○東京消防庁救急業務等に関する規程

平成25年8月28日

消防庁訓令第30号

庁中一般

消防署

東京消防庁救急業務等に関する規程(平成4年6月東京消防庁訓令第21号)の全部を次のように改正する。

東京消防庁救急業務等に関する規程

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 救急業務等の管理

第1節 管理責任(第3条・第4条)

第2節 隊の構成(第5条~第7条)

第3節 任務(第8条・第9条)

第4節 救急体制整備計画等(第10条~第13条)

第5節 救急資器材の管理(第14条~第16条)

第6節 救急に関する広報(第17条)

第3章 救急技能の管理等

第1節 救急技能の管理等(第18条~第22条)

第2節 訓練(第23条~第27条)

第3節 救急研究会等(第28条・第29条)

第4章 救急活動等

第1節 救急活動の基本(第30条・第31条)

第2節 救急活動の実施(第32条~第49条)

第3節 感染防止(第50条・第51条)

第4節 特異な救急事案の報告(第52条)

第5節 行動監査及び評価(第53条・第54条)

第6節 証人出頭等の報告(第55条)

第5章 救急活動記録(第56条・第57条)

第6章 救急調査等及び救急自動車同乗研修

第1節 救急調査等(第58条・第59条)

第2節 救急自動車同乗研修(第60条)

第7章 普及業務等

第1節 普及業務(第61条~第68条)

第2節 応急手当奨励制度(第69条)

第3節 患者等搬送事業者に対する指導等(第70条)

第4節 現場派遣員講習の実施(第71条)

第8章 救急業務等管理委員会(第72条~第77条)

第9章 雑則(第78条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は,消防法(昭和23年法律第186号),消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「政令」という。)救急業務等に関する条例(昭和48年東京都条例第56号。以下「条例」という。)に基づく救急業務及びこれに関連する業務並びに救急救命士法(平成3年法律第36号。以下「救急救命士法」という。)に基づく救急救命士の業務の効率的運営を図るために必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この規程において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 救急業務 条例第2条第1項に定める業務をいう。

(2) 救急業務等 救急業務及び条例第2条第2項に定める業務をいう。

(3) 普及業務 救急業務等のうち条例第2条第2項第3号に定める業務をいう。

(4) 救急事故 救急業務の対象となる事故,疾病その他の救急事象をいう。

(5) 救急現場 救急業務の対象となる傷病者のある場所をいう。

(6) 救急活動 救急業務を行うための行動又は医療用資器材等を搬送する行動で,救急隊の出場から帰署(所)までの一連の行動をいう。

(7) 医療機関 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5に定める病院及び診療所をいう。

(8) 関係機関 都福祉保健局,医療機関,警察機関,福祉事務所,保健所,都医師会,地区医師会,救急業務連絡協議会その他救急業務等に関係のある機関及び団体をいう。

(9) 救急資器材 救急業務等及び訓練を行うために必要な資器材をいう。

(10) 応急手当指導員 東京消防庁が行う普及業務に関する講習の指導に従事するための認定証の交付を受けた者をいう。

(11) 応急手当普及員 主として事業所,防災組織及び地域において当該事業所等の者に対する普通救命講習の指導に従事するための認定証の交付を受けた者をいう。

(12) 救急隊員 救急機動部隊長,救急隊長,救急員又は救急機関員をいう。

(13) 救急隊員等 救急隊員を含む東京消防庁職員の技術認定等に関する規程(平成13年3月東京消防庁訓令第15号。以下「技術認定規程」という。)第11条第1項第7号に規定する救急技術の技術認定を受けた者(以下「救急技術認定者」という。)及び応急手当指導員のうち職員である者をいう。

(14) 救急救命士 救急救命士法第2条第2項に定める者で,技術認定規程第11条第1項第6号に規定する救急救命士技術の技術認定を受けたものをいう。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

第2章 救急業務等の管理

第1節 管理責任

(救急業務等の管理責任)

第3条 救急部長(以下「部長」という。)は,東京消防庁管下の救急事情の実態を把握して,これに対応する救急業務等の執行体制の確立を図るとともに,消防方面本部長(以下「方面本部長」という。)以下を指導し,及び監督して,救急業務等の運営の万全を期するものとする。

