○東京都受動喫煙防止条例

平成三〇年七月四日

条例第七五号

東京都受動喫煙防止条例を公布する。

東京都受動喫煙防止条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 受動喫煙を防止するための措置(第八条―第十四条)

第三章 罰則(第十五条―第十七条)

附則

受動喫煙が健康に及ぼす影響は大きく、がん、虚血性心疾患、脳卒中等の発症との関連や、母子においては乳幼児突然死症候群の危険性が高まるなど、健康に悪影響を及ぼすことが科学的に明らかにされている。

全ての都民が生涯を通じて健やかで心豊かな生活を送ることができるようにするためには、受動喫煙が健康に及ぼすこうした悪影響について、都民一人一人が正しく理解することが必要である。

東京都は、都民の健康増進を一層図る観点から、受動喫煙を自らの意思で避けることが困難な者に対し、受動喫煙を生じさせることのない環境を整備するとともに、受動喫煙に対する都民の理解の促進に努めなければならない。

このような認識の下に、どこに住んでいても、生涯にわたり健やかに暮らせる社会の実現を目指し、この条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、健康増進法(平成十四年法律第百三号。以下「法」という。)第六章及び第九章並びに健康増進法の一部を改正する法律(平成三十年法律第七十八号。以下「改正法」という。)附則第二条から第七条までに定めるもののほか、東京都(以下「都」という。)、都民及び保護者の責務を明らかにするとともに、都民が自らの意思で受動喫煙を避けることができる環境の整備を促進することにより、受動喫煙による都民の健康への悪影響を未然に防止することを目的とする。

(令元条例九・一部改正)

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 喫煙 法第二十八条第二号に規定する喫煙をいう。

 受動喫煙 法第二十八条第三号に規定する受動喫煙をいう。

 特定施設 法第二十八条第四号に規定する特定施設をいう。

 旅客運送事業自動車等 法第二十八条第八号に規定する旅客運送事業自動車等をいう。

 特定屋外喫煙場所 法第二十八条第十三号に規定する特定屋外喫煙場所をいう。

 都指定特定飲食提供施設 改正法附則第二条第二項に規定する既存特定飲食提供施設のうち、当該既存特定飲食提供施設で業務に従事する従業員(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。)がいないものをいう。

(令元条例九・一部改正)

(都の責務)

第三条 都は、受動喫煙による都民の健康への悪影響を未然に防止するための環境の整備に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 都は、喫煙及び受動喫煙が健康に及ぼす悪影響について、意識の啓発や教育を通じた正しい知識の普及により、都民の理解を促進するように努めなければならない。

3 都は、前項に定めるもののほか、受動喫煙の防止に関するその他必要な施策について、都民、区市町村(特別区及び市町村をいう。第六条において同じ。)、多数の者が利用する施設(敷地を含む。以下同じ。)及び旅客運送事業自動車等の管理権原者(施設又は旅客運送事業自動車等の管理について権原を有する者をいう。以下同じ。)その他の関係者と連携し、及び協力して実施するよう努めなければならない。

(令元条例九・一部改正)

(都民の責務)

第四条 都民は、喫煙及び受動喫煙が健康に及ぼす悪影響について理解を深めるとともに、他人に受動喫煙を生じさせることがないよう努めなければならない。

2 都民は、都が実施する受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(保護者の責務)

第五条 保護者は、いかなる場所においても、その監督保護に係る十八歳未満の者に対し、受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止するよう努めなければならない。

(令四条例三九・一部改正)

(関係者の協力)

第六条 都、区市町村、多数の者が利用する施設及び旅客運送事業自動車等の管理権原者その他の関係者は、受動喫煙が生じないよう、受動喫煙を防止するための措置の総合的かつ効果的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

(令元条例九・一部改正)

第七条 削除

(令元条例九)

第二章 受動喫煙を防止するための措置

(既存特定飲食提供施設における喫煙の禁止等)

第八条 何人も、正当な理由がなくて、改正法附則第二条第二項に規定する既存特定飲食提供施設(都指定特定飲食提供施設を除く。以下単に「既存特定飲食提供施設」という。)においては、当該既存特定飲食提供施設の法第三十三条第三項第一号に規定する喫煙専用室及び改正法附則第三条第一項の規定により読み替えられた法第三十三条第三項第一号に規定する指定たばこ専用喫煙室以外の屋内の場所(改正法附則第二条第一項の規定により読み替えられた法第二十九条第一項第二号に規定する喫煙禁止場所を除く。以下「喫煙禁止場所」という。)で喫煙をしてはならない。

2 知事は、前項の規定に違反して喫煙をしている者に対し、喫煙の中止又は喫煙禁止場所からの退出を命ずることができる。

(令元条例九・全改)

(管理権原者等の責務)

第九条 既存特定飲食提供施設の管理権原者等(管理権原者及び施設の管理者をいう。以下同じ。)は、当該既存特定飲食提供施設の喫煙禁止場所に専ら喫煙の用に供させるための器具及び設備を喫煙の用に供することができる状態で設置してはならない。

