○公益通報の処理に関する要綱

平成一八年三月一七日

一七総人人第一一三二号

(目的)

第一条 この要綱は、公益通報の処理に関し、法令違反の是正及び未然防止を図るとともに、局等(東京都組織規程(昭和二十七年東京都規則第百六十四号)第八条第一項に規定する本庁の局、室並びに住宅政策本部、中央卸売市場、労働委員会事務局及び収用委員会事務局をいう。以下同じ。)において、公益通報を適切に処理するため、必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)

第二条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 職員 局等の職員(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第二項に規定する一般職及び同条第三項に規定する特別職のうち、労働者(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者をいう。以下同じ。)である者をいう。)をいう。

 派遣労働者 局等の事業に従事する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。)をいう。

 契約先等の労働者 事業者(公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)第二条第一項第三号に規定する事業者をいう。)が局等との契約に基づいて行う事業に従事する労働者及び指定管理者(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者をいう。)が行う局等の公の施設の管理の業務に従事する労働者をいう。

 職員等 職員、派遣労働者及び契約先等の労働者をいう。

 都民等 この要綱に規定する相談又は通報を行おうとする者(職員等を除く。)をいう。

 相談 職員等又は都民等が、通報処理の仕組み、第三条に規定する特定行為に該当するか否か等について、第七条に規定する公益通報窓口に対し助言を求めることをいう。

 法令違反行為 法令(条例、規則及び訓令を含む。以下同じ。)に違反する行為をいう。

 業務に関する規程又は職務上の命令に違反する行為 職務の遂行に当たって、あらかじめ定められた要綱、要領その他業務に関する規程又は職務上の命令に違反する行為をいう。

 法令違反につながるおそれのある行為 行為の態様が法令の趣旨及び目的に反し、放置しておくと法令の違反につながるおそれがある行為をいう。

 受付 第七条に規定する公益通報窓口が、相談を受けること又は第五条に規定する通報を受け取ることをいう。

十一 被通報者 法令違反行為等を行った又は行っていると通報された者をいう。

(職員通報)

第三条 職員等は、局等の事務又は事業に係る職員の行為(職員の私生活上の行為を除く。以下「特定行為」という。)次の各号のいずれかに該当すると思料する場合に、第五条第一項第一号又は第三項に規定する窓口に通報すること(以下「職員通報」という。)ができる。

 法令違反行為

 業務に関する規程又は職務上の命令に違反する行為

 法令違反につながるおそれのある行為

(都民通報)

第四条 都民等は、特定行為が前条第一号に該当すると思料する場合に、次条第一項第二号又は第三項に規定する窓口に通報すること(以下「都民通報」という。)ができる。

(通報の窓口)

第五条 通報(職員通報及び都民通報をいう。以下同じ。)は、次の区分に応じ、当該各号に掲げる窓口で受け付けるものとする。

 職員通報 局窓口(局等において人事を主管する部長(以下「人事主管部長」という。)が、所属する局等に設置する窓口をいう。以下同じ。)及び全庁窓口(総務局コンプライアンス推進部をいう。以下同じ。)

 都民通報 全庁窓口

2 人事主管部長は、局窓口に課長代理級を含む複数の担当者を置く。

3 第一項に規定するもののほか、弁護士が担当する窓口(以下「弁護士窓口」という。)を設置し、通報を受け付けるものとする。

4 弁護士窓口の業務を担当する弁護士(以下「担当弁護士」という。)は、弁護士窓口の業務に必要な識見を有する者のうちから、知事が委嘱する。

5 担当弁護士の任期は、一年とする。

6 担当弁護士は、再任することができる。

(相談及び通報の方法)

第六条 職員等は、局窓口及び全庁窓口に対しては電子メール、ファクシミリ、郵送、電話又は面談により、弁護士窓口に対しては電子メール又はファクシミリにより、相談又は通報をすることができる。