2 方面本部長は,消防署長(以下「署長」という。)以下を指導し,及び監督して,救急業務等の執行体制の確立を図り,その万全を期するものとする。

3 署長,救急指導課長,航空隊長及び消防救助機動部隊が配置されている所属長としての方面本部長(以下「署長等」という。)は,所属職員を指揮し,及び監督して,救急業務等の執行体制の確立を図り,その万全を期するものとする。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

(関係機関との連携)

第4条 部長,方面本部長及び署長は,関係機関と密接な連携を図り,救急業務等の効率的な運営に努めるものとする。

第2節 隊の構成

(救急隊の構成)

第5条 救急自動車をもって編成する救急隊は,救急隊長,救急員及び救急機関員で構成するものとする。ただし,救急機動部隊は,救急機動部隊長,救急隊長,救急員及び救急機関員で構成することができる。

2 救急自動車をもって編成する救急隊が,転院搬送(現に医療機関にある傷病者を当該医療機関の医師が医療上の理由により,医師の病状管理の下に緊急に他の医療機関等に移送することをいう。以下同じ。)する場合で,消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第50条に規定する要件を満たすときは,救急隊長及び救急機関員で構成することができる。

3 回転翼航空機(以下「航空機」という。)をもって編成する救急隊は,救急隊長及び救急員で構成するものとする。

4 救急隊を構成する救急隊長及び救急員のうち,いずれか1人は救急救命士としなければならない。ただし,第2項に該当する場合は,この限りでない。

(平28消防庁訓令52・平29消防庁訓令5・一部改正)

(救急機動部隊総括隊長及び救急機動部隊長の任命)

第5条の2 部長は,救急指導課内の救急技術認定者で消防司令の階級にある者を救急機動部隊総括隊長に任命するものとする。

2 部長は,救急指導課内の救急技術認定者で消防司令の階級にある者を救急機動部隊長に任命するものとする。

(平28消防庁訓令52・追加)

(救急隊員の任命)

第6条 署長等は,次の各号の区分に応じ,当該各号に掲げる者を救急隊員に任命するものとする。

(1) 救急隊長 救急技術認定者で消防司令補又は消防士長の階級にあるもの

(2) 救急員 救急技術認定者で消防士長以下の階級にあるもの

(3) 救急機関員 救急技術認定者で技術認定規程第11条第1項第12号に規定する普通機関技術の認定を受けた消防士長以下の階級にあるもの

(特定隊の指定)

第7条 部長は,特殊な車両装備及び救急資器材を効果的に活用するため,特定の任務を付与した救急隊を指定するものとする。

第3節 任務

(救急機動部隊総括隊長の任務)

第8条 救急機動部隊総括隊長は,救急機動部隊を総括し,効果的な救急活動を推進するとともに,救急隊員に対する救急技術の指導(以下「技術指導」という。)について総括するものとする。

(平28消防庁訓令52・追加)

(救急機動部隊長の任務)

第8条の2 救急機動部隊長は,救急現場の状況を的確に把握し,及び救急機動部隊員を指揮して適正な救急活動に当たるとともに,技術指導を行うものとする。

(平28消防庁訓令52・追加)

(救急隊長の任務)

第8条の3 救急隊長は,救急現場の状況を的確に把握するとともに,救急員及び救急機関員を指揮して第4章に定めるところにより,適正な救急活動に当たるものとする。

(平28消防庁訓令52・旧第8条繰下)

(救急員及び救急機関員の任務)

第9条 救急員及び救急機関員は,救急隊長を補佐し,効果的な救急活動を行うものとする。

第4節 救急体制整備計画等

(救急体制整備計画)

第10条 部長は,救急業務の執行体制の整備に必要な計画を樹立するものとする。

(救急情報の収集及び管理)

第11条 部長,方面本部長,署長及び航空隊長は,救急業務等に必要な情報及び救急事故の予防対策に必要な情報(以下「救急情報」という。)を収集し,救急業務等に反映させるとともに,救急情報の適正な管理に努めるものとする。

2 救急情報のうち,特に重要と認められるものについては,その都度,方面本部長及び航空隊長にあっては部長に,署長にあっては部長及び方面本部長に報告するものとする。

(消防署における医療機関情報の案内)

第12条 署長は,都民の自己による通院率の向上を図るため,都民の求めに応じ医療機関情報を案内する業務を行うものとする。

2 署長は,区市町村,地区医師会と連携し,地域における医療機関情報の把握に努めるものとする。

(救急業務等対策資料)

