○東京都震災復興本部の設置に関する条例及び同施行規則の施行について

平成10年12月17日

10政政策第160号

各局(本部)長、中央卸売市場長、消防総監

東京都震災復興本部の設置に関する条例及び同施行規則の施行について(依命通達)

東京都震災復興本部の設置に関する条例(平成10年東京都条例第77号。以下「条例」という。)は、平成10年6月24日に公布し、同年12月17日から施行した。また、これに伴い、東京都震災復興本部の設置に関する条例施行規則(平成10年東京都規則第265号。以下「規則」という。)を平成10年12月17日に公布し、同日から施行したところである。

この条例は、東京が震災により重大な被害を受けた場合において、都市の復興並びに都民生活の再建及び安定に関する事業(以下「震災復興事業」という。)を速やかに、かつ、計画的に実施するため、知事を本部長とする東京都震災復興本部(以下「本部」という。)を設置することとし、本部の組織等に関する大綱を定めたものである。

また、この規則は、条例の規定に基づき、副本部長の範囲及び代理順序、復興本部会議、本部員の範囲及び職責、本部に置く局の名称及び組織、復興総局の組織等に関する事項を定めたものである。

都の震災復興体制については、東京都震災復興マニュアル及び東京都地域防災計画震災編において、あらかじめ準備を整えておくものとしており、この条例及び規則は、大震災が発生した場合に遅滞なく復興初動体制に入れるように制定したものである。

ついては、下記事項に留意するとともに、十分所属職員に周知せしめ、条例及び規則の施行に当たって適切に対応されたい。

この旨命によって通達する。

第一 本部の設置に関する事項(条例第1条)

1 知事は、地震により被害を受けた地域が東京都の地域内で相当の範囲に及び、かつ、震災からの復興に相当の期間を要すると考えられるような重大な被害を受けた場合に本部を設置するものであること。

2 本部は、被災後1週間程度の早い時期に設置するものとし、震災復興基本方針及び震災復興計画を早期に策定することにより、震災復興後の都市ビジョン、都民生活ビジョン、震災復興計画の到達目標、事業指針等を都民に明確に示すとともに、具体的な震災復興事業を推進していくものであること。

3 本部は、震災復興事業を長期的視点に立って速やかに、かつ、計画的に実施していくための組織体制であり、災害応急・復旧対策を臨時的、機動的に実施するために災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第23条第1項に基づき設置する災害対策本部とは、その目的と機能を異にするものであること。しかしながら、震災復興に関連する一連の活動は、被災後間もない応急対策の段階から質的な変化を伴いつつ、連続的に、徐々に進行していくものであるため、災害対策本部が所掌する応急的な事務事業で、震災復興にも関係し、それに大きな影響を与えるものについては、両本部が緊密に連携、連絡しながら処理することとなること。

第二 本部の構成に関する事項(条例第2条)

1 本部は、都の執行機関が全体としての整合性を持って計画的に震災復興事業を実施していくため、地方公共団体としての東京都を代表する東京都知事を本部長とし、その下に副本部長及び本部員を置くものであること。

2 副本部長は、副知事を充てるものとし、本部長を補佐し、本部長に事故があるときは、規則に定める順序により本部長の職務を代理するものであること。(規則第2条)

3 本部員には、震災復興事業を実施する上で直接的な業務上の関連を有する都の執行機関の職員のうちから、本部長が指名するものを充てるものであること。

本庁の局長、子供政策連携室長、住宅政策本部長、病院経営本部長、中央卸売市場長、公営企業管理者、消防総監、教育長及び危機管理監については、震災がいつ、どのような地域で発生するかにかかわらず、本部の設置が必要となるような状況下において震災復興のための計画策定や施策の企画立案、調整、推進等のために重要な役割を有することとなることから、規則においてあらかじめ本部員とすることを規定しておくものであること。(規則第3条第1項)

