行日から令和六年三月三十一日までの間、改正後の条例第十二条第二項の規定の適用については、同項中「講じなければならない」とあるのは「講じるよう努めなければならない」とする。

(令和三年条例第七七号)

この条例は、令和三年七月一日から施行する。

東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例

平成24年3月30日 条例第45号

(令和3年7月1日施行)

体系情報
第4編 祉/第7章 身体障害者福祉
沿革情報
平成24年3月30日 条例第45号
平成25年3月29日 条例第57号
平成26年12月26日 条例第177号
令和3年3月31日 条例第40号
令和3年6月14日 条例第77号