○東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例
平成三一年三月二九日
条例第三〇号
東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例を公布する。
東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例
目次
第一章 総則(第一条―第八条)
第二章 適正な管理を推進するために管理組合が留意する事項(第九条―第十四条)
第三章 マンションの適正な管理を促進するための施策(第十五条―第十九条)
第四章 雑則(第二十条・第二十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、マンションが東京都内における主要な居住形態として広く普及し、都民に不可欠な生活の基盤並びに都市及び地域社会を構成する重要な要素となっていることに鑑み、マンション管理士、マンション管理業者、マンション分譲事業者その他マンションに関わる者の協力の下、マンションの管理の主体である管理組合に対し、行政が積極的に関わり、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進するとともに、その社会的機能(マンションの居住者と周辺の住民との防災、防犯等における連携による地域社会の形成、マンションの環境性能の向上等の社会的な貢献を果たすことをいう。以下同じ。)を向上させることにより、良質なマンションストック及び良好な居住環境の形成並びにマンションの周辺における防災・防犯の確保及び衛生・環境への悪影響の防止を図り、もって都民生活の安定向上及び市街地環境の向上に寄与することを目的とする。
一 マンション マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成十二年法律第百四十九号。以下「マンション管理適正化法」という。)第二条第一号に規定するマンションであって、東京都(以下「都」という。)の区域内に所在するものをいう。
二 区分所有者等 マンション管理適正化法第二条第二号に規定するマンションの区分所有者等をいう。
三 管理組合 マンション管理適正化法第二条第三号に規定する管理組合をいう。
四 管理者等 マンション管理適正化法第二条第四号に規定する管理者等をいう。
五 マンション管理士 マンション管理適正化法第二条第五号に規定するマンション管理士をいう。
六 マンション管理業者 マンション管理適正化法第二条第八号に規定するマンション管理業者をいう。
七 マンション分譲事業者 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者(同法第七十七条第二項及び宅地建物取引業法施行令(昭和三十九年政令第三百八十三号)第九条第二項の規定により宅地建物取引業者とみなされる者を含む。)であって、自ら売主として又は売主を代理してマンションを分譲する者をいう。
(都の責務及び区市町村との連携等)
第三条 都は、管理組合、マンション管理士、マンション管理業者、マンション分譲事業者その他マンションに関わる者によるこの条例の規定に基づく取組に対する支援その他のマンションの適正な管理の促進を図るために必要な措置を講ずるものとする。
2 都は、この条例の施行及びマンションの適正な管理の促進を図るための施策の実施に当たって、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)と緊密に連携し、情報の共有を図るとともに、区市町村が行う施策に対し必要な支援を行うものとする。
(マンションの総合的な計画及び管理の適正化に関する指針の作成)
第四条 知事は、第一条に規定する目的の実現に向けた基本的施策を具体化し、推進するための総合的な計画を定めるものとする。
2 知事は、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(以下「指針」という。)を定めるものとする。
3 知事は、指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公示するものとする。
(管理組合及び区分所有者等の責務)
第五条 管理組合は、マンションの管理の主体として、法令及びこの条例(以下「法令等」という。)の定めるところにより、マンションを適正に管理するとともに、マンションの社会的機能の向上に向けて取り組むよう努めなければならない。
2 区分所有者等は、法令等の定めるところにより、区分所有者等としての権限及び責任に基づき、管理組合の運営に参加するよう努めなければならない。
(マンション管理士の責務)
第六条 マンション管理士は、法令等の定めるところにより、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、専門的知識をもって、管理組合、管理者等、区分所有者等その他マンションの管理に関わる者の相談に応じ、助言その他の援助を適切に行うよう努めなければならない。