また、これらの者のほか、震災の状況に応じ、外務長等、本部長が必要と認める者を本部員として指名することができるものであること。(規則第3条第2項)

なお、規則第3条第2項の規定により、警視庁等行政委員会の管理に属する組織の職員を本部員として指名する場合は、当該組織の長又はその長の指定する者を指名することとなること。

第三 本部長と行政委員会との関係に関する事項

本部は、震災発生直後の特殊、異常な状況に対して都の全組織を挙げて対応する災害対策本部とは異なり、すべての行政委員会から本部員としての参加を求めるものではないこと。

東京都災害対策本部における本部長には、災害対策基本法第23条第6項の規定に基づき、警視庁及び東京都教育委員会に対し、災害予防又は災害応急対策を実施するために必要な指示を行う権限が与えられているが、本部における本部長の行政委員会に対する権限は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の3その他の規定に基づく範囲を超えるものではないこと。

第四 復興本部会議に関する事項(規則第4条)

震災復興に係る重要事項を審議するため、本部長、副本部長及び本部員で構成する復興本部会議(以下「本部会議」という。)を本部に設置するものであること。本部会議は、震災復興基本方針、震災復興計画等について審議するとともに、震災復興に係る事務事業の進行管理、調整等の結果の報告を受けるものであること。

第五 本部員の職責に関する事項(規則第5条)

1 本部員の職責は、本部長の命を受け、又は本部会議の決定に従い、震災復興に係る事務事業を企画立案し、実施すること、担任事務事業の執行状況を本部長又は本部会議に報告すること及び本部長の特命に関することであること。

2 本部員は、原則的に知事部局その他の執行機関の組織の責任者が指名されるものであり、これらの組織における職務権限に基づき、その組織の所属職員を指揮監督しながら上記に掲げる本部員の職責を果たすものであること。なお、条例第3条第2項の規定により本部に置く局(以下「本部の局」という。)の長として指名された本部員(以下「局長」という。)は、同時に本部の局の職員を指揮監督するものであること。

第六 局に関する事項(条例第3条)

1 大震災後の復興活動は、行政のあらゆる分野に及ぶだけでなく、その多くが長期間にわたるものであり、相当程度、通常の行政組織により実施され得るものと考えられる。しかしながら、震災復興に係る事務事業を企画立案し、それを実施していくに当たっては、平常時の行政組織体制を単に延長していくのではなく、状況の変化に応じて、それに対応するための組織体制を柔軟かつ機動的に編成し、改変していく必要がある。そのため、条例で、東京都組織条例(昭和35年東京都条例第66号)及び東京都組織規程(昭和27年東京都規則第164号。以下「組織規程」という。)その他の規程に基づく組織自体にはできるだけ影響を及ぼさずに効率的に震災復興事業を推進していく体制として、規則で定めるところにより、本部の局を設けることができるものとしたこと。

2 規則において、本部の局は、組織規程上の局等に対応し、それに上乗せする臨時的な組織とし、その名称及び分掌事務をあらかじめ規則別表に定めたものであること。(規則第6条第1項)

公営企業及び行政委員会において震災復興に関する特別な組織を設けるかどうかは、各公営企業管理者及び各行政委員会の権限に属するものであり、この規則で定めるものではないこと。

3 局長は、本部の局に対応する組織規程上の局等の長である本部員をもって充てるものであること。(規則第6条第2項)

本部の局は、本部の組織であることから、本部の局の職員は、本部の職員と位置付けるものとし、本部の局に対応する組織規程上の局等の職員のうちから局長が指名するものであること。(規則第6条第7項)