第13条 部長,方面本部長,署長及び航空隊長は,救急業務等の執行に必要な資料(以下「救急業務等対策資料」という。)を整備するものとする。

2 方面本部長,署長及び航空隊長は,救急業務等対策資料を作成し,又は修正したときは,方面本部長及び航空隊長にあっては部長に,署長にあっては部長及び方面本部長に報告するものとする。

第5節 救急資器材の管理

(救急資器材の管理等)

第14条 部長は,次により救急資器材の管理に努めるものとする。

(1) 整備及び改善を行うこと。

(2) 使用実態を把握し,効果的な活用方策を講じること。

(3) 需要状況を把握し,適正に配置すること。

2 方面本部長,署長,救急指導課長及び航空隊長は,配置された救急資器材を効果的に活用するとともに,点検及び整備を行い,適正に管理するものとする。

3 方面本部長,署長,救急指導課長及び航空隊長は,救急資器材の亡失事故又は損傷事故が発生した場合は,部長に報告するものとする。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

(救急資器材管理者の指定)

第15条 方面本部長,署長,救急指導課長及び航空隊長は,救急資器材の保管及び管理体制の万全を期するため,消防司令の階級にある者のうちから救急資器材管理者を1名指定するものとする。

2 救急資器材管理者は,救急資器材を適正に管理するため,救急資器材の点検の執行計画を作成するとともに,救急隊員等に対する指導を行うものとする。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

(救急資器材の特別検査)

第16条 部長は,特殊な救急資器材について定期的に特別検査を行い,安全性及び機能の維持に努めるものとする。

第6節 救急に関する広報

(救急に関する広報)

第17条 部長,方面本部長及び署長は,救急業務等の効果的な推進を図るため救急に関する広報を行うものとする。

第3章 救急技能の管理等

第1節 救急技能の管理等

(救急技能の管理)

第18条 部長は,救急隊員等の救急活動に関する知識及び技術(以下「救急技能」という。)の維持・向上を図るため,救急技術の改善及び救急隊員等の救急技能の管理を行うものとする。

2 方面本部長,署長及び航空隊長は,救急隊員等の救急技能の維持・向上を図るため,救急技能の管理を行うものとする。

3 部長,方面本部長,署長及び航空隊長は,救急技能の適正な管理を期するため,救急技術認定者に現況,事後検証の経過その他部長が定めるものを記録させるものとする。

(補充教養)

第19条 署長,航空隊長及び消防救助機動部隊が配置されている所属長としての方面本部長は,新たに救急技術を認定された者,新たに救急隊長に任命された者,救急技術の認定を受けた者のうち長期間救急活動に従事していない者及び救急救命士法第34条第4号の受験資格以外で救急救命士免許を取得した者に対し,救急技能の補充を図るための教養(以下「補充教養」という。)を実施するものとする。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

(技術支援)

第20条 救急業務等の執行に当たり必要と認める場合は,署長にあっては方面本部長に,方面本部長及び航空隊長にあっては部長に対して技術支援を要請するものとする。

2 部長及び方面本部長は,前項の要請があった場合又は救急業務等の執行上必要と認める場合は,技術支援を行うものとする。

(統括救急技術指導員の指定)

第21条 署長は,消防司令の階級にある者のうちから,統括救急技術指導員(救急技能に関し,必要な指導を行う者をいう。)を1名指定し,救急隊員等の救急技能の維持・向上を図らせるものとする。この場合において,統括救急技術指導員は,努めて救急実務経験を有する者を充てるものとする。

(救急技能の審査)

第22条 署長等は,救急隊員等の救急技能の確認のため,救急技能を審査するものとする。

2 部長及び方面本部長は,救急技能の確認のため必要な場合は,救急隊員等の救急技能を審査するものとする。

第2節 訓練

(訓練指針)

第23条 部長は,救急隊員等の技能の向上を図るため,年度ごとに訓練の指針(以下「訓練指針」という。)を示すものとする。

(訓練計画の樹立)

第24条 方面本部長,署長及び航空隊長は,前条の訓練指針に基づき訓練計画を樹立するものとする。

2 方面本部長,署長及び航空隊長は,訓練計画を樹立したときは,方面本部長及び航空隊長にあっては部長に,署長にあっては方面本部長に報告するものとする。

(訓練の実施)

第25条 署長等は,救急隊員等に対して,救急活動に必要な訓練を計画的に実施するものとする。

2 部長及び方面本部長は,救急技能の統一及び維持・向上を図るために必要と認める場合は,部長にあっては方面本部長,救急指導課長及び航空隊長に,方面本部長にあっては署長に訓練を行わせることができる。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