2 マンション管理士は、都又は区市町村が行うマンションの適正な管理を促進する施策の実施において、都又は当該区市町村と連携するよう努めなければならない。
(マンション管理業者の責務)
第七条 マンション管理業者は、法令等の定めるところにより、管理組合の運営その他マンションの管理について管理組合から委託を受けた業務(以下「受託業務」という。)を適切に行うとともに、受託業務を行うに際して、当該管理組合に対し、専門的見地から提案又は助言を行うよう努めなければならない。
2 受託業務を行うマンション管理業者は、管理組合が都又は区市町村の行うマンションの適正な管理を促進する施策に対応し、又は協力する必要があるときは、当該管理組合に対し、必要な支援を行うよう努めなければならない。
(マンション分譲事業者の責務)
第八条 マンション分譲事業者は、法令等の定めるところにより、管理組合の設立及び円滑な運営に配慮したマンションの供給に努めなければならない。
第二章 適正な管理を推進するために管理組合が留意する事項
(管理組合の運営体制の整備)
第九条 管理組合は、マンションの管理の主体として、その団体又は法人の運営体制を整備するものとする。
2 管理組合(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第四十七条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する法人を除く。)は、その運営のために、管理者(区分所有法第二十五条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者をいう。)を置くものとする。
(管理規約の設定)
第十条 管理組合は、マンションの管理の実態に応じ、管理規約(区分所有法第三十条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する規約をいう。)を定めるものとする。
(総会の開催等)
第十一条 管理組合は、少なくとも毎年一回総会(区分所有法第三条及び第六十五条に規定する集会をいう。)を開催するものとする。
2 管理組合は、総会が開催されたときは、速やかに議長(区分所有法第四十一条(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する議長をいう。)に議事録を作成させるものとする。
(管理費及び修繕積立金の額の設定等)
第十二条 管理組合は、マンションの管理及び維持保全の実態に応じ、管理費(当該マンションの敷地及び共用部分(区分所有法第二条第四項に規定する共用部分をいう。)の管理に要する経費の充当金をいう。)及び修繕積立金(当該共用部分について管理組合が行う修繕に要する経費の充当金をいう。)として区分所有者等が拠出すべき額及びその徴収方法を定めるものとする。
(修繕の計画的な実施)
第十三条 管理組合は、マンションの維持保全の状況に応じ、一定の年数が経過するごとに修繕を計画的に実施するものとする。
(適正な管理の推進等)
第十四条 この章に定めるもののほか、管理組合は、指針の定めるところにより、マンションの適正な管理の推進及び社会的機能の向上に資する取組を実施するよう努めなければならない。
第三章 マンションの適正な管理を促進するための施策
(管理状況の届出)
第十五条 要届出マンション(マンション管理適正化法第五十六条第一項に規定する人の居住の用に供する独立部分を六以上有し、かつ、昭和五十八年十二月三十一日以前に新築されたマンションをいう。以下同じ。)の管理組合は、その管理状況に関し、マンションの適正な管理の促進に必要なものとして東京都規則(以下「規則」という。)で定める事項(以下「管理状況に関する事項」という。)を、知事に届け出なければならない。
3 前項の規定により知事から管理状況に関する事項を届け出るよう求められたマンションの管理組合は、当該管理状況に関する事項を知事に届け出なければならない。
4 前項の規定による届出を要するマンション以外のマンション(要届出マンションを除く。)の管理組合は、管理状況に関する事項を知事に届け出ることができる。
(届出の更新)
第十六条 要届出マンションの管理組合は、定期に、前条第一項の規定による届出の内容の更新を知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による内容の更新の届出を行った要届出マンションの管理組合は、当該更新した届出の内容に変更(建物の滅失その他の事由を含む。)が生じたときは、その旨を知事に届け出なければならない。
4 前三項の規定による助言又は指導若しくは勧告は、やむを得ない事情があると認めるときは、知事が適当と認める区分所有者等に対し、行うことができるものとする。
(管理組合等に対する支援)
第十九条 知事は、管理組合又は区分所有者等に対し、そのマンションの適切な維持保全及び適正な管理の推進のために必要な支援を行うことができる。
第四章 雑則
(委任)
第二十条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則