○東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例

令和七年一二月二四日

条例第一四二号

東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例を公布する。

東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例

都市の活力の源泉は、人である。東京が活力ある都市として発展していくためには、性別にかかわらず誰もがその個性や能力を発揮できることが重要である。

東京都は、平成十二年に東京都男女平等参画基本条例を制定し、社会のあらゆる分野の活動に男女が共に参画できるよう施策を展開してきた。この間、女性の大学進学率や就業率は上昇し、結婚・出産を経た後も働き続ける女性は増加してきた。また、育児休業取得率が上昇するなど、男性の育児への参画意欲も高まってきている。一方で、雇用・就業分野においては、いまだに様々な場面で女性がその個性や能力を十分に発揮できていない状況にある。

社会経済状況の変化が激しい時代において、首都東京の持続的な発展を確かなものとするためには、人口の半分を占める女性が力を発揮できる環境を創出していく必要がある。

働く場において、女性がそれぞれの個性や能力を発揮できる環境を整備するためには、経営方針や人事戦略等に決定権を有する事業者の主体的な取組が不可欠である。事業活動において女性が活躍することは、女性の自己実現につながるとともに、新たな価値の創造や、変化に強く持続可能な組織の構築に寄与するものであり、事業者においてそれを認識し、取り組むことが求められる。

また、雇用・就業分野における女性の可能性を広げていくためには、職場や社会に根強く残る「性別による無意識の思い込み」の解消に向けて社会全体で取り組むことが必要である。

東京都は、こうした認識の下、雇用・就業分野において、女性がその個性や能力を発揮できる環境を創出することにより、持続可能で誰もが生き生きと暮らす社会の実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、東京都男女平等参画基本条例(平成十二年東京都条例第二十五号)の趣旨を踏まえ、雇用の分野及び就業の分野(以下「雇用・就業分野」という。)において女性がそれぞれの個性や能力を発揮できる環境の整備を図ることに関し、基本理念を定め、東京都(以下「都」という。)、事業者、経済団体及び都民の責務を明らかにするとともに、施策の基本的な事項を定めることにより、事業者の主体的な取組の促進及び性別による無意識の思い込みの解消に向けた取組の推進を図り、もって持続可能で性別にかかわりなく誰もが生き生きと暮らす社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 事業者 都の区域内(以下「都内」という。)で事業(非営利目的の活動を含む。)を行う法人(地方公共団体を除く。)又は事業を行う場合における個人をいう。

 就業者 事業者が行う業務に、収入を得て従事する者をいう。

 経済団体 一定地域の商工業者によって組織され、地域の経済発展などに寄与するための活動を行う事業所及び同業者によって組織された団体をいう。

 都民 都内に在住、在学又は在勤をしている者をいう。

 女性が活躍できる環境 雇用・就業分野において女性がそれぞれの個性や能力を発揮できる環境をいう。

(基本理念)

第三条 女性が活躍できる環境の整備は、職業生活を中心とした女性の選択肢の拡大につながるのみならず、事業活動における、新たな価値の創造及び特定の性別に偏ることにより生じ得る支障の回避に寄与するものであるとの認識の下、事業者が主体的に取り組むことにより、その推進が図られなければならない。

2 女性が活躍できる環境の整備の推進に当たっては、性別による無意識の思い込みが、女性がその個性や能力を発揮する機会を阻むおそれがあるとの認識の下、社会全体でその解消が図られなければならない。

3 就業者の家庭生活と職業生活との両立に関しては、本人の意思が尊重されるべきであることに留意されなければならない。

(都の責務)

第四条 都は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、事業者、経済団体及び都民に対し、女性が活躍できる環境の整備のために必要な情報の提供、啓発、相談、助言その他必要な施策を行うものとする。

(事業者の責務)

第五条 事業者は、基本理念にのっとり、特定の性別に偏らない組織づくりの推進、就業者に係る男女間の格差の解消、女性特有の健康課題への配慮その他女性が活躍できる環境の整備に必要な取組を主体的に行うとともに、都が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、その事業に関し、優越的な関係を背景として女性の尊厳を傷つける行為をしてはならない。

3 事業者は、その事業に関し、就業者が前項の行為をしないように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(経済団体の責務)

第六条 経済団体は、基本理念にのっとり、所属する事業者等に対し、女性が活躍できる環境の整備に関する取組を促すとともに、都が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(都民の責務)

第七条 都民は、基本理念にのっとり、性別による無意識の思い込みについての関心と理解とを深めることにより、雇用・就業分野における女性の活躍を推進するとともに、性別による無意識の思い込みの解消に向けて都が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(国及び区市町村との連携)

第八条 都は、女性が活躍できる環境の整備の推進に当たっては、国及び区市町村(特別区及び市町村をいう。)と相互に連携と協力とを図るよう努めるものとする。

(指針の策定)

第九条 都は、女性が活躍できる環境の整備に関する指針(以下「指針」という。)を定めるものとする。

2 指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 都の政策目標及びその進捗を把握する指標に関する事項

 事業者、経済団体及び都民の責務に関する事項

 都の施策に関する事項

 事業者の取組に関する事項

 前各号に掲げるもののほか、女性が活躍できる環境の整備を推進するために必要な事項

3 都は、指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係機関等の意見を聴き、指針に反映するよう努めるものとする。

4 都は、指針を定め、又はこれを変更したときは、速やかに、これを公表するものとする。

(調査及び公表)

第十条 都は、施策を効果的に実施するため、事業者の取組の状況について調査を行うとともに、前条第二項第一号に規定する事項の状況について公表するものとする。

(事業者による計画的な取組の推進等)

第十一条 事業者は、指針を踏まえ、自らの組織の現状を把握し、女性が活躍できる環境の整備に向けて計画的に取組を推進するよう努めなければならない。

2 事業者は、前条の調査に協力するよう努めなければならない。

(都の率先行動)

第十二条 都は、都の職員がその個性や能力を発揮できる環境の整備に関し、率先して推進するとともに、その取組状況について公表するものとする。

(財政上の措置)

第十三条 都は、女性が活躍できる環境の整備に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、令和八年七月一日から施行する。

東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例

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(令和8年7月1日施行)