○東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例

平成二四年一〇月一一日

条例第一一三号

東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例を公布する。

東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例

目次

第一章 総則(第一条―第九条)

第二章 救護施設(第十条―第十九条)

第三章 更生施設(第二十条―第二十五条)

第四章 授産施設(第二十六条―第三十一条)

第五章 宿所提供施設(第三十二条―第三十七条)

第六章 医療保護施設(第三十八条・第三十九条)

第七章 社会事業授産施設(第四十条)

第八章 雑則(第四十一条・第四十二条)

附則

第一章 総則

(趣旨)

第一条 この条例は、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号。以下「法」という。)第三十九条第一項の規定に基づき、東京都における保護施設の設備及び運営に関する基準を定めるとともに、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第六十五条第一項の規定に基づき、東京都における社会事業授産施設(同法第二条第二項第七号に規定する授産施設をいう。以下同じ。)の設備及び運営に関する基準を定めるものとする。

(用語の意義)

第二条 この条例で使用する用語の意義は、法で使用する用語の例による。

(基本方針)

第三条 保護施設及び社会事業授産施設(以下「保護施設等」という。)は、利用者に対し、健全な環境の下で、社会福祉法第二条に規定する社会福祉事業(以下単に「社会福祉事業」という。)に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇を行うよう努めなければならない。

(構造設備の一般原則)

第四条 保護施設等の配置、構造及び設備は、日照、採光、換気その他の利用者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものでなければならない。

(設備の専用)

第五条 保護施設等の設備は、専ら当該保護施設等の用に供するものでなければならない。ただし、利用者の処遇に支障がない場合は、この限りでない。

(職員の専従)

第六条 保護施設等の職員は、専ら当該保護施設等の職務に従事する者でなければならない。ただし、利用者の処遇に支障がない場合は、この限りでない。

(苦情等への対応)

第七条 保護施設等は、利用者からの処遇に関する苦情に迅速かつ適切に対応するために、窓口の設置その他の必要な措置を講じなければならない。

2 保護施設等は、行った処遇に関し、法第十九条第四項に規定する保護の実施機関から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

3 保護施設等は、社会福祉法第八十三条に規定する運営適正化委員会が行う同法第八十五条第一項の規定による調査に可能な限り協力しなければならない。

(就業環境の整備)

第七条の二 保護施設等は、利用者に対し適切な処遇を行う観点から、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの又は性的な言動により職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。

(令三条例六四・追加)

(業務継続計画の策定等)

第七条の三 保護施設等は、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する処遇を継続的に行い、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。

2 保護施設等は、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。

3 保護施設等は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

(令三条例六四・追加)

(非常災害対策)

第八条 保護施設等は、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に関する具体的計画を策定しなければならない。

2 保護施設等は、定期的に避難訓練、救出訓練その他必要な訓練を行わなければならない。

3 保護施設等は、前項に規定する訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう地域住民等との連携に努めなければならない。

(令三条例六四・一部改正)

(帳簿の整備)

第九条 保護施設等は、設備、職員、会計及び利用者の処遇の状況に関する帳簿を整備しなければならない。

第二章 救護施設

(規模)

第十条 救護施設の規模は、三十人以上の人員を入所させることができるものでなければならない。

2 救護施設は、当該救護施設と一体的に管理運営を行う、日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて生活扶助を行うことを目的とする施設であって入所者が二十人以下のもの(以下この章において「サテライト型施設」という。)を設置する場合は、当該サテライト型施設の規模は、五人以上の人員を入所させることができるものでなければならない。

3 救護施設は、被保護者の数の当該救護施設における入所者の総数に占める割合をおおむね八割以上としなければならない。

(設備の基準)

第十一条 救護施設の建物(利用者の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。以下この条において同じ。)は、耐火建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二に規定する耐火建築物をいう。)又は準耐火建築物(同条第九号の三に規定する準耐火建築物をいう。)でなければならない。ただし、知事が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、東京都規則(以下「規則」という。)で定める要件を満たし、かつ、火災に係る利用者の安全性が確保されていると認めた救護施設の建物の場合は、この限りでない。

2 救護施設は、次に掲げる設備を規則で定める基準により設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより、当該救護施設の効果的な運営が見込まれる場合であって、かつ、利用者の処遇に支障がないときは、この限りでない。

 居室

 静養室

 食堂

 集会室

 浴室

 洗面所

 便所

 医務室

 調理室

 事務室

十一 宿直室

十二 介護職員室

十三 面接室

十四 洗濯室又は洗濯場

十五 汚物処理室

十六 霊安室

3 前項第一号に掲げる居室については、一般居室のほか、必要に応じ、常時の介護を必要とする者を入所させる特別居室を設けなければならない。

(サテライト型施設の設備の基準)