(訓練の区分)

第26条 訓練は,次の各号の区分に従い,当該各号に掲げる事項を目的として行うものとする。

(1) 基本訓練 救急隊員として救急活動に必要な基本的知識及び技術の修得

(2) 総合訓練 救急隊として救急活動全般に対応できる活動能力の向上

(3) 普及技能訓練 普及業務に必要な指導能力の養成

(訓練の効果確認)

第27条 方面本部長及び署長は,年1回以上,訓練の効果の確認(以下「効果確認」という。)を行うものとする。

2 方面本部長及び署長は,効果確認を実施したときは,方面本部長にあっては部長に,署長にあっては方面本部長に報告するものとする。

3 部長は,救急隊員等の救急技能の向上のために必要な場合は,効果確認を行うものとする。

第3節 救急研究会等

(救急研究会)

第28条 部長,方面本部長及び署長は,救急行政施策の推進及び救急業務等に関する技能の向上に資するため,救急研究会を開催するものとする。

2 方面本部長及び署長は,救急研究会を実施したときは,方面本部長にあっては部長に,署長にあっては方面本部長に報告するものとする。

(救急活動検討会)

第29条 部長,方面本部長及び署長は,救急活動の施策に資するため,救急活動に関する検討会(以下「救急活動検討会」という。)を実施するものとする。

2 方面本部長及び署長は,救急活動検討会を実施したときは,方面本部長にあっては部長に,署長にあっては方面本部長に報告するものとする。

第4章 救急活動等

第1節 救急活動の基本

(救急活動の原則)

第30条 救急活動は,救命を主眼とし,傷病者の観察及び必要な救急処置を行い,速やかに適応する医療機関に搬送することを原則とする。

(救急活動基準)

第31条 部長は,救急活動及びポンプ隊等の救急救護活動(以下「救急活動等」という。)を円滑かつ効果的に実施するため,救急隊員等が救急活動等を統一的に行うための基準(以下「救急活動基準」という。)を定めるものとする。

第2節 救急活動の実施

(観察)

第32条 救急隊員等は,救急処置を適正に行うため,救急現場に到着後速やかに傷病者を観察し,周囲の状況,救急事故の形態及び傷病者の状態を把握するものとする。

(救急処置の実施)

第33条 救急隊員等は,傷病者に対し応急の処置を実施しなければ,当該傷病者の生命に危険があり,又はその症状が悪化するおそれがあると認められる場合に,救急処置を実施するものとする。

2 救急処置は,傷病者を医療機関の医師に引き継ぐまでの間,又は医師が救急現場に到着するまでの間に行うものとする。

(医師の指示)

第34条 救急救命士の救急隊員は,救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第44号)第21条で定める処置(以下「特定行為」という。)を行う場合は,救急隊指導医(東京消防庁災害救急情報センターに勤務する救急隊指導医の設置に関する規程(昭和63年3月東京消防庁訓令第4号)第2条に定める救急隊指導医をいう。以下同じ。)又は現場にある医師から具体的な指示を受けなければならない。

(救急隊指導医への助言要請)

第35条 救急隊長は,救急活動に当たって必要と認めるときは,救急隊指導医の助言を求めるものとする。

(医師の協力要請)

第36条 救急隊長は,次の各号に掲げる場合は,医師の救急現場への協力の要請を行うものとする。

(1) 傷病者の状態から搬送することが生命に危険であると認められる場合

(2) 傷病者の状態から搬送可否の判断が困難な場合

(3) 傷病者の救助に当たり医療を必要とする場合

2 警防本部が必要と認める場合は,前項の協力の要請を警防本部が行うものとする。

(医師等の同乗要請)

第37条 救急隊長は,次の各号に掲げる場合は,救急自動車,航空機,船舶及び消防用自動車への医師の同乗を要請するものとする。ただし,医師が同乗の要請に応じられない場合は,当該医師の指示を受けた看護師又は助産師の同乗を要請するものとする。

(1) 傷病者の搬送途上で,容態の急変により一時的な医療処置を受けるために立ち寄った医療機関の医師が,目的医療機関まで医療を継続する必要を認めた場合

(2) 救急現場にある医師が,医師の管理のもとに医療機関に搬送する必要を認めた場合

(3) 前2号以外で救急隊長が,傷病者の状態から医師の同乗が必要であると認める場合

2 警防本部が必要と認める場合は,前項の同乗の要請を警防本部が行うものとする。

(救急現場付近にある者への協力要請)

