○宅地造成及び特定盛土等規制法施行細則
令和六年三月二九日
規則第八一号
宅地造成及び特定盛土等規制法施行細則を公布する。
宅地造成及び特定盛土等規制法施行細則
東京都宅地造成等規制法施行細則(昭和三十七年東京都規則第百五十四号)の全部を改正する。
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 盛土規制法調書(第三条―第五条)
第三章 技術的基準(第六条―第十三条)
第四章 特定工程(第十四条・第十五条)
第五章 雑則(第十六条―第二十一条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この細則は、宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号。以下「法」という。)、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(昭和三十七年政令第十六号。以下「令」という。)、宅地造成及び特定盛土等規制法施行規則(昭和三十七年建設省令第三号。以下「規則」という。)及び宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例(令和六年東京都条例第三十六号。以下「条例」という。)の施行に関し必要な事項について定めるとともに、令第二十条第一項(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)の措置及び令第二十条第二項(令第三十条において準用する場合を含む。)の規定に基づく技術的基準の強化又は付加に関し必要な事項を定めるものとする。
(用語の定義)
第二条 この細則で使用する用語の意義は、法、令及び条例で使用する用語の例による。
第二章 盛土規制法調書
(盛土規制法調書)
第三条 知事は、法第十二条第一項又は法第三十条第一項の規定による許可をしたときは、当該許可に係る土地について、盛土規制法調書(以下「調書」という。)に登録するものとする。
2 条例第五条第二項の規則で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 工事が施行される土地の所在地
二 工事の許可年月日及び許可番号
三 工事の着手予定年月日及び完了予定年月日
四 盛土若しくは切土の高さ又は土石の堆積の最大堆積高さ
五 盛土若しくは切土をする又は土石の堆積を行う土地の面積
六 盛土若しくは切土の土量又は土石の堆積の最大堆積土量
七 公図の写し
八 規則第七条第一項第一号又は同条第二項第一号に掲げる図面(位置図を除く。)
3 知事は、法第十七条又は法第三十六条の規定による完了検査を行った場合において、当該工事が法第十三条第一項又は法第三十一条第一項に適合していると認めたときは、調書にその旨を付記しなければならない。
4 条例第五条第三項の規定に基づき、調書の写しの交付を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を、知事に提出するものとする。
一 申請者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)
二 調書に登録されている工事の許可番号
三 必要な写しの部数
四 その他知事が必要と認める事項
(調書の閲覧の方法)
第四条 調書の閲覧は、次のいずれかの方法により行うものとする。
一 インターネットを利用する方法
二 知事が別に定める日時及び場所における調書の閲覧
(調書の閉鎖)
第五条 知事は、第十八条の規定による工事の廃止の届出があった場合又は法第二十条第一項若しくは法第三十九条第一項の規定による許可の取消しを行った場合は、遅滞なく、調書を閉鎖するものとする。
第三章 技術的基準
一 盛土の高さが三メートルを超え、十メートル以下の場合 高さ三メートル以内ごとに幅一・五メートル以上の小段を設けること。
二 切土の高さが五メートルを超える場合 高さ五メートル以内ごとに幅一・五メートル以上の小段を設けること。
2 高さが十メートルを超える盛土をする場合においては、当該盛土をした後の地盤について、土質試験その他の調査又は試験に基づく地盤の安定計算を行うことによりその安定が保持されるものであることを確かめなければならない。
3 次の各号のいずれかに該当する盛土をする場合においては、土質試験その他の調査又は試験に基づく安定計算を行うことにより、地震力及びその盛土の自重による当該盛土の滑り出す力がその滑り面に対する最大摩擦抵抗力その他の抵抗力を下回ることを確かめなければならない。
一 盛土をする土地の面積が三千平方メートル以上であり、かつ、盛土をすることにより、当該盛土をする土地の地下水位が盛土をする前の地盤面の高さを超え、盛土の内部に侵入することが想定されるもの
二 盛土をする前の地盤面が水平面に対し二十度以上の角度をなし、かつ、盛土の高さが五メートル以上となるもの
三 盛土の高さが十メートルを超えるもの
(地盤の許容応力度)
第七条 令第九条第三項第二号(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)の地盤の許容応力度は、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第九十三条本文の方法の例により定めなければならない。
2 令第十条(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)の間知石練積み造その他の練積み造の擁壁の構造は、前項の規定により定めた地盤の許容応力度が、当該擁壁の基礎地盤に必要とされる許容応力度を上回ることを確かめたものでなければならない。
3 令第十七条(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)に規定する擁壁を設置するときは、第一項の規定により定めた地盤の許容応力度が、当該擁壁の基礎地盤に必要とされる許容応力度を上回ることを確かめなければならない。
第八条 法第十二条第一項又は法第三十条第一項の規定による許可の申請時における構造計算においては、前条の規定にかかわらず、建築基準法施行令第九十三条ただし書の規定による数値を用いることができる。
一 土圧、水圧、自重及び地震力による荷重(以下この条において「土圧等」という。)によって擁壁が破壊されないこと。
二 土圧等によって擁壁が転倒しないこと。
三 土圧等によって擁壁の基礎が滑らないこと。
四 土圧等によって擁壁が沈下しないこと。
2 前項の構造計算は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 土圧等によって擁壁の各部に生ずる応力度が、擁壁の材料である鋼材又はコンクリートの短期許容応力度を超えないことを確かめること。
二 土圧等によって擁壁の各部に生ずる応力度が、擁壁の材料である鋼材又はコンクリートの終局耐力を超えないことを確かめること。