2 都民等は、全庁窓口又は弁護士窓口に対して、電子メール又はファクシミリにより相談又は通報をすることができる。

3 相談する者(以下「相談者」という。)又は通報する者(以下「通報者」という。)は、相談又は通報を行う場合は氏名を明らかにする。ただし、第八条第一項第二号の規定に該当する場合に限り、匿名により相談又は通報をすることができる。

(通報の受付)

第七条 公益通報窓口(局窓口、全庁窓口及び弁護士窓口をいう。以下同じ。)は、通報を受け付けたときは、次に掲げる事項について通報者に確認するものとする。ただし、通報者の同意が得られない場合その他確認に支障がある場合は、この限りでない。

 通報者の氏名、所属及び連絡先(電話番号、電子メールアドレス又は住所若しくは居所)

 被通報者の氏名

 通報者と被通報者との関係

 通報の内容となる具体的かつ客観的な事実及び関係する法令等

 前号の事実を裏付ける資料等の有無及びその名称等

 その他必要と認められる事項

2 全庁窓口及び弁護士窓口は、通報を受け付けたときは、次に掲げる事項を通報者に説明するものとする。ただし、通報者が自らの個人情報の秘匿を必要としない旨申し出た場合、通報者が説明を望まない場合、匿名による通報であるため通報者への説明が困難である場合その他やむを得ない理由がある場合はこの限りでない。

 通報に関する秘密が保持されること。

 通報者の氏名、住所、所属、連絡先その他の個人が特定される情報(以下「個人情報」という。)が保護されること。

 通報をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けないこと。

 通報受付後の手続に関すること。

 その他必要と認められる事項

3 局窓口は、通報を受け付けたときは、全庁窓口へ速やかに回付する。

(公益通報の受理)

第八条 全庁窓口は、前条第一項の規定により受け付けた通報が、次に掲げる要件をすべて満たす通報(以下「公益通報」という。)である場合は、当該公益通報を受理するものとする。

 苦情、要望、意見又は相談(公益通報窓口以外の窓口で受け付けること等によって処理を図ることが適当と認められるものを含む。)ではないこと。

 通報対象事実(職員等の通報に係る特定行為が第三条各号のいずれかに該当すること又は都民等の通報に係る特定行為が同条第一号に該当することをいう。以下同じ。)を具体的かつ客観的に指摘しているものであること。

 過去に行われた同一の通報者からの同一の趣旨の通報ではないこと。

 通報受付時に、関係する局等が当該通報の対象となった事実に対応していないこと。

 訴訟、和解、あっせん、調停、仲裁その他の手続によって解決又は処理を図ることが適当と認められないこと。

 内容が具体的かつ客観的で、十分な調査を行うことができるものであること。

 是正措置を講じることができるものであること。

2 全庁窓口は、公益通報に該当しない通報のうち、その内容について、通報内容に係る事業を所管する局等の局窓口(以下「所管局窓口」という。)に通知する必要があると認められる通報については、所管局窓口に情報を提供し、その後の対応等について報告を求めることができる。

3 弁護士窓口は、受け付けた通報が、第一項第一号から第三号までの全てに該当する場合は通報者の個人情報を秘匿した上で、速やかに全庁窓口に報告し、これらの号のいずれかに該当しない場合は公益通報に該当しない旨を通報者に通知することとするが、公益通報に該当しない通報のうち、その内容について、全庁窓口に報告する必要があると認められる通報については、当該通報について全庁窓口に情報を提供するものとする。ただし、通報者が個人情報の保護を要しない旨を申し出たときは、当該個人情報を秘匿することなく報告するものとする。

4 全庁窓口は、前条第三項により局窓口から回付された通報及び前項の規定により弁護士窓口から報告された通報について、第一項の規定により公益通報を受理する。

5 全庁窓口は、次に掲げるいずれかの事項を、通報者(匿名の場合を除く。)に対し、遅滞なく通知するものとする。ただし、弁護士窓口が受け付けた公益通報については、担当弁護士を通じて通知するものとする。

 公益通報として受理し、調査を行うこと。

 公益通報として受理したが、調査を行わないこと及びその理由

 公益通報として受理しないこと及びその理由

(調査の実施等)