第38条 救急隊長は,救急現場において,救急活動上緊急の必要があると認めるときは,付近にある者に対し,協力を求めるものとする。

2 救急隊長は、別に定めるところにより、前項の求めにより協力をした者の氏名、その者が行った応急手当その他の事項について必要な情報を記録し、その者に対して必要な対応を行うものとする。

3 救急隊長からの協力の求めによらず協力をした者についても、前項と同様とする。

(平29消防庁訓令5・一部改正)

(医療機関の選定)

第39条 救急隊長は,傷病者の搬送に当たっては,傷病者の症状に適応した医療を速やかに施し得る最も近い医療機関を選定するものとする。ただし,特定の医療機関へ搬送を依頼された場合において,傷病者の症状が著しく悪化するおそれがなく,かつ,救急業務上の支障がないときは,可能な範囲において依頼された医療機関に搬送することができる。

(傷病者の搬送)

第40条 救急隊長は,傷病者の状態から搬送が可能であると判断した場合は,当該傷病者を医療機関に搬送するものとする。ただし,傷病者又はその保護者(以下「傷病者等」という。)が搬送を辞退した場合は,この限りでない。

2 傷病者が複数いる場合は,緊急度及び重症度を判断し搬送の優先順位を決定するものとする。

(傷病者の搬送制限)

第41条 救急隊長は,前条第1項の規定にかかわらず,傷病者が次の各号の一に該当する場合は,当該傷病者を搬送しないものとする。

(1) 明らかに死亡している場合

(2) 医師が死亡していると判断した場合

(3) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に定める一類感染症,二類感染症,指定感染症,新感染症又は新型インフルエンザ等感染症の場合及び同法第8条,第21条又は第26条に該当する場合

(不搬送時の同意署名)

第42条 救急隊長は,第40条第1項ただし書の規定により傷病者を搬送しない場合,努めて傷病者等の同意署名を求めるものとする。ただし,傷病者等が次の各号の一に該当する場合は,この限りでない。

(1) 未成年者

(2) 意識が清明でない者又は精神上の障害,認知症等により事理を弁識することが困難であると思われる者

(3) 傷病者を保護することが妥当でないと思われる保護者

(転院搬送)

第43条 転院搬送の要件は,当該医療機関の医師からの要請があり,かつ,搬送先医療機関が確保されている場合とする。

2 救急隊長は,前項の転院搬送を行う場合は,当該医療機関の医師を同乗させるものとする。ただし,医師が同乗による病状管理の必要がないと認め,かつ,搬送途上における相当な措置を講じた場合は,この限りでない。

(関係者の同乗)

第44条 救急隊長は,傷病者の搬送に当たっては,必要により救急現場にある関係者の同乗を求めるものとする。

(家族等への連絡)

第45条 救急隊長は,傷病者の状況により必要があると認めるときは,家族その他関係者に対し,搬送先の医療機関名その他必要な事項を連絡するよう努めるものとする。

(医療機関への引継ぎ)

第46条 傷病者の医療機関への引継ぎは,別に定めるところにより救急隊長が医師に対して行うものとする。ただし,特定行為を実施した場合は,救急救命士の救急隊員が行うものとする。

2 署長等は,医療機関に引き継いだ傷病者が,医療費の支払能力がない者であることを確認したときは,その旨を福祉事務所及び当該医療機関に通知するものとする。

(関係機関との連携)

第47条 救急隊長は,必要により関係機関と連携して救急活動を行うものとする。

(医療用資器材等の搬送)

第48条 医療機関その他関係機関から緊急に搬送する手段がないため,医療用資器材その他医療の用に供するものの搬送の要請があったときは,警防本部が必要と認める場合に限り搬送するものとする。

(船舶等による傷病者搬送)

第49条 船舶及び消防用自動車(以下「船舶等」という。)をもって行う傷病者の搬送は,傷病者の救護に必要な救急資器材を携行した救急技術認定者又は医師を同乗させるものとする。

2 船舶等に同乗する救急技術認定者は,第30条に準じて活動するものとする。

第3節 感染防止

(感染防止対策)

第50条 部長及び署長等は,救急隊員等が救急業務等の実施に際し,感染症に感染しないための対策を講じるものとする。

(救急廃棄物)