4 本部の局の分課及びその分掌事務については、規則第6条第3項の規定に基づき東京都震災復興本部の組織に関する要綱(平成15年4月1日14総災防第704号)に定めるものであるが、本部の局は、組織規程上の局等が震災復興に係る事務事業を実施するに当たり、その企画調整等を行う役割を担うものであり、同要綱の規定は、組織規程上の局等の組織及び分掌事務に変更を加えるものではないこと。また、東京都事案決定規程(昭和47年東京都訓令甲第10号)その他の規程で明確化されている、事務執行における権限と責任の所在に変更を加えるものでもないこと。(規則第6条第3項)

5 本部の局における分課の部長、担当部長、課長、担当課長、課長代理等の職及びその職責については、組織規程その他の規程の例によるものとするが、担当部長及び担当課長については、状況に応じて柔軟に置くことができるものとしたこと。(規則第6条第4項から第6項まで)

6 組織規程上の局等の出先事業所は、原則的に、本部の局の内部組織には含まれないが、本部員である組織規程上の局等の長の指揮監督の下で必要に応じ具体的な震災復興に係る事務事業を実施していくものであること。

なお、震災発生の地域や状況をあらかじめ特定することはできないが、各本庁行政機関及び地方行政機関においては、震災復興において果たすべき役割について十分に検討しておくべきものであること。

第七 復興総局に関する事項(条例第4条)

1 震災復興対策は応急・復旧対策に比べ関係者の利害や意見の調整に相当の時間と労力を要することが予想され、本部における意思決定や調整はできるだけ円滑に行われる必要がある。特に震災発生後、少なくとも震災復興対策の基本的枠組みが固まり震災復興活動が円滑に動き始めるまでの間は、危機管理的な視点に立ち、迅速、的確な総合調整を行えるよう組織面での対応を図る必要があることから、本部長は、震災復興事業に係る事業計画、財政計画、人事計画等を総合的に調整するため必要があると認めるときは、本部に復興総局を置くことができることとしたものであること。

その場合、復興総局の局長には、副本部長のうちから本部長が指名する者をもって充てるものとしていること。

2 震災復興に係る総合的な事業計画については本部の局である政策企画局が、人事・組織計画については総務局が、都市復興計画については都市整備局が、予算・財政計画については財務局がそれぞれ所管するものであるが、復興総局を設置した場合には、復興総局がこれら個別の施策調整・立案部門を更に横断的に総合調整することとなること。

さらに、復興総局は、用地の利用調整など震災復興事業の推進に当たって必要となる重要事項についての全庁的な調整を行うとともに、震災復興事業に関する重要な方針及び計画に関して、国、区市町村その他の地方公共団体等との連絡調整を行うものであること。

3 復興総局は、個別計画等の策定等自体を直接行うものではなく、これらを総合的に調整するためのスタッフ機能に純化するものとして、その組織及び分掌事務を規則で定めたものであること。(規則第7条第1項)

4 復興総局の局長は、震災復興事業に関する重要な計画等を総合的に調整するという職務を有するものであるため、その範囲内で各局の事務を総括するものとしたこと。(規則第7条第3項)

5 復興総局の職員は、本部の職員であり、組織規程上の局等の職員のうちから本部長が指名するものであること。この場合、指名された職員の身分は、組織規程上の局等に所属するとともに、それに対応する本部の局の職員でもあることが予想されることから、この場合には、復興総局の職員は、本部員である局長の指揮監督下にあるとともに、復興総局の局長の指揮監督下にも入るという兼務の形態となるものであること。

東京都震災復興本部の設置に関する条例及び同施行規則の施行について

平成10年12月17日 政政策第160号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第1編 規/第3章 行政組織/第4節 災害対策
沿革情報
平成10年12月17日 政政策第160号
平成15年4月1日 総災防第703号
平成16年4月1日 総防管第1907号
平成17年11月10日 総防管第1130号
平成19年4月1日 総防管第1714号
平成22年7月16日 総防管第387号
平成26年7月16日 総防管第794号
平成30年3月30日 総防管第2311号
平成31年3月29日 総防管第2196号
令和3年3月31日 総防管第3523号
令和4年3月31日 総防管第4012号