第九条 全庁窓口は、受理した公益通報のうち、複数の局に関係する事案、東京都又は局等全体に影響を及ぼす重要な事案、措置に緊急を要する事案等については、局窓口と連携して調査を行う。

2 前項に規定するもののほか、全庁窓口は、受理した公益通報について、所管局窓口に対して、必要な調査を実施するよう通知する。

3 所管局窓口は、前項の通知に基づき、当該通知を受けた後遅滞なく調査を実施する。

4 前項の調査は、通報者の秘密の保持に配慮しつつ、被通報者その他の関係者からの事情聴取その他の必要かつ相当と認められる方法で行う。

5 所管局窓口は、調査結果の報告に当たって、全庁窓口に協議するものとする。

6 全庁窓口は、所管局窓口の調査結果につき、必要な助言及び指導等を行う。この場合において、担当弁護士に意見を求めることができる。

7 全庁窓口は、所管局窓口の調査結果につき、関係者の秘密の保持に十分に留意しつつ、通知を希望する通報者に通知する。ただし、弁護士窓口が受け付けた公益通報については、担当弁護士を通じて通知するものとする。

(是正措置の実施等)

第十条 所管局窓口は、調査の結果、通報対象事実があると認められた場合は、速やかに是正措置及び再発防止策(以下「是正措置等」という。)を講じるとともに、必要に応じて、関係者に対する懲戒処分等の手続を行うものとする。

2 全庁窓口は、所管局窓口の是正措置等につき、必要な助言及び指導等を行う。この場合において、担当弁護士に意見を求めることができる。

3 所管局窓口は、調査中であっても、緊急かつ必要な措置を講じなければならない場合は、直ちに、通報対象事実に係る行為の中止その他の措置を講じる。

4 所管局窓口は、是正措置等を講ずるときはその内容について、是正措置等を講じない場合はその理由について、必要に応じて全庁窓口及び担当弁護士の意見を聴くことができる。

5 所管局窓口は、是正措置等を講じた場合は事実関係及び是正措置等の内容等を、通報対象事実があると認められなかった場合又は調査を尽くしても当該事実の存否が明らかにならなかった場合はその旨を、関係者の秘密の保持に十分に留意しつつ、全庁窓口に遅滞なく報告するものとする。

6 全庁窓口は、前項の報告につき、関係者の秘密の保持に十分に留意しつつ、通知を希望する通報者に通知するものとする。ただし、弁護士窓口が受け付けた公益通報については、担当弁護士を通じて通知するものとする。

(相談の対応)

第十一条 相談を受けた公益通報窓口は、相談者の秘密の保持及び個人情報の保護に留意しつつ、相談の内容に応じて助言を適切に行うとともに、相談者の秘密は保持されること、個人情報は保護されること及び相談者が不利益な取扱いを受けないことを、相談者に対し説明する。

(通報者等の保護等)

第十二条 相談者又は通報者は、相談又は通報をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

(局長等の責務)

第十三条 局長等(東京都組織規程第九条第一項に定める局長、同条第三項に規定する室長並びに住宅政策本部長、中央卸売市場長、労働委員会事務局長及び収用委員会事務局長をいう。以下同じ。)は、相談又は通報があった場合は、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

2 局長等は、職員等が、相談又は通報をしたことを理由として、当該局等の事業に従事する職場で不利益な取扱いを受けることがないよう配慮しなければならない。

(職員等の責務)

第十四条 職員等は、虚偽の通報、他人をひぼう中傷する通報、他人の業務を妨害する通報その他の不正の目的の通報をしてはならない。

2 職員等は、他人の正当な利益又は公共の利益を害する通報をしないよう努めなければならない。

3 被通報者その他の関係者は、所管局窓口が行う調査に協力しなければならない。また、当該調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

4 職員は、他の任命権者が所管する通報内容の関係者である場合は、当該他の任命権者の公益通報窓口が行う調査に協力しなければならない。

(公益通報対応業務従事者の範囲等)