第51条 部長及び署長等は,救急業務等により汚損した廃棄物の処理について必要な管理体制を整備するものとする。

第4節 特異な救急事案の報告

(特異な救急事案の報告)

第52条 署長等は,自己所属の救急隊が特異な救急事案を取り扱った場合は,方面本部長,救急指導課長及び航空隊長にあっては部長に,署長にあっては部長及び方面本部長に救急活動の概要を速報するとともに,10日以内に別に定めるところにより報告を行うものとする。

2 署長は,前項の救急事案が管轄区域外のものである場合は,当該事案の現場を管轄する署長に救急活動の概要を速報するものとする。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

第5節 行動監査及び評価

(行動監査)

第53条 部長及び方面本部長は,救急施策に反映させるために必要があると認める場合は,救急活動について監査を行うものとする。

2 部長及び方面本部長は,前項の監査を別に指定する者に行わせることができる。

(救急業績評価等)

第54条 部長,方面本部長,署長,救急指導課長及び航空隊長は,救急活動等に功労があると認められるときは,救急業績評価を実施するものとする。

2 方面本部長,署長,救急指導課長及び航空隊長は,救急業績評価を実施した救急活動等が上位の評価に付すべきであると認める場合は,その結果を署長にあっては方面本部長に,方面本部長,救急指導課長及び航空隊長にあっては部長に報告するものとする。

3 部長及び所属長は,救急業務等に関する研究(以下「救急研究」という。)に功労があると認めるときは,これを評価するものとする。

4 所属長は,救急研究に係る評価を実施した救急研究が上位の評価に付すべきであると認める場合は,その結果を署長にあっては方面本部長に,方面本部長その他署長以外の所属長にあっては部長に報告するものとする。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

第6節 証人出頭等の報告

(証人出頭等の報告)

第55条 署長等は,救急業務に関して司法機関,捜査機関その他関係機関から職員の出頭,供述又は資料の提出を求められたときは,速やかに救急指導課と協議するものとする。

2 署長等は,前項の求めに応じたときは,その結果を部長に報告するものとする。

第5章 救急活動記録

(救急活動に関する記録)

第56条 救急隊は,出場の都度,救急活動に関する記録(以下「救急活動記録」という。)を東京消防庁情報通信規程事務処理要綱(平成21年3月17日20総情第1421号総務部長依命通達)別表第2に定める救急活動記録システム(以下「救急活動記録システム」という。)により作成するとともに,救急活動に関する書類のうち部長が定めるものを保存するものとする。

2 署長等は,所管する救急隊が作成した救急活動記録システムの電子情報について,情報の真正性の確保に努めるものとする。

(救急活動記録の活用)

第57条 方面本部長,署長,救急指導課長及び航空隊長は,救急活動記録を管内の救急活動状況の把握及び事後検証に活用し,救急行政の推進に努めるものとする。

(平28消防庁訓令52・一部改正)

第6章 救急調査等及び救急自動車同乗研修

第1節 救急調査等

(救急調査)

第58条 署長等は,救急隊員に医療機関の所在その他救急業務を円滑に行うために必要な事項の調査(以下「救急調査」という。)を実施させるものとする。

(救急医療機関申出等に関する調査)

第59条 署長は,救急病院等の申出に関する規則(昭和39年東京都規則第288号)に規定する救急医療機関申出書(新規・更新)が保健所長から回送されてきたときは,申出のあった医療機関に関して救急業務遂行上必要な事項の調査(以下「救急医療機関申出等に関する調査」という。)を実施するものとする。

2 署長は,救急医療機関申出等に関する調査を実施したときは,その調査結果を東京都知事に通知するものとする。

第2節 救急自動車同乗研修

(救急自動車同乗研修)

第60条 部長及び署長は,次に掲げる者から救急業務に関する実務体験,研修等のため,救急自動車に同乗して行う研修(以下「救急自動車同乗研修」という。)の願い出があったときは,救急業務に支障のない場合に限り承認するものとする。

(1) 当庁管内に存する医療機関の医師及び看護師

(2) 医師,看護師及び救急救命士の資格を取得しようとする者で,当庁管内に存する学校等に在籍するもの

(3) 救急業務に関わる公務員

(4) その他部長が認めた者

2 署長は,救急自動車同乗研修を行う場合は,研修のため同乗する者の研修目的に沿うように配慮するとともに,救急活動の実態を正しく認識させるよう努めるものとする。

第7章 普及業務等

第1節 普及業務

(普及業務)