三 土圧等による擁壁の転倒モーメントが擁壁の安定モーメント以下であることを確かめること。
四 土圧等による擁壁の基礎の滑り出す力が擁壁の基礎の地盤に対する最大摩擦抵抗力その他の抵抗力以下であることを確かめること。
五 土圧等によって擁壁の地盤に生ずる応力度が当該地盤の極限支持力度を超えないことを確かめること。
一 前項第一号の構造計算 設計水平震度〇・二〇以上
(任意に設置する擁壁の構造)
第十条 法第十二条第一項若しくは法第十六条第一項の許可(法第十五条又は法第三十四条の規定により当該許可を受けたものとみなされるものを含む。)に係る宅地造成に関する工事又は法第三十条第一項若しくは法第三十五条第一項の許可(法第三十四条又は法第三十五条第四項の規定により当該許可を受けたものとみなされるものを含む。)に係る特定盛土等に関する工事により設置する擁壁で高さ二メートル以下の崖面に設置するもの(令第八条第一項第一号(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)の規定により設置されるものを除く。)は、鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造若しくは間知石練積み造その他の練積み造又は令第十七条に規定する擁壁(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)としなければならない。ただし、災害の発生のおそれがないと認められるときは、この限りでない。
(特殊の材料又は構法による擁壁)
第十一条 第六条第三項各号に掲げる盛土又は高さが十メートルを超える切土について、令第十七条(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)に規定する擁壁を設置するときは、中規模地震動(設計水平震度が〇・二〇相当の地震動をいう。)及び大規模地震動(設計水平震度が〇・二五相当の地震動をいう。)に対応した擁壁としなければならない。
(土石の堆積に関する工事の技術的基準)
第十二条 令第十九条第二項(令第三十条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、令第十九条第二項に規定する主務省令で定める措置のうち、規則第三十四条第一項第二号の措置による場合には、適用しないものとする。
(擁壁等の設置の緩和)
第十三条 盛土又は切土をした土地の部分に生ずる崖面について、その崖の一部が河川、池、沼等の水面又は農地、採草放牧地、森林等に接する場合において、災害の防止上支障がないと認められるときは、令第八条(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)の規定による擁壁又は令第十四条(令第三十条第一項において準用する場合を含む。)の規定による崖面崩壊防止施設の設置に代えて、次に掲げるいずれかの工法により措置することができる。
一 石積み工
二 編柵工、筋工又は積苗工
三 前二号に掲げるもののほか、災害の防止上適当と認められる工法
第四章 特定工程
第五章 雑則
(宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の許可の申請等の添付書類)
第十六条 規則第七条第一項第十二号及び規則第六十三条第一項第二号の規則で定める書類は、次に掲げるものとする。
一 工事主に当該工事を行うために必要な資力及び信用があることを証する書類として知事が別に定めるもの
二 工事施行者に当該工事を完成するために必要な能力があることを証する書類として知事が別に定めるもの
三 排水施設の設計に係る書類
四 土地の求積図
五 擁壁の展開図
4 規則第五十八条第二項第二号の規則で定める書類は、第一項第四号に掲げるものとする。
(工事着手届)
第十七条 法第十二条第一項又は法第三十条第一項の規定による許可(法第十五条又は法第三十四条の規定により、当該許可を受けたものとみなされるものを含む。)を受けた者は、当該許可に係る工事に着手したときは、次に掲げる書類を添えて、速やかに工事着手届(別記第三号様式)を知事に提出するものとする。
一 法第四十九条の規定により工事主が掲げる標識の設置状況を明らかにする写真
二 防災計画平面図
三 工事の工程を示す書類
四 緊急時における連絡方法
2 前項の規定にかかわらず、法第十五条第二項又は法第三十四条第二項の規定により、前項の許可を受けたものとみなされる工事にあっては、都市計画法に規定する開発行為等の規制に係る施行細則(昭和四十五年東京都規則第百五十三号)第六条の工事着手届出書に前項各号に掲げる書類を添付して提出することにより、前項の工事着手届の提出に代えることができる。
(工事の廃止)
第十八条 法第十二条第一項又は法第三十条第一項の規定による許可(法第十五条第一項又は法第三十四条第一項の規定により、当該許可を受けたものとみなされるものを含む。)を受けた者は、当該許可に係る工事を廃止したときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出るものとする。
(定期の報告)
第十九条 法第十九条第一項及び法第三十八条第一項の規定による報告は、定期報告書(別記第四号様式)により行うものとする。
(身分証明書の様式)
第二十条 法第七条第一項(法第二十四条第二項及び法第四十三条第二項において準用する場合を含む。)の証明書の様式は、別記第五号様式による。
(監督処分の公表)
第二十一条 条例第六条の規定による公表は、インターネットの利用その他の広く都民に周知する方法により行うものとする。
2 条例第六条の規則で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 監督処分に係る宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積の場所
二 監督処分の原因となった行為の内容
三 前二号に掲げるもののほか、知事が必要と認める事項
附則
1 この規則は、条例の施行の日から施行する。
(施行の日=令和六年七月三一日)
2 宅地造成等規制法の一部を改正する法律(令和四年法律第五十五号。以下「改正法」という。)附則第二条第二項の規定によりなお従前の例によるとされる改正法による改正前の宅地造成等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)第八条第一項本文の許可(経過措置期間(改正法附則第二条第一項に規定する経過措置期間をいう。以下同じ。)の経過前にされた都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十九条第一項又は第二項の許可を含む。)を受けた者に係る当該許可に係る宅地造成に関する工事の規制については、経過措置期間の経過後においても、なお従前の例による。
別記