第十五条 公益通報者保護法第十一条第一項に規定する公益通報対応業務従事者は、次に掲げる者とする。

 総務局コンプライアンス推進部長及び総務局コンプライアンス推進部職員のうち、第七条から第十一条までのいずれかの業務に従事する職員

 第五条第二項の規定により設置される局窓口を担当する職員

 第五条第四項の規定により委嘱される担当弁護士

 第九条の規定に基づく調査又は第十条の規定に基づく是正措置を局が実施するために必要な職員で、総務局コンプライアンス推進部長又は所管局人事主管部長が指定する職員

2 前項に規定する者は、相談者、通報者その他関係者の秘密の保持に十分留意し、知り得た秘密及び個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。

(利益相反関係の排除)

第十六条 通報への対応に関与する職員及び公益通報窓口の担当者(第五条第二項に規定する担当者及び全庁窓口の担当者をいう。)は、自ら当事者となっている案件に関する通報その他の利益相反関係を有する案件についての通報への対応に関与してはならない。

2 通報への対応に関与する者は、通報への対応の各段階において、相互に当該通報に利益相反関係を有していないか確認するものとする。

3 公益通報に係る調査等の対応に着手しようとする者は、当該案件について自らが利益相反関係を有すると思料するときは、直ちに所管局窓口にその旨を伝えなければならない。

(公表)

第十七条 全庁窓口は、毎年度、公益通報に関する処理の状況について、インターネットの利用その他の適切な方法によりその概要を公表するものとする。

(全庁窓口による調整)

第十八条 全庁窓口は、局窓口に対し、第九条第六項及び第十条第二項に規定する事項のほか、必要な助言及び指導等を行う。この場合において、担当弁護士に意見を求めることができる。

(他の任命権者)

第十九条 全庁窓口は、第七条及び第八条に規定する事務について、他の任命権者から委任された場合は、当該委任に基づき、当該他の任命権者が所管する事業に係る通報を処理する。

2 全庁窓口は、この要綱に規定する事務について、他の任命権者との連絡調整等を行う。

(その他)

第二十条 この要綱に定めるもののほか、この要綱を実施するために必要な事項は、総務局コンプライアンス推進部長が別に定める。

(平成一八年一七総人人第一一三二号)

この要綱は、平成十八年四月一日から施行する。

(平成二二年二一総人人第二〇五二号)

この要綱は、平成二十二年四月一日から施行する。

(平成二五年二四総人人第一五四七号)

この要綱は、平成二十五年四月一日から施行する。

(平成二八年二八総監第二〇八号)

1 この要綱は、平成二十八年十一月一日から施行する。

2 この要綱施行後、最初に委嘱される担当弁護士の任期については、第八条第三項の規定にかかわらず、平成二十九年三月三十一日までとする。

(平成二九年二八総監第三七六号)

この要綱は、平成二十九年四月一日から施行する。

(平成三〇年二九総ココ第五〇八号)

この要綱は、平成三十年四月一日から施行する。

(平成三一年三〇総ココ第六六一号)

この要綱は、平成三十一年四月一日から施行する。

(令和三年二総ココ第五六六号)

この要綱は、令和三年四月一日から施行する。

(令和四年三総ココ第五五二号)

この要綱は、令和四年四月一日から施行する。

(令和四年四総ココ第六八号)

この要綱は、令和四年六月一日から施行する。ただし、第一条及び第十三条の改正規定は、同年七月一日から施行する。

公益通報の処理に関する要綱

平成18年3月17日 総人人第1132号

(令和4年7月1日施行)

体系情報
第1編 規/第3章 行政組織/第3節 企画調整
沿革情報
平成18年3月17日 総人人第1132号
平成22年4月1日 総人人第2052号
平成25年3月28日 総人人第1547号
平成28年10月21日 総監第208号
平成29年4月1日 総監第376号
平成30年1月29日 総ココ第508号
平成31年3月29日 総ココ第661号
令和3年3月31日 総ココ第566号
令和4年3月18日 総ココ第552号
令和4年5月20日 総ココ第68号