第61条 部長,方面本部長及び署長は,普及業務を効果的に推進するものとする。

(普及業務の指針)

第62条 部長は,普及業務を計画的かつ効果的に推進するため,年度ごとに普及業務の指針(以下「普及指針」という。)を示すものとする。

2 方面本部長及び署長は,普及指針に基づき,地域の特性に応じた普及業務の計画を樹立し,推進するものとする。

(応急救護普及車の活用)

第63条 方面本部長及び署長は,普及業務の推進のため,応急救護普及車(移動防災教室車のうち応急救護知識技術普及用の資器材を積載した車両をいう。)を有効に活用するものとする。

(救命講習等の実施)

第64条 部長及び署長は,地域住民に対し傷病者を応急に救護するために必要な知識及び技術を普及するため,救命講習(心肺蘇生その他救命に必要な応急手当を修得するための講習をいう。)及び応急救護講習(身近で起こりやすい救急事故に対する必要な応急手当を修得するための講習をいう。)を実施するものとする。

2 署長は,救命講習及び応急救護講習(以下「救命講習等」という。)を実施したときは,部長及び方面本部長に報告するものとする。

3 部長は,救命講習を修了した者に対し,救命技能認定証を交付するものとする。

4 救命技能認定証の有効期間は,交付の日から3年とする。ただし,有効期間が満了する日の6か月前から満了する日までの間に再講習を受講した場合の有効期間は,従前の救命技能認定証の有効期間が満了する日の翌日から3年とする。

(平30消防庁訓令5・一部改正)

(応急手当指導員)

第65条 部長,消防学校長及び署長は,普及業務を効果的に推進するため,応急手当指導員を育成するものとする。

2 部長及び署長は,普及業務を行うときは,応急手当指導員を有効に活用するものとする。

3 応急手当指導員のうち職員である者は,常に普及業務に必要な技能の修得に努め,応急手当の適正な普及に当たるものとする。

(応急手当普及員)

第66条 部長及び署長は,普及業務を効果的に推進するため,応急手当普及員を育成するものとする。

2 部長及び署長は,普及業務を行うときは,応急手当普及員を有効に活用するものとする。

(応急手当指導員講習等の実施)

第67条 部長は,救命講習等の指導者を育成するため,応急手当指導員講習及び応急手当普及員講習を実施するものとする。

2 消防学校長は,職員に対し,応急手当指導員講習を実施するものとする。

3 署長は,職員及び消防団員に対し応急手当指導員講習を,消防団員に対し応急手当普及員講習を実施するものとする。

(応急手当指導員等の認定証の交付等)

第68条 部長は,応急手当指導員講習を修了した者その他部長が定める者に対し,応急手当指導員の認定証(以下「指導員認定証」という。)を交付するものとする。

2 部長は,応急手当普及員講習を修了した者その他部長が定める者に対し,応急手当普及員の認定証(以下「普及員認定証」という。)を交付するものとする。

3 指導員認定証及び普及員認定証の有効期間は,交付の日から3年とする。ただし,有効期間が満了する日の6か月前から満了する日までの間に応急手当指導員再講習及び応急手当普及員再講習を受講した場合の有効期間は,従前の指導員認定証及び普及員認定証の有効期間が満了する日の翌日から3年とする。

4 前項の規定にかかわらず,職員及び消防団員が有する指導員認定証の有効期間は,退職又は退団の翌日から起算して3年を経過する日までとする。

5 部長は,応急手当指導員又は応急手当普及員が救命講習等の指導者としてふさわしくない行為を行ったことを確認したときは,認定を取り消すものとする。

(平30消防庁訓令5・一部改正)

第2節 応急手当奨励制度

(応急手当奨励制度)

第69条 署長は,応急手当の普及啓発に関する認識を高めるため,救命講習修了者の割合が高い事業所その他応急手当の普及に対する取組が優良である団体に対し,救命講習受講優良証(以下「優良証」という。)を交付することにより,救命講習の受講を奨励するものとする。

2 優良証の有効期間は,交付の日から3年とする。ただし,優良証が失効する日において,優良証を交付した団体が別に定める交付要件を満たしている場合は,失効する日から継続して3年有効とする。

3 署長は,優良証を交付する団体及び既に交付した団体から願い出があった場合は,優良マーク(優良証を交付されたことを表すマークをいう。)を名刺,ステッカーその他の媒体に表示することを認めるものとする。