第十二条 サテライト型施設の設備の基準については、前条の規定を準用する。

(職員の配置の基準)

第十三条 救護施設は、次に掲げる職員を規則で定める基準により置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する救護施設にあっては、第七号の調理員を置かないことができる。

 救護施設の長

 医師

 生活指導員

 介護職員

 看護師又は准看護師

 栄養士

 調理員

2 救護施設の長は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に二年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。

3 生活指導員は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。

(居室の定員)

第十四条 一の居室の定員は、原則として四人以下とする。

(給食)

第十五条 給食は、あらかじめ作成された献立に従って行うこととし、その献立は栄養並びに利用者の身体的状況及び好を考慮したものでなければならない。

(健康管理)

第十六条 救護施設は、入所者について、入所時及び毎年定期に二回以上健康診断を行わなければならない。

(衛生管理等)

第十七条 救護施設は、利用者の使用する設備、食器等及び飲用に供する水について、衛生的な管理に努めるとともに、衛生上必要な措置を講じ、かつ、医薬品、衛生材料及び医療機械器具の管理を適正に行わなければならない。

2 救護施設は、当該救護施設において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように規則で定める措置を講じなければならない。

(令三条例六四・一部改正)

(生活指導等)

第十八条 救護施設は、利用者に対し、生活の向上及び更生のための指導を受ける機会を与えなければならない。

2 救護施設は、利用者に対し、精神的及び身体的条件に応じ、機能を回復し、又はその減退を防止するための訓練又は作業に参加する機会を与えなければならない。

3 救護施設は、利用者の日常生活に充てる場所について、必要に応じ、採暖のための措置を講じなければならない。

4 救護施設は、一週間に二回以上、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。

5 救護施設は、教養娯楽設備等を備えるほか、必要に応じレクリエーション行事を行わなければならない。

6 救護施設は、入所者の自立支援を行うため、入所者の意向を踏まえ、入所者ごとに個別支援計画を作成しなければならない。

(令六条例一三一・一部改正)

(給付金として支払を受けた金銭の管理)

第十九条 救護施設は、当該救護施設の設置者が入所者に係る厚生労働大臣が定める給付金(以下この条において「給付金」という。)の支給を受けたときは、給付金として支払を受けた金銭を規則に定めるところにより管理しなければならない。

第三章 更生施設

(規模)

第二十条 更生施設の規模は、三十人以上の人員を入所させることができるものでなければならない。

2 更生施設は、被保護者の数の当該更生施設における入所者の総数に占める割合をおおむね八割以上としなければならない。

(設備の基準)

第二十一条 更生施設は、次に掲げる設備を規則で定める基準により設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより、当該更生施設の効果的な運営が見込まれる場合であって、かつ、利用者の処遇に支障がないときは、この限りでない。

 居室

 静養室

 集会室

 食堂

 浴室

 洗面所

 便所

 医務室

 作業室又は作業場

 調理室

十一 事務室

十二 宿直室

十三 面接室

十四 洗濯室又は洗濯場

2 前項に規定するもののほか、更生施設の設備の基準については、第十一条第一項の規定を準用する。

(職員の配置の基準)

第二十二条 更生施設は、次に掲げる職員を規則で定める基準により置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する更生施設にあっては、第七号の調理員を置かないことができる。

 更生施設の長

 医師

 生活指導員

 作業指導員

 看護師又は准看護師

 栄養士

 調理員

(生活指導等)

第二十三条 更生施設は、入所者の勤労意欲を助長するとともに、入所者が退所後健全な社会生活を営むことができるよう入所者ごとに精神及び身体の条件に適合する個別支援計画を作成し、これに基づく指導をしなければならない。

2 前項に定めるもののほか、更生施設における生活指導等については、第十八条(第二項及び第六項を除く。)の規定を準用する。

(令六条例一三一・一部改正)

(作業指導)

第二十四条 更生施設は、入所者に対し、前条第一項の個別支援計画に従って、当該入所者の退所後の自立に必要な程度の技能を修得させなければならない。

2 作業指導の種目を決定するに当たっては、地域の実情及び入所者の職歴を考慮しなければならない。

(令六条例一三一・一部改正)

(準用)

第二十五条 第十三条第二項及び第三項第十四条から第十七条まで並びに第十九条の規定は、更生施設について準用する。

第四章 授産施設

(規模)

第二十六条 授産施設の規模は、二十人以上の人員を利用させることができるものでなければならない。

2 授産施設は、被保護者の数の当該授産施設における利用者の総数に占める割合をおおむね五割以上としなければならない。

(設備の基準)