2 都指定特定飲食提供施設における改正法附則第二条第一項の規定により読み替えられた法第三十三条第四項に規定する喫煙可能室設置施設の管理権原者は、都指定特定飲食提供施設に該当することを証明する書類として東京都規則(以下「規則」という。)で定めるものを備え、これを保存しなければならない。

3 法第二十八条第六号に規定する第二種施設のうち、飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設(法第三十三条第三項に規定する喫煙専用室設置施設等標識、改正法附則第二条第一項の規定により読み替えられた法第三十三条第三項に規定する喫煙可能室設置施設標識又は改正法附則第三条第一項の規定により読み替えられた法第三十三条第三項に規定する指定たばこ専用喫煙室設置施設等標識が掲示されている施設を除く。)の管理権原者は、当該施設の主たる出入口の見やすい箇所に、次に掲げる事項を記載した標識を掲示しなければならない。

 当該施設の屋内又は内部の場所に喫煙をすることができる場所がない旨

 その他規則で定める事項

4 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十九条第一項に規定する保育所並びに学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校及び高等専門学校並びにこれらに準ずる施設として規則で定めるものの管理権原者は、特定屋外喫煙場所を設けないよう努めなければならない。

(令元条例九・全改・一部改正)

(管理権原者等に対する指導及び助言)

第十条 知事は、前条第一項の管理権原者等及び同条第二項から第四項までの管理権原者に対し、同条各項に規定する施設における受動喫煙を防止するために必要な指導及び助言をすることができる。

(令元条例九・一部改正)

(既存特定飲食提供施設の管理権原者等に対する勧告、命令等)

第十一条 知事は、既存特定飲食提供施設の管理権原者等が第九条第一項の規定に違反して器具又は設備を喫煙の用に供することができる状態で設置しているときは、当該管理権原者等に対し、期限を定めて、当該器具又は設備の撤去その他当該器具又は設備を喫煙の用に供することができないようにするための措置をとるべきことを勧告することができる。

2 知事は、前項の規定による勧告を受けた既存特定飲食提供施設の管理権原者等が、同項の期限内にこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

3 知事は、第一項の規定による勧告を受けた既存特定飲食提供施設の管理権原者等が、その勧告に係る措置をとらなかったときは、当該管理権原者等に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

(令元条例九・全改)

(立入検査等)

第十二条 知事は、この章の規定(第九条第四項を除く。)の施行に必要な限度において、特定施設の管理権原者等に対し、当該特定施設の喫煙禁止場所における専ら喫煙の用に供させるための器具及び設備の撤去その他の受動喫煙を防止するための措置の実施状況に関し報告をさせ、又はその職員に、特定施設に立ち入り、当該措置の実施状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(令元条例九・全改)

(適用関係)

第十三条 第九条第四項に規定する施設の場所に同項に規定する施設以外の特定施設に該当する場所がある場合においては、当該場所については、同項に規定する施設の場所としてこの章の規定を適用する。

(令元条例九・旧第十八条繰上・一部改正)

(適用除外)

第十四条 法第四十条第一項各号に規定する場所については、この章の規定(この条の規定を除く。以下この条において同じ。)は、適用しない。

2 特定施設の場所に法第四十条第一項各号に規定する場所に該当する場所がある場合においては、当該特定施設の場所(当該同項各号に規定する場所に該当する場所に限る。)については、この章の規定は、適用しない。

(令元条例九・旧第十九条繰上・一部改正)

第三章 罰則

(令元条例九・追加)

(罰則)

第十五条 第十一条第三項の規定に基づく命令に違反した者は、五万円以下の過料に処する。

(令元条例九・追加)

第十六条 第八条第二項の規定に基づく命令に違反した者は、三万円以下の過料に処する。

(令元条例九・追加)

第十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の過料に処する。

 第九条第二項の規定による書類を備え付けず、又は保存しなかった者

 第十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

(令元条例九・追加)

(施行期日)

第一条 この条例は、令和二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 第一条第二条(第一号から第三号までに限る。)第三条から第七条まで、次条第一号及び附則第七条の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において規則で定める日

(平成三〇年規則第一五九号で平成三一年一月一日から施行)

 第二条(第四号及び第五号に限る。)第八条から第十二条まで及び第十四条の規定 令和元年九月一日までの間において規則で定める日

(平成三一年規則第二六号で平成三一年九月一日から施行)

(令元条例九・一部改正)

(指定たばこの適用除外)

第二条 改正法附則第三条第一項に規定する指定たばこについては、当分の間、第八条第二項の規定は適用しない。

(令元条例九・全改)

(検討)

第三条 都は、この条例の施行後五年を経過した場合において、この条例の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(令元条例九・旧第八条繰上)

(令和元年条例第九号)

この条例は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 第二条中第一条、第三条第三項及び第六条の改正規定 令和元年七月一日

 第二条(前号に掲げる改正規定を除く。)及び第三条の規定 令和二年四月一日

(令和四年条例第三九号)

この条例は、令和四年四月一日から施行する。

東京都受動喫煙防止条例

平成30年7月4日 条例第75号

(令和4年4月1日施行)