4 部長は,優良証を交付する団体及び既に交付した団体から願い出があった場合は,団体の名称を東京消防庁広報広聴規程(平成20年3月東京消防庁訓令第25号)第2条第6号に規定する東京消防庁ホームページで公表するものとする。

第3節 患者等搬送事業者に対する指導等

(患者等搬送事業者に対する指導等)

第70条 部長及び署長は,条例第14条第2項の規定により認定された患者等搬送事業者に対し,搬送に係る指導及び助言を行うものとする。

第4節 現場派遣員講習の実施

(現場派遣員講習)

第71条 部長は,代理通報事業者の認定等に関する規程(令和元年9月東京消防庁告示第18号)第3条第3号に基づく現場派遣員に対する講習を行うものとする。

2 前項に掲げる講習修了者には,講習修了証を発行する。

3 第1項に掲げる講習修了者と同等以上の知識・技術を有すると認められる者には,講習修了証を発行することができる。

(令2消防庁訓令19・一部改正)

第8章 救急業務等管理委員会

(救急業務等管理委員会の設置)

第72条 救急業務等に係る重要事項を審議するため,救急業務等管理委員会(以下「委員会」という。)を設置するものとする。

(所掌事務)

第73条 委員会は,次に掲げる事項について審議するものとする。

(1) 救急業務の基本的施策に関する事項

(2) 救急体制の整備に関する事項

(3) その他委員長が必要と認めた事項

(委員会の構成)

第74条 委員会は,委員長,副委員長及び委員をもって構成する。

2 委員長は,部長の職にある者とする。

3 副委員長は,救急管理課長の職にある者とする。

4 委員は,別表に掲げる者とする。

5 委員長は,特に必要があると認めた場合は,臨時の委員を置くことができる。

6 委員長は,必要があると認めた場合は,関係者の出席を求めることができる。

(委員会の招集)

第75条 委員会は,必要の都度委員長が招集する。

(会務)

第76条 委員長は,会議を主宰し会務を統括する。

2 副委員長は,委員長を補佐し会務を処理する。

3 委員会の庶務は,救急管理課が行う。

(部会)

第77条 委員長は,委員会の事務を補佐するため,部会を置くことができる。

第9章 雑則

(委任)

第78条 この規程の施行に関し必要な事項は,部長が別に定める。

(施行期日)

1 この訓令は,平成25年9月9日から施行する。

(東京消防庁の行う救急業務に協力した医師等に対する報償金支給規程の一部改正)

2 東京消防庁の行う救急業務に協力した医師等に対する報償金支給規程(昭和56年3月東京消防庁訓令第10号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する規程の一部改正)

3 東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する規程(平成18年9月東京消防庁訓令第74号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(東京消防庁都民生活の安全に関する規程の一部改正)

4 東京消防庁都民生活の安全に関する規程(平成21年4月東京消防庁訓令第29号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(東京消防庁自動通報等承認事務取扱規程の一部改正)

5 東京消防庁自動通報等承認事務取扱規程(平成2年9月東京消防庁訓令第34号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(東京消防庁消防技術の改良及び消防活動等の安全対策等のための業務に関する規程の一部改正)

6 東京消防庁消防技術の改良及び消防活動等の安全対策等のための業務に関する規程(平成18年3月東京消防庁訓令第47号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成28年消防庁訓令第52号)

この訓令は,平成28年6月17日から施行する。

(平成29年消防庁訓令第5号)

この訓令は,平成29年4月1日から施行する。

(平成30年消防庁訓令第5号)

この訓令は,平成30年4月1日から施行する。

(令和2年消防庁訓令第19号)

この訓令は、令和2年4月1日から施行する。

別表(第74条関係)

救急業務等管理委員会構成委員

委員長

救急部長

副委員長

救急管理課長

委員

副校長

企画課長

総務課長

人事課長

警防課長

装備課長

財務課長

総合指令室長

多摩指令室長

救急医務課長

救急指導課長

第一消防方面本部副本部長

第五消防方面本部副本部長

第八消防方面本部副本部長

臨時委員

委員長が必要により指定する者(庁外委員含む。)

東京消防庁救急業務等に関する規程

平成25年8月28日 消防庁訓令第30号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第17編 防/第5章 防災救急/第3節
沿革情報
平成25年8月28日 消防庁訓令第30号
平成28年6月7日 消防庁訓令第52号
平成29年3月28日 消防庁訓令第5号
平成30年3月16日 消防庁訓令第5号
令和2年3月12日 消防庁訓令第19号