第二十七条 授産施設は、次に掲げる設備を規則で定める基準により設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより、当該授産施設の効果的な運営が見込まれる場合であって、かつ、利用者の処遇に支障がないときは、この限りでない。

 作業室

 作業設備

 食堂

 洗面所

 便所

 事務室

(職員の配置の基準)

第二十八条 授産施設は、次に掲げる職員を置かなければならない。

 授産施設の長

 作業指導員

(工賃の支払)

第二十九条 授産施設は、利用者に対し、授産事業活動による収入の額から必要な経費を控除した額に相当する額を工賃として支払わなければならない。

(自立指導)

第三十条 授産施設は、利用者に対し、作業を通じて自立のために必要な指導を行わなければならない。

(準用)

第三十一条 第十三条第二項及び第十七条(医薬品、衛生材料及び医療機械器具の管理に係る部分を除く。)の規定は、授産施設について準用する。

第五章 宿所提供施設

(規模)

第三十二条 宿所提供施設の規模は、三十人以上の人員を利用させることができるものでなければならない。

2 宿所提供施設は、被保護者の数の当該宿所提供施設における利用者の総数に占める割合をおおむね五割以上としなければならない。

(設備の基準)

第三十三条 宿所提供施設は、次に掲げる設備を規則で定める基準により設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより、当該宿所提供施設の効果的な運営が見込まれる場合であって、かつ、利用者の処遇に支障がないときは、この限りでない。

 居室

 炊事設備

 便所

 面接室

 事務室

(職員の配置の基準)

第三十四条 宿所提供施設は、当該宿所提供施設の長を置かなければならない。

(居室の利用世帯)

第三十五条 一の居室は、二以上の世帯に利用させてはならない。ただし、やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。

(生活相談)

第三十六条 宿所提供施設は、生活の相談に応じる等利用者の生活の向上を図るよう努めなければならない。

(準用)

第三十七条 第十三条第二項及び第十七条(医薬品、衛生材料及び医療機械器具の管理に係る部分を除く。)の規定は、宿所提供施設について準用する。

第六章 医療保護施設

(設備及び運営の基準)

第三十八条 医療保護施設は、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)その他医療に関する法令に規定する設備及び運営に関する基準に従って、適切な運営を行わなければならない。

第三十九条 医療保護施設については、第三条から第九条までの規定は、適用しない。

第七章 社会事業授産施設

(準用)

第四十条 第二十六条第一項及び第二十七条から第三十一条までの規定は、社会事業授産施設について準用する。

第八章 雑則

(適用除外)

第四十一条 この条例の規定は、八王子市の区域における保護施設等(当該区域に存する東京都が設置する保護施設等を除く。)については、適用しない。

(平二六条例一五九・追加)

(委任)

第四十二条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(平二六条例一五九・旧第四十一条繰下)

(施行期日)

1 この条例は、平成二十四年十一月一日から施行する。

(経過措置)

2 昭和四十一年十月一日前から存する保護施設(医療保護施設を除く。)については、第十条第一項及び第二項第十一条第一項(第二十一条第二項において準用する場合を含む。)第二十条第一項第二十六条第一項並びに第三十二条第一項の規定は、当分の間適用しない。

3 昭和六十二年三月九日前から存する救護施設については、第十一条第二項第十五号の規定は、当分の間適用しない。

4 昭和六十二年三月九日前から存する救護施設及び更生施設における第十四条(第二十五条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同条中「四人」とあるのは、「六人」と読み替えるものとする。

(平成二六年条例第一五九号)

この条例は、平成二十七年四月一日から施行する。

(令和三年条例第六四号)

(施行期日)

1 この条例は、令和三年八月一日(以下「施行日」という。)から施行する。

(経過措置)

2 施行日から令和六年三月三十一日までの間、この条例による改正後の東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例(以下「改正後の条例」という。)第七条の三の規定の適用については、同条第一項中「講じなければならない」とあるのは「講ずるよう努めなければならない」と、同条第二項中「実施しなければならない」とあるのは「実施するよう努めなければならない」と、同条第三項中「行う」とあるのは「行うよう努める」とする。

3 施行日から令和六年三月三十一日までの間、改正後の条例第十七条第二項(改正後の条例第二十五条、第三十一条(改正後の条例第四十条において準用する場合を含む。)及び第三十七条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、改正後の条例第十七条第二項中「講じなければならない」とあるのは「講ずるよう努めなければならない」とする。

(令和六年条例第一三一号)

この条例は、公布の日から施行する。

東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例

平成24年10月11日 条例第113号

(令和6年10月11日施行)

体系情報
第4編 祉/第2章 生活援護
沿革情報
平成24年10月11日 条例第113号
平成26年12月26日 条例第159号
令和3年6月14日 条例第64号
令和6年10月11日 条例第131号