○職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の制定および職員団体の行う交渉に関する条例の廃止について

昭和四一年九月一六日

四一総勤労発第九〇号

局長、広報室長、都立大学事務局長、出納長、養育院長、中央卸売市場長、区長、教育長、人事委員会事務局長、監査事務局長、選挙管理委員会事務局長、地方労働委員会事務局長、漁業調整委員会会長、議会局長

職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の制定および職員団体の行う交渉に関する条例の廃止について(依命通達)

この条例は、ILO第八十七号条約の批准にともなつて一部改正をみた地方公務員法(以下「法」という。)第五十五条の二第六項の規定に基き、職員が給与を受けながら、職員団体のためその業務を行い、または活動することのできる場合を定めることを目的として制定されたものである。

本来、職員は、法第三十五条により、その勤務時間のすべてを通じて職務に専念する義務を負うものであるから、職員団体のための活動等も、勤務時間外にこれを行うことが原則である。

また、職員の給与は、いうまでもなく勤務に対する対価であり、その支給もノーワーク・ノーペイの原則にのつとつて行われるべきものであるから、職員が給与を受けながら、職員団体のための活動等を行うことは、本来許されない性質のものといわなければならない。

しかし、法が、他方において、職員に対し、勤務条件の維持改善を図ることを目的とする職員団体の結成およびそれへの加入を認め、さらにその職員団体による適法な交渉を承認していることにかんがみ、前記原則に対する特例となる場合を、この条例で定めることとし、もつて本都における業務の正常な運営と、職員団体の適法、健全な運営との調和を図ることとしたのである。

また、職員団体の行う交渉に関する条例(昭和二十六年二月東京都条例第十九号)が昭和四十一年九月十日で廃止(職員団体の行う交渉に関する条例を廃止する条例(昭和四十一年九月東京都条例第九十九号))されることとなつた。

これは、従来条例事項とされていた職員団体の交渉に関する事項が、直接法第五十五条に規定されることとなつたことによるものである。

職員団体の行う交渉は、本来、平穏、円滑に行われるべきものであつて、いやしくも、職員の秩序を乱し、公務の運営に支障を来たすようなものであつてはならない。このような見地から、交渉に関する準備、要件、手続き等を、直接法に規定し、健全な良識に基く適正な交渉が行われるよう、特段の配慮がなされているのである。

ついては、法および条例の趣旨を体し、下記事項に十分留意のうえ、その施行について遺憾のないよう特に配慮せられたい。この旨命により通達する。

1 条例の趣旨および運用

法第五十五条の二第六項は「職員は条例で定める場合を除き、給与を受けながら、職員団体のためその業務を行い、または活動してはならない。」と規定している。

この規定の趣旨とするところは、職員団体の業務または活動は、職員団体の責任と財政上の負担において行われるべきであつて、職員団体のための職員の活動に対しては、給与を支給しないことが原則であるが、その特例となる場合を、条例で定めることとしているのである。

この規定を根拠として、都においては、本条例を制定し、その特例となる場合を、適法な交渉およびその準備を行う場合のほか、休日、年末年始、年次休暇および刑事休職の場合に限定したのである。

職員団体のための職員の活動に対して当局が給与を支給することは、ノーワーク・ノーペイの原則に反するほか、いわゆる経理上の援助に相当し、労使相互不介入の原則に反するのみならず、社会通念上も許されないところといわざるを得ないので、この条例の運用にあたつては、法の趣旨を逸脱することのないよう、厳に留意せられたい。

2 条例の適用範囲

この条例は、いわゆる都の一般職員のほか、市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条および第二条に規定する職員並びに区立の幼稚園および各種学校の園長、校長、教頭、事務職員および技術職員にも適用されるものである。

(条例第一条)

3 職員が給与を受けながら、職員団体の業務等に従事することのできる場合

(1) 適法な交渉およびその準備

法第五十五条に規定する適法な交渉は、勤務時間中においても、これを行うことができることとされているが(法第五十五条第八項)、ここにいう適法な交渉とは、交渉事項、手続き、人員等が、法第五十五条各項の要件に適合している交渉を指すものである。すなわち

ア 交渉事項は、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件およびこれに付帯する社交的または厚生的活動を含む適法な活動に係る事項であつて、管理運営事項にわたるものであつてはならないのである。(法第五十五条第一項、第三項)

イ 職員団体との交渉に応ずる当局は、当該交渉事項について適法に管理し、または決定することのできる当局でなければならない。(法第五十五条第四項)

ウ 交渉手続きとしては、あらかじめ人員、議題、場所、時間その他必要な事項を取りきめておかなければならない。(法第五十五条第五項)等である。

なお、職員が適法な交渉およびその準備を行う場合であつても、当然に職務に専念する義務が免除され、あるいは給与の減額が免除されるのではなく、それぞれ所定の手続きを経ることが必要であることは、いうまでもないところである。

また、「その準備」とは、適法な交渉と直接因果関係を有する準備行為を指すものであるから、その取扱いについては、特に遺憾のないようにせられたい。

(2) 休日および年末年始

休日および年末年始の場合も、給与支給の対象となつているので、この条例で規定しない限り、職員は、これらの日においても、職員団体のための活動等を行うことができないこととなるため、ここに規定したものである。

ただし、特に勤務を命ぜられている場合は、この限りではない。

(3) 年次休暇

年次休暇の場合も、給与支給の対象となつているので、休日の場合と同趣旨によりここに規定することとしたものである。

(4) 刑事休職

法第二十八条第二項第二号の規定による休職(刑事休職)の場合は、職員団体のための活動等に従事することができる状態にあり、かつ一定率の給与が支給されることとなつているので、ここに規定したものである。

二 職員団体の行う交渉に関する条例を廃止する条例について

職員団体の行う交渉に関する条例は、昭和四十一年九月十日廃止された。これにより、職員団体の行う交渉は、今後法第五十五条の規定により直接律せられることとなつたので、同条各項の規定を十分に理解のうえ、常に適正、円滑な交渉が行われるよう特に努力されたい。

職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の制定および職員団体の行う交渉に関する…

昭和41年9月16日 総勤労発第90号

(昭和41年9月16日施行)

体系情報
第2編 事/第12章 職員団体
沿革情報
昭和41年9月16日 総勤労発第90号